最高裁判所第1小法廷判決平成14年4月25日
『平成14年重要判例解説』知的財産法1事件
中古テレビゲームソフト販売事件
著作権侵害差止請求権不存在確認請求事件
【判示事項】 家庭用テレビゲーム機に用いられる映画の著作物の複製物を公衆に譲渡する権利と複製物の再譲渡
【参照条文】 著作権法2-1
著作権法2-3
著作権法10-1
著作権法26
著作権法112
【掲載誌】 判例タイムズ1091号80頁
二 最高裁判決
最高裁判所第一小法廷は、両事件の上告を受理し、同日付けで著作権者側の請求を退ける判決を言い渡した。
1 (1)事件判決
原判決が適法に確定した事実関係の下においては、本件ゲームソフトが、著作権法2条3項に規定する「映画の著作物」に当たり、その著作権者が同法26条一項所定の頒布権を専有するとした原審の判断を、正当として是認した。その上で、著作物又はその複製物を譲渡する場合にも権利の消尽が原則として認められ、家庭用テレビゲーム機に用いられる映画の著作物について、公衆に提示することを目的としない複製物の譲渡については、当該著作物の複製物を公衆に譲渡する権利は、いったん適法に譲渡された複製物については、その目的を達成したものとして消尽し、もはや著作権の効力は、当該複製物を公衆に再譲渡する行為には及ばないとして、上告を棄却した。
2 (2)事件判決
原判決が適法に確定した事実関係の下においては、本件ゲームソフトが、著作権法2条3項に規定する「映画の著作物」に当たるとした原審の判断を、正当として是認した。そして、本件ゲームソフトが映画の著作物に該当する以上、その著作権者が著作権法26条1項所定の頒布権を専有すると解すべきであり、大量の複製物が製造され、その一つ一つは少数の者によってしか視聴されないものという漠然とした基準で本件ゲームソフトが頒布権の対象となる複製物に該当しないということはできないとした。その上で、(1)事件と同様の理由で、権利の消尽を認め、上告を棄却した。