2023年東京ヴェルディ通信簿 | BBGのブログ

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やりました!!!東京ヴェルディ、16年ぶりのJ1昇格達成です!!!

まさかこのブログでこんなことを言えるとは思ってもいませんでした(笑)
昇格の喜びを言葉にするとそれだけで1本の記事が埋まってしまいそうですが(笑)今回はグッとこらえてこれまで通り今シーズンの東京ヴェルディの「通信簿」を更新したいと思います。

いつもと同じようすべての選手を5段階で評価させてもらうのですが…いつもの辛口批評とは異なり今季は恐らく甘口の評価となってしまうでしょう(笑)
なるべく客観的には評価したいと思いますが、所々私心が入ってしまうであろうことは先にお許しください(苦笑)

また、今回は特別にシーズン途中で退団となった選手にも評価をつけさせてもらいました。
合計で38人!ぜひとも最後までご覧になって下さい!!よろしくお願いします!


【2023年東京ヴェルディ通信簿】

■ゴールキーパー部門


1 マテウス 評価 S
2023年シーズン成績 42試合3780分出場 31失点

在籍4年目を迎え、今季は自身のパフォーマンスもひとつの集大成の一年に。
数々の驚異的なビッグセーブや二度のPKセーブなどで多くの勝利を呼び込み
ミスらしいミスはほとんど無い抜群の安定感でフルタイム出場を果たした。
副主将としてチームを鼓舞する役割も担うなど、昇格のMVPと言っていい。

21 長沢祐弥 評価 D
2023年シーズン成績 出場なし

マテウスの壁は高く、前半戦はベンチからも外れ公式戦出場は0試合で終了。
それでも後半戦に入ると飯田から2ndGKの座を奪い取りベンチ入りを続けた。
クラブ加入後はサブの立ち位置が続くが、練習での姿勢を評価する声は多い。
明るい性格でチームメイトとの関係性もよく、GK陣には欠かせない存在だ。

31 佐藤久弥 評価 E
2023年シーズン成績 出場なし

プロデビューを飾った昨季から一転し、今季はベンチ入りすら1試合も叶わず。
長沢、飯田に比べると実力でやや水を開けられている感は否めない。
足元の技術には定評があるも、城福体制ではセービング能力の向上が必須か。
来季は高校No.1GKの中村の加入が決まりGKは激戦区。正念場のシーズンだ。

41 飯田雅浩 評価 D
2023年シーズン成績 出場なし

大学No.1GKとの前触れで入団するも、マテウスの牙城は崩せずに終了。
天皇杯2回戦には出場し勝利に貢献するも、3回戦ではサブに甘んじた。
後半戦はベンチからも外れたが、それでも腐らずに盛り上げ役を徹底。
ポテンシャルは高いだけに、クラブとしても来季以降の扱いは難しい所だ。

◎ゴールキーパー部門総評

就任以降城福監督から揺るがない信頼を受けているマテウスが全試合にフルタイム出場を果たし、その信頼に見事に応える一年となった。

得点力が低く接戦での勝利が相次いだ今季のチームにおいて、マテウスのプレーが勝ち点を呼び込んだ試合は数知れず。
勝ち点に最も直接的な影響を与えた選手であることは間違いなく、今季のMVPと言っていい。
加えて今季は副主将の座を与えられたことで周囲を引っ張る意識も強くなり、来日当初には考えられないほどゴールマウスから積極的に声を出していた。

プレー面でもこの4年間で大きな成長を披露し、苦手だったハイボールの処理や飛び出しにおける判断なども「完璧」に近いプレーぶり。
36節の藤枝戦で唯一失点に直結するミスがあったが、引きずるどころかそこからは鬼神の如くのパフォーマンスで終盤戦の快進撃を呼び込んだ。

それ故に残り3選手が出場0試合に終わったことは致し方なしと言えるが、大学No.1GKとの呼び声が高かった飯田に出場機会を与えられない点はクラブとしても考え所になるだろう。
来季はここに高校No.1GKの中村圭佑(静岡学園高校)の加入が内定しており、GKの処遇に関しては「嬉しい悲鳴」と言っていい。

