最高裁判所第2小法廷判決平成11年10月22日
『平成11年重要判例解説』労働法事件
沖縄医療生活協同組合事件
損害賠償請求事件
【判示事項】 一 不法行為により死亡した者の相続人が被害者の得べかりし障害基礎年金及び障害厚生年金を逸失利益として請求することの可否
二 不法行為により死亡した者の相続人が被害者の得べかりし障害基礎年金及び障害厚生年金についての各加給分を逸失利益として請求することの可否
三 障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が不法行為により死亡した場合にその相続人がする損害賠償請求において当該相続人が受給権を取得した遺族基礎年金及び遺族厚生年金を控除すべき損害の費目
【判決要旨】 一 障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、被害者の得べかりし右各障害年金額を逸失利益として請求することができる。
二 障害基礎年金及び障害厚生年金についてそれぞれ加給分を受給している者が不法行為により死亡した場合には、その相続人は、加害者に対し、被害者の得べかりし右各加給分額を逸失利益として請求することはできない。
三 障害基礎年金及び障害厚生年金の受給権者が不法行為により死亡した場合に、その相続人が被害者の死亡を原因として遺族基礎年金及び遺族厚生年金の受給権を取得したときは、当該相続人がする損害賠償請求において、支給を受けることが確定した右各遺族年金は、財産的損害のうちの逸失利益から控除すべきである。
【参照条文】 国民年金法30
厚生年金保険法47
民法709
国民年金法35
厚生年金保険法53
民法896
国民年金法33の2
厚生年金保険法50の2
国民年金法37
厚生年金保険法58
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集53巻7号1211頁