最高裁判所第1小法廷判決昭和50年7月10日
『昭和50年重要判例解説』経済法事件
審決取消請求事件
【判示事項】 1、いわゆる再販売価格維持行為が独占禁止法2条7項4号の不公正な取引にあたるとされた事例
2、昭和28年公正取引委員会告示第11号(不公正な取引方法)の8にいう取引の拘束があるとされる場合
3、昭和28年公正取引委員会告示第11号(不公正な取引方法)の8にいう正当な理由の意義
4、独占禁止法24条の2第1項の規定の趣旨
5、昭和28年公正取引委員会告示第11号(不公正な取引方法)は独占禁止法2条7項の委任の趣旨に反するか
6、独占禁止法69条の利害関係人の範囲
7、公正取引委員会の審判で取り調べられた証拠の審決取消訴訟における取扱
【判決要旨】 1、育児用粉ミルクの元売業者が、商品の価格維持を図るため、取引先の販売業者に対して一定の再販売価格を指示し、販売業者がこれを守らなかつたときは、交付するリベートを削減しあるいは取引を打ち切るなどの不利益を課することを内容とする判示のようないわゆる再販売価格維持行為を行うことは、昭和28年公正取引委員会公示条11号(不公正な取引方法)の8に定める拘束条件付取引として、独占禁止法2条7項4号の不公正な取引方法にあたる。
2、昭和28年公正取引委員会告示第11号(不公正な取引方法)の8にいう取引の拘束があるとするためには、必ずしも相手方においてその取引条件に従うことが契約上の義務として定められていることを要せず、それに従わない場合に経済上なんらかの不利益を伴うことにより現実にその実効性が確保されていれば足りる。
3、昭和28年公正取引委員会告示第11号(不公正な取引方法)の8にいう正当な理由とは、取引につけられた拘束条件が相手方の事業活動における自由な競争を阻害するおそれがないことをいうものであり、単に事業者の事業経営上必要あるいは合理的であるというだけでは、右の正当な理由があるとすることはできない。
4、独占禁止法24条の2第1項の規定は、いわゆる再販売価格維持行為が相手方たる販売業者間の自由な競争を阻害するおそれのあるものであるかぎり不公正な取引方法として違法とされるべきことを前提とし、ただ、販売業者の不当廉売等による弊害を防止するため、同条1、2項所定の要件のもとにおいて、公正取引委員会が諸般の事情を考慮し価格維持を許すのが相当であると認めて指定した商品についてのみ、例外的にその再販売価格維持行為を違法としないこととしたものであつて、販売業者間の競争確保を目的とする昭和28年公正取引委員会告示第11号(不公正な取引方法)の八とは経済政策上の観点を異にする規定である。
5、昭和28年公正取引委員会告示第11号(不公正な取引)は、独占禁止法2条7項の委任の趣旨に反するものではない。
6、独占禁止法69条の利害関係人とは、当該事件の被審人のほか、同法59条及び60条により審判手続に参加しうる者並びに当該事件の対象をなす違反行為の被害者をいう。
7、公正取引委員会の審決の取消訴訟においては、審判で取り調べられた証拠はすべて当然に裁判所の判断資料となるものであり、右証拠につき改めて証拠調に関する手続を行うことを要しない。
【参照条文】 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律2-7
昭和28年公正取引委員会告示第11号(不公正な取引方法)の8
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律24の2
昭和28年公正取引委員会告示第11号(不公正な取引方法)
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律69
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律78
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律80
民事訴訟法3章第1節
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集29巻6号888頁