東京高等裁判所決定平成31年2月27日
『令和元年重要判例解説』商法5事件
三井生命保険・子会社化事件
株式売買価格決定に対する抗告事件
【判示事項】 特別支配株主による株式等売渡請求における会社法179条の8第1項の「売買価格」について、その公開買付価格と同額と定めるのが相当であるとした原審の判断が是認された事例
【判決要旨】 相互に特別の資本関係がない会社間において、一方の会社が他方の会社と経営統合するための手段として株式の公開買付けを行い、その後に当該会社の株式について会社法179条1項に基づく特別支配株主による株式売渡請求をして、当該会社の株式の全部を取得する場合において、一般に公正と認められる手続により経営統合の手段たる公開買付けが行われ、その後に公開買付けに係る買付価格と同額で株式売渡請求がされたときは、株主が公開買付けに応じるか否かを適切に判断することが期待できる以上、上記の手続において基礎となった事情に予期しない変動が生じたなどの特段の事情がない限り、裁判所は、株式売渡請求に係る株式の売買価格を公開買付けに係る買付価格と同額とするのが相当である。
【参照条文】 会社法179の8-1
【掲載誌】 金融・商事判例1564号14頁