学校法人の理事長が寄附行為で定められている手続を履践しないで金銭の借入れを行った場合にその相手方において右理事長に右学校法人を代表する権限があるものと信じかつこのように信じるについて正当な理由があるとされた事例
東京地方裁判所判決平成11年9月28日
貸金請求事件
【判決要旨】 学校法人の理事長が、金銭の借入れを行うには、寄附行為をもって、あらかじめ評議員会の意見を聞き、理事会の決議を得なければならない旨定められていたにもかかわらず、その手続を履践しないで金銭の借入れを行った場合に、その相手方において、右寄附行為の定めを知っていたことから、担当者を通じて、右理事長に評議員会および理事会の議事録の提出を求めてその各謄本を受け取り、右寄附行為の定める手続が適法に履践されたものと信じて貸付けの手続を進めたものであって、各議事録謄本の記載内容も正当な手続が履践されたことを疑わしめるようなものであったとはいえないことに加えて、右学校法人の理事および評議員の地位にある幹部職員までもが右理事長による学校経理の私物化に協力していたといえるような状況があったときは、当該借入れにつき、右学校法人の評議員会および理事会の承認手続が適法に履践されていないことを知ることはきわめて困難であったといわざるをえず、右学校法人における金銭の借入れを行う場合の正当な手続が履践され、右理事長に適法に右学校法人を代表する権限があると信じたことについては、正当の理由がある。
【参照条文】 民法54
民法110
私立学校法37
私立学校法42
私立学校法49
【掲載誌】 金融・商事判例1092号34頁