犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(以下「通信傍受法」という。)23条2項所定の「捜査が妨げられるおそれ」があるとして,司法警察員が請求した通知期間延長の適法性が認められた事例
東京高等裁判所判決/平成26年(う)第166号
平成26年9月25日
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律違反被告事件
【判示事項】 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(以下「通信傍受法」という。)23条2項所定の「捜査が妨げられるおそれ」があるとして,司法警察員が請求した通知期間延長の適法性が認められた事例
【判決要旨】 通信傍受法23条2項にいう「捜査」とは,同法の立法目的が,数人の共謀によって実行される組織的な薬物重大犯罪等においては,証拠隠滅や犯人を逃亡させるなどの犯跡隠ぺい工作が行われることが少なくない上,通信傍受を行わなければ組織全体を捜査し,事案の真相を解明することが極めて困難な状況にあることに基づいていること(同法1条参照)からしても,通信傍受の方法による捜査を意味すると狭く解釈するのではなく,通知による悪影響(捜査が行われていることが知られることで,逃亡や罪証隠滅が図られ,通信傍受という手法で達成しようとした本来の捜査目的が達成できなくなる。)を防止するためにも,通信傍受に関連する捜査一般も含むと解するのが相当である。
本件では,通知延長請求の時点で,被告人に対する傍受通知をすれば,所在が判明していない者に対する捜査が行われていることが伝わってしまい,証拠を隠滅されたり,逃亡されたりするおそれ等が現実化する可能性が高く,捜査が妨げられるおそれがあったといえ,通知期間を延長する理由があったことが認められる。
【参照条文】 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律23
犯罪捜査のための通信傍受に関する法律1
犯罪捜査のための通信傍受に関する法律23-2
【掲載誌】 高等裁判所刑事裁判速報集平成26年95頁
東京高等裁判所判決時報刑事65巻1~12号73頁