最高裁判所第3小法廷決定/昭和35年(あ)第45号
昭和35年4月26日
職業安定法違反、労働基準法違反被告事件
【判示事項】 1、職業安定法第5条にいわゆる「雇傭関係」の意義
2、職業安定法第32条第1項にいわゆる「職業紹介」の意義
3、労働基準法第6条にいわゆる「他人の就業に介入し」の意義
【判決要旨】 1、職業安定法第5条にいわゆる「雇傭関係」とは、必ずしも厳格に民法第623条の意義に解すべきものではなく、広く社会通念上被用者が有形無形の経済的利益を得て一定の条件のもとに使用者に対し肉体的精神的労務を供給する関係にあれば足る。
2、職業安定法第32条第1項にいわゆる「職業紹介」とは同法第5条所定のとおり雇傭関係の成立をあっ旋することであって、即ち媒介または周旋をなす等その雇傭関係について何らかの因果関係を有する関与をなせば足り、必ずしも雇傭契約の成立を必要とするものではない。
3、労働基準法第6条にいわゆる「他人の就業に介入し」とは、同法第8条の労働関係の開始存続等について、媒介または周旋をなす等その労働関係について何らかの因果関係を有する関与をなす場合をいうものであって、必ずしも雇傭契約が成立する場合に関与することに限るべきでない。
【参照条文】 職業安定法5
職業安定法32-1
職業安定法64
労働基準法6
労働基準法8
労働基準法118-1
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集14巻6号768頁