金子由芳『アジアの法整備と法発展』大学教育出版 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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金子由芳『アジアの法整備と法発展』大学教育出版
上記書籍のうち、以下の部分を読み終えました。
第1章 アジアの法整備支援と日本の役割
1 アジア
 アジアについて、本書第2章以下で、カンボジア、ベトナム、インドネシアについて取り上げられている。
 ただし、JICAの法整備支援によれば、法整備支援は、以下の国について行われたという。
ベトナム、
カンボジア、
社会主義国(中国、モンゴル、ラオス、ウズベキスタン等)、
紛争影響国(ミャンマー、ネパール、東ティモール)、
アフリカ諸国
(注)東ティモールは旧ポルトガル領で、インドネシアから独立したが、ティモール島の西側はインドネシア領のままである。

(参考文献)
独立行政法人国際協力機構(JICA)「課題別指針(法整備支援)」
http://gwweb.jica.go.jp/km/FSubject0401.nsf/B9EBD9A793E2456249256FCE001DF569/683D2CAEBEF77062492578B200056222?OpenDocument

同プロジェクト研究報告書「法の支配の実現のために」
http://gwweb.jica.go.jp/km/FSubject0401.nsf/3b8a2d403517ae4549256f2d002e1dcc/71a3b57ba19c9c1649257721000cef40?OpenDocument

日本弁護士連合会編「法律家の国際協力-日弁連の国際司法支援活動の実践と展望」(2012年・現代人文社)

松尾弘「良い統治と法の支配-開発法学の挑戦」(2009年・日本評論社)


2 「法と開発」の手法
 20世紀、第2次大戦後の一時期において、法体系の異なる発展途上国(当時)へ新たな法の継受と「法の支配」(≒法治主義)をもって、「開発法学」とも称することがあった。
その後、「法整備支援」と用語が改められた。
1)法と経済学
 法について、効率主義・実証主義の観点から、経済的な説明をしようとする考えである。
アメリカ法において、顕著な考えである。
2)法社会学
 当該国家の固有の社会性に根付くように、先進国(当時)の法を継受することを、法社会学と定義づけている。
 なお、日本では、末広厳太郎や川島が『日本人の法意識』について、西洋諸国とは異なる固有の慣習があると指摘している。
民法92条で、公序良俗に反しない限り、事実たる慣習がある場合には、それに従う場合があり得ることを規定している。
著者は、民法施行法のみを指摘しているが。
3)比較法学
 実定法を比較することを「比較法学」と定義している。
4)総合的方法
(参考文献)
ただし、信じ難い誤植を発見した。
民事訴訟法の権威の故・三ケ月章・元東大教授・元法務大臣の名前を「三日月」と表記してあった点である。