とはいえ、中村が「練習環境」を決め手に入団したように、ハイレベルな選手を抱えていることが好循環を生み出していることは間違いのない事実。
長沢、佐藤、飯田はそれぞれ明るいキャラクターで最後までチームを盛り上げるなど、ここ数年クラブが重要視している「人間力を重視した補強」が最も形になって表れたのがこのGKのセクションだったと言えるのではないだろうか。


■ディフェンダー部門

2 深澤大輝 評価 C
2023年シーズン成績 27試合2121分出場 4得点1アシスト

細かい離脱はあったものの、主に左SBの一番手として出場を積み重ねた。
チーム内得点王を長らく維持するなど、SBらしからぬ得点能力は大きな武器。
大柄ではないが空中戦にも強く、守備面でもチームを大きく助ける存在だった。
一方平地の守備には課題も残し、41節には不要な退場を何とか中原に救われた。

3 谷口栄斗 評価 B
2023年シーズン成績 20試合1672分出場 1得点0アシスト

2度の肉離れで出場時間は伸びなかったが、ピッチに立てば出色の活躍を披露。
守備面でも昨季に比べて安定感がグッと増し、鋭いフィードは今季も健在。
重要な試合を積み重ねるごとに成長を遂げ、終盤戦は必要不可欠な存在だった。
熱いハートも大きな持ち味で、森田不在時にはキャプテンマークを巻く試合も。

5 平智広 評価 C
2023年シーズン成績 31試合2329分出場 1得点2アシスト

ここ数年は出場機会すら得られないシーズンが続いたが、今季は見事に復活。
開幕からセンターバックのレギュラーとして快進撃を続けるチームに貢献し
一度は出場機会を失うも、最終盤では左SBという新境地で戦術のキーマンに。
すっかりベテラン選手の域を迎えたが、在籍8年目にして自身初のJ1の舞台へ。

6 宮原和也 評価 S
2023年シーズン成績 41試合3611分出場 0得点2アシスト

J2では別格の対人能力の強さを武器に、右サイドで守備の要塞を築く存在に。
ボールを持てば質の高いビルドアップと果敢な攻撃参加で多くの好機を演出し
加入初年度から特大級のインパクトを放って昇格の大きな原動力となった。
代えの効かない存在だっただけに41試合を怪我なく戦い抜いた点も高評価。

13 林尚輝 評価 C
2023年シーズン成績 23試合1778分出場 3得点1アシスト

シーズン序盤はキャリア初となるアンカーに抜擢されてレギュラーを掴むと
長い怪我から復帰した終盤戦はCBとしてPO決勝までスタメン出場を続けた。
果敢な縦パスなどリスクを恐れぬ積極的なプレーで新風を吹かせる存在に。
40節にはカウンターからのロングランでFWさながらの貴重な得点も記録した。

15 千田海人 評価 D
2023年シーズン成績 12試合635分出場 0得点0アシスト

移籍したンドカの後任として期待されるも、最後までスタメンが遠い一年に。
空中戦の強さは発揮したが、足元の技術が不足し戦術への適応に苦しんだ。
それでも、古巣の秋田戦などボールの往来が激しい試合では重宝される存在に。
鍛えるべき課題は明確なだけに、ビルドアップを鍛えJ1の舞台で奮起したい。

16 山越康平 評価 B
2023年シーズン成績 31試合1937分出場 2得点0アシスト

昨季は城福体制発足後に出場機会を失うも、弛まぬ努力で信頼を掴み取った。
今季は前半戦を主戦のCBとして活躍し、20節にはロスタイムに貴重な得点も。
終盤戦はベンチを温める機会が増えたが、昇格に大きく貢献する存在となった。
怪我人が相次いだDFラインで一年間フル稼働した点も高く評価していいだろう。

24 奈良輪雄太 評価 D
2023年シーズン成績 17試合700分出場 0得点0アシスト

開幕3戦こそスタメンを掴むも、以降はメンバー外が続き契約満了が決定。
静かながら誰よりも強いクラブ愛を胸に、移籍は選ぶことなく引退となった。
一切の妥協を許さない練習姿勢はまさに真のプロフェッショナルと言っていい。
城福監督の語った「※ナラヘッド」は語り草。昇格には不可欠な存在だった。

