被控訴人(原告、女性)Xは,平成6年11月1日,食品製造を営む控訴人会社(被告)Yに嘱託従業員と | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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被控訴人(原告、女性)Xは,平成6年11月1日,食品製造を営む控訴人会社(被告)Yに嘱託従業員として雇用され,10年3月準社員となり,山口営業所において,一般事務を担当していた。同営業所所属の女性従業員はXのみであり,営業所長以下,数人の男性従業員が在籍していた。

 訴外Dは,Xの就職に際しての推薦人であるが,徳山営業所長であった11年7月頃,Xに電話をかけ,北九州支店所属従業員との社内不倫の噂があると告げ,事実を問い質し,Xに否定された。その後,Dは,山口営業所長に着任し,12年10月21日,社外業務に従事した折Xと昼食を共にし,飲酒のうえ,前述男性従業員との間に肉体関係があったと決めつけたうえ,「お前はサセ子になっている」と,Xが誰とでも肉体関係を持つようなふしだらな性癖を持つ女である旨を中傷した。

 訴外C(1審被告)は,山口営業所を管轄する北部第2ブロック長であったが,業務上の必要性から12年9月頃からXと会話を時折交わしたり,メールのやり取りを行うようになった。Cは,Xに対し,性的会話を頻繁にするようになり,同年10月下旬頃から,卑猥なメールを十数回送信のうえ,度々性交渉を求めるような言動に出た。Cは,12年11月2日午前,従業員が外出中の山口営業所内で,Xに抱きつき,「今からホテルに行こう」などといい,やむなく了承したXと,付近のラブホテルにて性交渉を持った。訴外Cは,同年12月7日,同営業所において,再度Xをホテルに誘い,拒否したXに対し,自身の性器を露出して見せ,逃げようとするXに抱きついて業務机の上に押し倒すなどした。

 

広島高等裁判所判決/平成16年(ネ)第163号

平成16年9月2日

損害賠償請求控訴

【判示事項】    (1)使用者は、良好な職場環境を整備すべき法的義務を負い、これを怠った結果セクシュアルハラスメントを招いた場合、従業員に対する不法行為責任を免れないとされた例

          (2)「雇用の分野における男女の均等な機会および待遇の確保に関する法律」の改正法が施行され「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上配慮すべき事項についての指針」(労働省告示第20号)が適用された日以降、セクハラ防止のための適切な措置を講じることが1層強く要請されるとされた例

          (3)会議の席上でのセクハラの注意、防止への指示にもかかわらず、出席者の管理職が性的中傷行為に及んだことからみると十分な予防効果がなかったものとされ、公的機関から具体的な史的を受けた以上、セクハラを実際に防止する、より強力な措置を講じる必要があったとされた例

          (4)適切な措置を講じていれば本件事態のようなセクハラにはならなかったと推認されるから、行為従業員の個人的問題に帰することは相当でなく、控訴人会社の職場環境整備義務違反の不作為が本件セクハラの一因になったと認められるとして、被控訴人に対する不法行為責任が肯定された例

【掲載誌】     労働判例881号29頁