動産譲渡担保権の設定者が破産宣告を受けた後における右譲渡担保権に基づく物上代位権行使の可否 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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最高裁判所第2小法廷決定平成11年5月17日

『平成11年重要判例解説』民法事件

債権差押命令に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件

【判示事項】 一 動産譲渡担保権に基づく物上代位権の行使が認められた事例

二 動産譲渡担保権の設定者が破産宣告を受けた後における右譲渡担保権に基づく物上代位権行使の可否

【判決要旨】 一 銀行甲が、輸入業者乙のする商品の輸入について信用状を発行し、約束手形の振出しを受ける方法により乙に輸入代金決済資金相当額を貸し付けるとともに、乙から右約束手形金債権の担保として輸入商品に譲渡担保権の設定を受けた上、乙に右商品の貸渡しを行ってその処分権限を与えたところ、乙が、右商品を第三者に転売した後、破産の申立てをしたことにより右約束手形金債務につき期限の利益を失ったという事実関係の下においては、甲は、右商品に対する譲渡担保権に基づく物上代位権の行使として、転売された右商品の売買代金債権を差し押さえることができる。

二 動産譲渡担保権に基づく物上代位権の行使は、右譲渡担保権の設定者が破産宣告を受けた後においても妨げられない。

【参照条文】 民法304

       民法369(譲渡担保)

       破産法92

【掲載誌】  最高裁判所民事判例集53巻5号863頁