26 加藤蓮 評価 C
2023年シーズン成績 39試合1917分出場 2得点1アシスト

スプリント能力や得点能力を買われ、今季は左SHを主戦場に39試合に出場。
POではスタメンから外れるなど城福監督の信頼は決して盤石ではなかったが
何でも起用にこなすポリバレント性を武器に貴重な存在として重宝された。
一方で器用貧乏という感も否めず、来季はスタメン定着への武器を会得したい。

39 アルハン 評価 E
2023年シーズン成績 1試合10分出場 0得点0アシスト

今季も残念ながら戦力としては一切みなされず、出場わずか10分で終了。
天皇杯で披露した脅威のロングスローは確かに目を見張るものがあったが
フィジカルの弱さに起因する守備の不安は昨季に続いて拭えないままだった。
現体制では完全に戦力外だが、環境を変えればJリーグでの活躍もあり得るか。

※ナラヘッド=練習中のヘディング練習において、奈良輪が常に一番高い位置でのヘッドを求めることで周りの選手たちも最終的に全員がその高さでの練習に取り組むようになったという話。

◎ディフェンダー部門総評

ンドカと馬場の退団もあって開幕前はタレント力の低下が懸念されていたが、蓋を開ければリーグ最少失点という堅守で前評判を見事に覆してみせた。
守護神マテウスの活躍に拠る所は大きいものの、DFラインの各選手の奮闘がなければこの結果は決してありえなかっただろう。

CBは前半戦を平と山越というベテラン選手の活躍で乗り切り、後半戦は谷口と林という若手両名の頑張りで一年間を乗り切った。
ベテランと若手それぞれの活躍を促す城福監督のマネージメント能力も見事だが、毛色の大きく異なるコンビでの昇格劇は戦術が全選手に浸透できていることの証でもあるだろう。

また、昇格を語る上で欠かすことが出来ない選手が新加入の宮原和也だ。
名古屋を退団となった時点で驚きはあったが、ピッチ上で見せた守備能力はまさに別次元。
対人戦の強さ、カバーリング能力の高さは目を見張る物があり、彼の加入で右サイドは突如としてチームのストロングポイントとして生まれ変わることになった。
特に中原の加入後は彼をうまく使いながら自身も攻撃参加が増えるようになり、得点こそ生まれなかったものの貴重なミドルシュートなどでこれまで以上の存在感を発揮した。

そして、最後に忘れてはならないのが奈良輪雄太の存在である。
今季も出場機会はほとんど得られなかったが、ファン感謝デーで城福監督がわざわざ時間を割いて彼の貢献について語ったことからも、チームにとってどれだけ重要な存在だったかは明白だ。
出番が得られずも腐ることなく120%の努力を続けることはプロの選手にとっても容易ではない。
アカデミー卒の選手が多い故にプロとして甘い部分も多かったチームにおいて、彼のプロフェッショナルな姿勢が与えた影響は計り知れないものがある。
潔い引退表明も含めて、最後までヴェルディのことを想い続けた彼のクラブ愛には改めて賛辞を送りたい。

■ミッドフィールダー部門

4 梶川諒太 評価 D
2023年シーズン成績 8試合366分出場 2得点0アシスト

開幕8戦で2得点と好スタートを切るも、8節で靭帯損傷の大怪我を負うことに。
驚異的な回復で終盤に復帰するも、復帰以降は出場機会をほぼ得られなかった。
長らくクラブに尽くし絶大な人気を誇る選手だったが、今季限りで退団が決定。
ピッチ内外での献身性や高いプロ意識にはこの場を借りて賛辞を送りたい。

7 森田晃樹 評価 A
2023年シーズン成績 40試合3381分出場 1得点3アシスト

城福監督からは引き続き絶大な信頼を受け、今季はキャプテンにも就任。
ユース出身選手としてクラブ哲学を色濃く感じさせる技術の高さを発揮しつつ
ハードワークを徹底し、現チームに欠かせぬ大黒柱として一年間フル回転した。
試合を追うごとに主将としても存在感を発揮し、昇格決定後は万感の男泣き。

