債務整理事務の委任を受けた弁護士が委任事務処理のため委任者から受領した金銭等を実質的な原資として | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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債務整理事務の委任を受けた弁護士が委任事務処理のため委任者から受領した金銭等を実質的な原資として開設した貯蓄預金口座にかかる預金債権を委任者の財産として滞納処分としての差押えをしたことに国家賠償法1条1項の違法があるとは言えないとされた事例

 

最高裁判所第1小法廷判決/平成14年(受)第1048号

平成15年6月26日

損害賠償請求事件

【判示事項】 債務整理事務の委任を受けた弁護士が委任事務処理のため委任者から受領した金銭等を実質的な原資として開設した貯蓄預金口座にかかる預金債権を委任者の財産として滞納処分としての差押えをしたことに国家賠償法1条1項の違法があるとは言えないとされた事例

【判決要旨】 債務整理事務の委任を受けた弁護士甲が、「乙代理人甲」の名義で貯蓄預金口座を開設し、これに委任事務処理のため委任者乙から受領した金銭等を実質的な原資とする金銭を預け入れたなど判示の事実関係のもとにおいては、税務署長が、当該口座にかかる預金債権は乙に帰属するものとして、これに対する滞納処分による差押えをしたことには、国家賠償法1条1項にいう違法があると言うことはできない。

【参照条文】 民法649

       民法666

       国家賠償法1-1

       国税徴収法47-1

【掲載誌】  金融法務事情1685号53頁