地方公共団体の新設合併に当たっての人事発令により,合併前の職位が変更された一般職職員X1ら2名の不服申立を,地公法49条1項の不利益処分に当たらないとして却下した市公平委員会の裁決を違法であるとして取り消した1審判決が維持された例
高松高等裁判所判決平成20年10月2日
裁決取消請求控訴事件
【判示事項】 1 地方公共団体の新設合併に当たっての人事発令により,合併前の職位が変更された一般職職員X1ら2名の不服申立を,地方公務員法49条1項の不利益処分に当たらないとして却下した市公平委員会の裁決を違法であるとして取り消した1審判決が維持された例
2 職員の任用は,それぞれの地方公共団体と職員との間の固有の公務員関係の設定であり,法律に特別の規定がないかぎり,合併で地方公共団体が消滅したときに,当然に他の地方公共団体との間に新たな公務員関係が成立したと解するのは困難であるし,旧合併特例法9条1項による職員の身分保有のための措置義務および地方自治法施行令5条1項の事務承継に関する規定等によっても,従前の身分の当然承継が認められるわけではなく,新設合併において合併関係市町村の職員は,合併によりその身分をいったん喪失し,新設市町村において改めて任用されることになるとされた例
3 旧合併特例法9条1項の規定が置かれた趣旨等にかんがみると,新設合併においては,合併関係市町村の職員の身分には,合併の前後において実質的な連続性が認められるから,合併前後の処遇を比較し,合併後の処遇が不利益なものか否かを判断することは可能というべきであるとされ,本件処遇変更が単なる制度の改正によって生じたものということはできず,また本件人事発令が降任に該当しないともいえないとされた例
4 本件各発令により,X1らには給与減額が発生しており,職務権限上も代決権,代行決済権限を失ったことになるから,この発令により同人らは地方公務員法49条1項の不利益処分を受けたものと認められ,公平委員会はX1らの不服申立てを受理・審理しなければならなかったにもかかわらず不適法として却下したのであるから,その裁決には違法があり,取消しを免れないとされた例
【掲載誌】 労働判例973号29頁