8 齋藤功佑 評価 A
2023年シーズン成績 32試合2113分出場 4得点6アシスト

加入初年度から合計10得点に絡む活躍で昇格の大きな立役者となった。
ゴール前でのアイデア豊富なプレーは得点力に欠けるチームで重要なピースに。
また、情熱あふれる言動でチームを盛り上げるなどピッチ外でも強く尽力した。
戦術理解度にも優れ、多角度からの貢献で早くも現体制には欠かせぬ存在だ。

9 杉本竜士 評価 E
2023年シーズン成績 4試合193分出場 0得点0アシスト

開幕から4試合に先発出場するも、インパクトは少なく3試合はHTで交代。
結局4節以降は1試合も出場することなく、7月に群馬への移籍が決定した。
突破力にはすっかり陰りが見られ、昨季のような得点力も発揮できず。
戦術へのフィット感も乏しいので、このまま新天地を求めるのが吉だろう。

14 長谷川竜也 評価 C
2023年シーズン成績 8試合389分出場 1得点1アシスト

得点力向上へ向けてのラストピースとして、8月下旬というタイミングで加入。
39節では0-2からの大逆転の口火を切る存在として見事な得点も奪った。
しかし、コンディション維持に苦しみ以降はPO決勝での僅か9分の出場のみ。
その一方で優れた統率力を発揮し、彼の加入でチームが変わったとの声も多々。

17 加藤弘堅 評価 E
2023年シーズン成績 8試合362分出場 0得点0アシスト

開幕2戦こそ先発出場したものの、以降の試合はスポットでの出場に留まった。
16節の栃木戦にて前半での交代が決定打となったか、夏に完全移籍が決定。
中盤の選手に高いインテンシティが求められる現体制とは親和性が悪かった。
技術には錆びつきなく、チームを選べば今後も息の長い活躍を望めるだろう。

18 バスケス・バイロン 評価 D
2023年シーズン成績 22試合1504分出場 2得点2アシスト

ジョーカーだった昨季から異なり、今季はスタメンに定着し攻撃を牽引。
スコアに不満は残れど、貴重な局面打開役として強い存在感を発揮した。
しかし、並行して町田への移籍を画策し夏の移籍期間開始と同時に退団。
クラブ史上最悪の移籍と呼ばれる退団劇で多くのファンから批判を集めた。

19 小池純輝 評価 E
2023年シーズン成績 1試合15分出場 0得点0アシスト

開幕前から戦力外という立ち位置は明確だったが、クラブ愛を貫き残留を決断。
戦力とみなされない中でのシーズンは本人にとっても辛い一年だっただろうが
強い決意を胸に、最後までピッチの外からチームのために尽くし続けた。
退団が決まるも、苦しい時期にチームを牽引した長年の功績に感謝を示したい。

20 北島祐二 評価 C
2023年シーズン成績 28試合1183分出場 3得点4アシスト

序盤戦はジョーカーに留まったが、フィットが進み5月頃からはスタメン定着。
ヴェルディらしいテクニカルかつギラギラとしたプレーでファンを沸かせ
質の高いプレースキックで多くのゴールを呼び込む重要な役割も担った。
一方で負傷離脱後は新加入選手に押し出され出場1試合と尻すぼみな結果に。

22 甲田英將 評価 E
2023年シーズン成績 9試合309分出場 0得点0アシスト

チームに不在だった局面打開役として6月に加入するも、満足な結果を残せず。
求められていたドリブルを見せる場面は少なく、消極的な選択が多かった。
それでも徐々に調子を上げていた8月に大怪我を負ってシーズン終了が決定。
自身も悔しい一年となったが、ひとまず所属元の名古屋への復帰が濃厚か。

23 綱島悠斗 評価 C
2023年シーズン成績 34試合1338分出場 2得点0アシスト

大型ルーキーとして期待され春先はスタメンを掴むも、定着にまでは至らず。
サイズを活かした守備は披露したが、繋ぎでの不安や軽率なミスが先行した。
それでも試合の流れを変える貴重な存在としては重宝され、34試合に出場。
終盤戦ではFWとしても起用されて存在感を見せるなどプレーの幅を広げた。

25 稲見哲行 評価 A
2023年シーズン成績 28試合2304分出場 4得点0アシスト

今季も怪我で出遅れとなったが、16節の栃木戦で途中出場ながら決勝点。
この試合を潮目に以降はほぼ全試合に先発出場し、中盤の要となった。
豊富な運動量に加えて、相手からボールを「奪い切る」奪取力は大きな魅力。
更には左右両足での強烈なシュートも備え、攻守両面で強く昇格に貢献した。

