最高裁判所第1小法廷判決/昭和33年(あ)第1135号
昭和35年7月14日
労働基準法違反被告事件
【判示事項】 違法な時間外労働等に対する割増賃金不払罪の成立
労働基準法33条または36条所定の条件を充足した時間外労働ないしは休日労働に対して、使用者が割増賃金支払の義務あることは法37条1項の明定するところであるが、右条件を充足していない違法な時間外労働等の場合はどうであろうか。法はこの点明示するところがないが、適法な時間外労働等について割増金支払義務があるならば、違法な時間外労働等の場合には一層強い理由でその支払義務あるものと解すべきは事理の当然とすべきであるから法37条1項は右の条件が充足された場合たると否とにかかわらず、時間外労働等に対し割増賃金支払義務を認めた趣意と解するを相当とする。果して、そうだとすれば、右割増賃金の支払義務の履行を確保しようとする法119条1号の罰則は時間外労働等が適法たると違法たるとを問わず、適用あるものと解すべきは条理上当然である。
【参照条文】 労働基準法37
労働基準法119
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集14巻9号1139頁