構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の対抗要件と構成部分の変動した後の集合物に対する効力
最高裁判所第3小法廷判決昭和62年11月10日
『昭和62年重要判例解説』民法事件
第3者異議事件
【判示事項】 一、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の対抗要件と構成部分の変動した後の集合物に対する効力
ニ、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権と動産売買先取特権に基づいてされた動産競売の不許を求める第3者異議の訴え
三、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において目的物の範囲が特定されているとされた事例
【判決要旨】 一、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の設定者がその構成部分である動産の占有を取得したときは譲渡担保権者が占有改定の方法によって占有権を取得する旨の合意があり、担保権設定者がその構成部分として現に存在する動産の占有を取得した場合には、譲渡担保権者は、右譲渡担保権につき対抗要件を具備するに至り、右対抗要件具備の効力は、新たにその構成部分となった動産を包含する集合物に及ぶ。
ニ、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権者は、特段の事情のない限り、第3者異議の訴えによって、動産売買先取特権者が右集合物の構成部分となった動産についてした競売の不許を求めることができる。
三、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権設定契約において、目的動産の種類及び量的範囲が普通棒鋼、異形棒鋼等一切の在庫商品と、その所在場所が譲渡担保権設定者の倉庫内及び同敷地・ヤード内と指定されているときは、目的物の範囲が特定されているものというべきである。
【参照条文】 民法85
民法369
民法178
民法181
民法183
民法333
競売法3
民事訴訟法(昭和54年法律第4号による改正前のもの)549-1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集41巻8号1559頁