28 楠大樹 評価 E
2023年シーズン成績 3試合32分出場 0得点0アシスト

快足ドリブラーとして期待されるも、出場わずか3試合とプロの壁に阻まれた。
10節を最後にベンチ入りもほとんどなく、後半戦は戦力外に近い立ち位置に。
出場時のプレーを見てもこの扱いには納得せざるを得ないのが率直な感想だ。
J1昇格も決定し立場はさらに苦しく、出場機会を求めての移籍が予想される。

33 橋本陸斗 評価 D
2023年シーズン成績 出場なし

トップチーム昇格2年目となったが、出場機会がないまま夏にYS横浜へ移籍。
戦術との親和性の問題か、城福監督からの評価は極めて低いのが現状だ。
移籍先でも先発出場は1試合に留まるなど、大きな壁にぶち当たる一年に。
実質プロ一年目となる来季は言い訳無用のシーズン。数字で結果を示したい。

34 西谷亮 評価 E
2023年シーズン成績 4試合37分出場 0得点0アシスト

400分以上に出場した昨季に比べて、大きく出場機会を減らす一年となった。
新加入選手の壁が高かったとはいえ、昨季同様目立った武器が見えづらい。
まだ19歳とは言え、プロで結果を残すためには早く「一芸」を磨きたい所。
熱いクラブ愛が伝わる選手だけに、多くのファンが彼の大成を望んでいる。

40 新井悠太 評価 B
2023年シーズン成績 8試合251分出場 2得点2アシスト

大学3年生にして加入内定が決まると、そのまま特別指定選手として大活躍。
乾(清水)が絶賛したドリブルを武器に、出場初戦で見事初得点を挙げた。
その後も突破力を遺憾なく発揮し、大学の活動に戻る際は多くの惜しむ声が。
結果的に8試合の出場で4得点に絡み、10月には五輪代表にも選出されることに。

47 中原輝 評価 A
2023年シーズン成績 16試合1318分出場 5得点4アシスト

バスケスの移籍により7月に急遽加入も、結果的に彼をも上回る大活躍を披露。
鮮烈なデビュー戦以降はやや停滞する時期もあったが、終盤戦でまさに爆発。
カットインからの強烈な左足、そして見事なFKと超重要な決勝点を連発した。
結果的にPOを含めてラスト6試合で4得点を挙げ、チームをJ1へ導く救世主に。

◎ミッドフィールダー部門総評

オーソドックスな4-4-2が基本形のシーズンだったが、ダブルボランチは森田と稲見で完全に固定。
2年連続キャンプで負傷となった稲見が出遅れた時期は4-3-3をベースに林や綱島をアンカーで起用する時期もあったが、稲見の台頭で中盤の人選が固定されたことは昇格の大きな要因と言っていい。
攻撃を司る森田と、彼の周りでボールを狩り続ける稲見と補完性にも優れ、両選手ともに怪我での離脱がなく最後まで戦い抜いてくれた点が何より心強かった。

その一方で開幕前からの懸念事項だったサイドハーフに関しては、結局城福監督のお眼鏡に叶う選手が中々現れないままであった。
バイロンや北島、そして時にはマリオや杉本と代わる代わる多くの選手が起用されたものの、どの選手もスタメン定着には至らず6月には甲田の加入が決定。
その甲田も期待通りの活躍を見せられずに苦しんでいた中で、7月に遅れて加入となった中原輝の存在はまさしく「メシア」だったと言っていい。

0-2からの大逆転となった千葉戦での決勝点、そしてホーム最終戦の栃木戦で見せた鮮やかなFK弾、更にはシーズン最終戦の大宮戦でも先制ゴールと、大事な試合のここぞという場面でゴールを連発し、終盤戦は戦術兵器として昇格をひとりで手繰り寄せる存在となった。

