大会社の会計監査限定監査役の対第三者責任 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

大阪高等裁判所判決平成29年4月20日

安愚楽牧場事件

『平成29年重要判例解説』商法9事件

損害賠償請求控訴事件

【判示事項】 牧場を経営する会社との間で黒毛和種牛・飼育委託契約を締結して損害を被ったという顧客が原告となって同社またはその関連会社の取締役・監査役および同社の関連会社を被告として損害賠償を求めた請求中、取締役および監査役各1名に対する請求を認容した第1審判決が控訴審において取り消され、同請求も棄却された事例

【判決要旨】 牧場を経営する会社との間で黒毛和種牛・飼育委託契約を締結して損害を被ったという顧客が原告となって同社またはその関連会社の取締役・監査役および同社の関連会社を被告として損害賠償を求めた請求中、取締役および監査役各1名に対する請求を認容した第1審判決は、当該取締役について、会社を代表して同契約を締結していた同社の代表取締役らの経営陣に対してその違法な勧誘をしないように会社の業務執行を管理、統制すべき職務上の義務を果たすことがきわめて困難であって、その職務執行に悪意はもとより、重大な過失があったということもできない判示の事実関係の下においては、また、当該監査役について、その就任時の会社法の規制等から監査業務の対象が会計監査に限定されるべき関係にあって、業務監査はその対象でなく、会計監査については任務懈怠があったとは認められない判示の事実関係の下においては、いずれもその理由がなく、第1審判決を取り消し、同請求も棄却すべきものである。

【参照条文】 会社法429-1

【掲載誌】  金融・商事判例1519号12頁

       判例時報2348号110頁