自筆証書遺言の方式 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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【コラム】 自筆証書遺言の方式

 自筆証書遺言は、最も簡単に作成することができる遺言です。その方式は、遺言者が、その全文、日付および氏名を自書し、押印するだけで足ります(民法9681項)。

 自筆証書遺言の方式として、自書が要件とされる趣旨は、筆跡によつて本人が書いたものであることを判定でき、それ自体で遺言が遺言者の真意に出たものであることを保障することにあります(最判昭和62108民集4171471頁)。そして、自筆証書遺言は、他の方式の遺言と異なり証人や立会人の立会を要しない等、最も簡易な方式の遺言であるが、それだけに偽造、変造の危険が最も大きく、遺言者の真意に出たものであるか否かをめぐって紛争の生じやすい遺言方式であるといえるから、自筆証書遺言の本質的要件ともいうべき「自書」の要件については厳格な解釈を必要とするとされます(前掲最判昭和62108)。

 自筆証書遺言の方式として、押印が要件とされる趣旨は、遺言の全文等の自書とあいまって遺言者の同一性および真意を確保するとともに、重要な文書については作成者が署名した上その名下に押印することによって文書の作成を完結させるという我が国の慣行ないし法意識に照らして文書の完成を担保することにあります(最判平成元・216民集43245頁)。

(ⅰ)全文の自書

 パソコンやタイプライターによって作成されたものは「自書」の要件を満たさず無効ですし、録音テープ・ビデオによる遺言も編集・改ざんのおそれがあり無効です。

 なお、カーボン複写の方法による遺言については、「自書」の方法として許されないものではないとの判例(最判平成51019家裁月報46427頁)があります。

(ⅱ)日付の自書

 日付は、遺言能力の有無や遺言が複数ある場合における先後の判断をするうえで重要なものとなります。日付も「自書」する必要がありますから、ゴム印等による記入は無効です。

 また、日付の記載により、年月日が特定可能とならなければなりませんから、年月のみで日が記載されていない遺言(最判昭和521129家裁月報304100頁)や「昭和四拾壱年七月吉日」と記載された遺言(昭和54531民集334445頁)も無効です。

(ⅲ)氏名の自書

 氏名は遺言者を特定するために要求されるものですから、戸籍上の氏名でなくても(大阪高判昭和601211家裁月報391148頁)、また、通称名であっても(大判大正473民録211176頁)有効です。

(ⅳ)押印

 押印は、実印に限らず、認め印でも構いません。また、指印でも有効です(前掲最判平成元・216)。