また、中原よりも更に遅れて8月に「ラストピース」として加わった長谷川竜也も、昇格には欠かせない存在となったことは間違いない。
1得点1アシストとプレーでは直接的な貢献を残せなかったものの、加入直後から積極的な発信と対話を繰り返すことでチームを改革。
これまでにはなかった細かい要求がチーム全体で生まれるようになり、「長谷川の加入でチームが大きく変わった」と評する選手も多かった。
常に明るい振る舞いでチームを盛り上げた齋藤と合わせて、「昇格を知る存在」を2名加えたこともJ1復帰の大きな要因となったことは間違いないだろう。


■フォワード部門

11 阪野豊史 評価 D
2023年シーズン成績 20試合696分出場 3得点2アシスト

4節の藤枝戦で2得点1アシストと好スタートを切るも、その後が続かなかった。
途中出場が多いとはいえ、一定の出場機会はあっただけに言い訳は難しい。
フィニッシュワーク以外での貢献度も低く、夏に今治への完全移籍が決まった。
昨季の大怪我が悔やまれるが、短い出場時間でも通算6得点と能力は示した。

14 マリオ・エンゲルス 評価 E
2023年シーズン成績 14試合564分出場 0得点0アシスト

外国籍選手としては久々の即戦力FWとして期待されるも、結果は散々。
求められていたセンターフォワードとしての役割は全く果たすことが出来ず
僅かな光明を見出したサイドアタッカーとしてのプレーも物足りなかった。
チーム内にも馴染むことが出来ずに、結局わずか5ヶ月で双方合意の末に退団。

27 山田剛綺 評価 C
2023年シーズン成績 30試合1185分出場 3得点3アシスト

5月頃からスタメンを掴み、14節でのプロ初得点以降は8試合で2得点と活躍。
しかし、その後が続かず出場機会も遠のく尻すぼみな一年となってしまった。
それでも、小柄ながらポストプレーにも長けるなど自身の持ち味は強く発揮。
プレーオフ2戦では揃って先発出場を果たし、最後の最後で昇格に貢献した。

29 河村慶人 評価 D
2023年シーズン成績 31試合1600分出場 2得点1アシスト

城福チルドレンとして開幕からスタメンが続くも、得点があまりにも遠かった。
さすがに指揮官の序列を落とすと、夏場の負傷を機に以降は出場機会が激減。
復帰以降も昨季見せたような縦への推進力を発揮する場面は少なかった。
まずはベストコンディションを取り戻して、来季は指揮官の信頼を掴みたい。

30 佐川洸介 評価 D
2023年シーズン成績 15試合271分出場 1得点0アシスト

プロの水に適応できず大きく出遅れる一年となったが、徐々に信頼を獲得。
終盤のジョーカーとしての起用が増えると、30節の秋田戦で初得点を奪った。
後半ロスタイムでの決勝点と、彼の存在なくして今季の昇格は有り得ない。
補強の影響もあり以降は出場機会が激減も、この一発で鮮烈な印象は残した。

39 染野唯月 評価 B
2023年シーズン成績 18試合1598分出場 6得点1アシスト

指揮官が待ち焦がれた恋人として夏に復帰を果たすと、復帰初戦で2得点。
以降は得点の遠い時期もあったが、絶大な信頼は揺るがず全試合に先発した。
守備での献身性や高いキープ力など、城福サッカーには必要不可欠な存在。
PO決勝では土壇場で獲得したPKを自ら沈め、クラブ史に名を刻んだ。

42 白井亮丞 評価 D
2023年シーズン成績 1試合8分出場 0得点0アシスト

高校生ながら天皇杯での東京ダービーに途中出場を果たし何と得点を記録。
ゴール以外にも鋭い突破力を示し、期待感の高いプレーを見せてくれた。
フィジカル面でも見劣りする印象はなく、プロの舞台でも活躍の予感が漂う。
クラブにとっては久々の育成出身FW。大事に育てつつも早い活躍に期待だ。

◎フォワード部門総評

フォワード部門だけを見たら昇格クラブとは到底思えない内容であることは間違いない(笑)
6選手の中で一年を通して戦力として機能した選手はほとんどおらず、そもそも開幕からまるで戦力が足りていなかった。
マリオ・エンゲルスがフィットすれば…というのがクラブにとっては恨み節かもしれないが、正直彼のプレースタイルを見ているとフィットしなかったのは当然と言わざるを得ない。
近年は素晴らしい仕事を見せている強化部だが、彼の補強に関しては厳しい評価を下さざるを得ないだろう(苦笑)

