西村周三ほか『社会保障の国際比較研究』 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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西村周三ほか『社会保障の国際比較研究』
ミネルヴァ書房、2014年。
上記書籍のうち、以下の部分を読み終えました。
第Ⅱ部 比較でみる社会保障制度
第5章 ドイツ
 ドイツの社会保障法は、日本とよく類似している。
 しかし、以下の点が異なる。
ⅰ)個人事業者にも社会保障の加入義務がある。
ⅱ)高額給与者にも社会保障(被用者の健康保険、厚生年金など)の加入義務がある。
ⅲ)公務員にも社会保障の加入義務がある。公務員共済組合である。
 すなわち、国民皆保険である。
 また、社会保障の保険料の徴収は、日本では税務署ではなく、日本年金機構、協会けんぽ(政府管掌の健康保険組合)などである。
 また、夫婦共稼ぎの場合に、社会保障料の額が、1人しか稼働していない場合に不均衡が生じることが指摘されている。
この点、過去の日本の裁判例では、「2分2乗方式」が税金の計算に当たって主張されたり、税制改革の案として検討されたことがあったが、実現していない。
「2分2乗方式」とは、論者によっていろいろな方式があるが、例えば、夫婦の所得について。所得を合算して、税金の額を算出して、その半額に2倍をかけたもの。
あるいは、別の論者によっては、夫婦それぞれの所得を別に税額を計算して(累進税率の緩和のため)、それぞれの税額を1/2にし、それらを合算する方式。
なお、これらの場合の「分」「乗」は、数学の定義に照らすと正確ではない。
ただし、給与所得者については、少なくとも税金については、経費性を問題としない多額の「給与所得控除」が認められている。
社会保障制度においては、高額給与者については、社会保障料については一定の上限額があり、支払った社会保障料を所得から控除し、所得税・住民税の課税の基礎となる額から控除することができる。
第6章 フランス
 1945年以降に社会保障制度が整備された。
 日本やドイツと同じように、当初は、被雇用者が加入する社会保障制度が構築された。
 なお、日本の近時の社会保障制度と同じように、社会保障料と税金を一体として構築することが議論されている。
 もっとも、現在の日本の社会保障法では、社会保障に関して国民が支払う社会保障料の法的性質は「社会保障税」とされ、例えば、労働保険徴収法では、国税徴収法に関する規定が準用され、優先順位は国税に次ぐとされている。