それだけに、夏の移籍で加入した染野は中原と同じくらい「救世主」と呼べる存在だった。
復帰初戦となった町田戦でいきなり2ゴールを挙げただけにその後の得点ペースには不満も残ったものの、昨季同様終盤に調子を上げて9月からの公式戦12試合では5得点を記録。
プレーオフ決勝戦ではあの場面で自らPKを蹴りに行く見事なメンタリティを披露し、冷静にシュートを沈める「これぞストライカー」というプレーでチームを昇格に導いた。
それだけに、来季なんとしてもチームに残したい選手のひとりだが果たして。

染野以外で健闘が光った選手はルーキーの山田剛綺になるだろう。
得点こそ3得点にとどまったものの、ピッチ上でのプレーからはキラリと光るものが多かった。
上背はないのだが巧みなポストプレーで溜めを作ったり、フィジカルの強さを活かした強引な突破力でチャンスを呼び込んだりと彼の貢献も多岐に渡る。
総合力の高いFWとして城福監督の評価も高く、プレーオフで突如先発起用されたのにも納得だ。


■チーム総評

開幕前にこのメンバーで昇格が出来ると思っていたファンは少なかったのではないだろうか。
城福監督自身が昇格後のインタビューで「見向きもされない存在だった」と語ったが、これは謙遜でもなく実際の事実だったはず。
エースだった佐藤凌我の退団と染野の鹿島復帰が決まりながら、即戦力の補強が乏しかった前線のラインナップを見れば「昇格は難しい」と判断するのがむしろ当然のように思われる。

しかし、周りはどう評価しようとも城福監督の信念は一切揺らぐことがなかった。
ストライカーよりも宮原や林の獲得を優先することで「守備の強度」をベースとして築き、まずは大崩れしないチームの確立に成功。
その一方でこれまでクラブが培ってきたパスサッカーに、前線からのプレッシングを基本とした縦に速いスタイルを組み込む難しい作業に粉骨砕身の姿勢で取り組んだ。

この努力はすぐに形になって表れたとは言い難いが、堅守を武器に序盤戦から勝ち点を積み上げることで選手たちからの求心力を維持。
城福監督自身も優れたモチベーターとしての手腕を発揮することで、秋口に入ってからは理想のサッカーが完成にぐっと近づくことに。
それでも下位相手の取りこぼしなどが見られたものの、周りのクラブの「お付き合い」といった運の良さにも恵まれて見事3位でのプレーオフ進出を勝ち取った。

とはいえ、夏場にはさすがにアタッカー不足が否めず勝ち点が伸び悩む時期があったのも事実。
その中で中原、長谷川という「限られた資金の中での最大の後押し」を見せた強化部の仕事ぶりも素晴らしかった。
特に中原輝に関しては文句なしの補強と言ってよく、彼が加入するきっかけとなったバスケス・バイロンの退団には嫌味抜きで感謝したいほどである(笑)

このように、現場とフロントが一体になった強化が功を奏し最後は劇的な形でJ1昇格が決定。
ラスト1ヶ月の展開は「出来すぎ」なくらいの印象もあったものの(笑)ドラマチックな昇格劇の裏には城福監督や江尻強化部長による地道な努力の積み重ねがあったことは忘れてはならない。

その一方で、戦術の改変が進んだこともあって、シーズン中やシーズン後にはこれまでクラブを支えてきた功労者との別れが待ち受けることとなってしまった。
この点に関してはクラブも断腸の思いによる決断だっただろうが、各選手の評価が極端に別れたようにチーム内の序列が明確に分かれてしまったことは現チームの課題とも言えるだろう。

城福監督は昇格直後のインタビューで真っ先に「控え選手たちの努力への感謝」を述べたが、来季はなるべく戦力の底上げを進めてチーム全体の平均値を高めたい所。
強力な外国籍選手の獲得もいいが、J1という舞台に惑わされることなくこれまでと同様に堅実なチーム作りを進めてほしい。

そのような気持ちを込めて、次回はそんな東京ヴェルディの「来季展望」を更新するので、興味があればそちらもご覧いただけますと幸いです。