2022年J2通信簿 その1 | BBGのブログ

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さて、今回からは2022年シーズンのJ2とJ1の全クラブの通信簿の更新を始めたいと思います。

毎年恒例の企画ですので詳しい説明は省かさせてもらいますが、今季も合計40クラブをポジションごとに詳しく採点!
まずはJ2の22クラブを紹介していきますので、早速ですがご覧ください!!


【2022年J2通信簿 その1】

■18位 ヴァンフォーレ甲府 11勝15分16敗 勝ち点48
『初のタイトル獲得を達成するも、リーグに関しては厳しい評価の一年に。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】60点
【DF】60点
【GK】70点
【指揮官】50点
【総合点】310点
【補強評価】E
【MVP】須貝英大


伊藤監督の退任以降監督の選定が大きく遅れ、年が明けてからようやく吉田監督の就任が決定。
18年に成績不振で退任となった監督を再登板させるという選択には不安の声も強かったが、結果的にはこの不安が的中するシーズンとなってしまった。

前回の就任時と同様にボール保持を重んじるパスサッカーを推し進めた吉田監督だったが、引かれた相手を崩せない点や守備戦術の欠如という課題も同様にリピート。
保持率やパス数こそリーグでも上位となる数字を記録したものの、結果がついてこずに勝ち点は昨季から30以上もマイナスとなってしまった。

各ポジションの評価はそこまで悪くないことからも明らかのように、選手個々のクオリティは決して低くなかっただけに指揮官の責任は重大だ。
相手からの対策が進めば進むほどチームは泥沼に陥り、終盤戦は7連敗と一年での退任は致し方ないと言えるだろう。

しかし、皮肉なことに「引いてこない」J1のクラブを相手にした天皇杯では快進撃を見せ続け、最後は広島を破りクラブ初のタイトル獲得に成功。
それだけに指揮官の評価には苦しむ所だが、これも先程述べたように「選手個々のクオリティは低くなかった」ことの表れと言えるだろう。

選手との関係も良好だっただけに評価には悩んだが、今回はあくまでもリーグ戦の結果を基に厳しい採点とさせてもらった。
来季へ向けてはまず早めに監督を選定し、今季の二の舞いとならないように良い準備をしたい。


■19位 大宮アルディージャ 10勝13分19敗 勝ち点43
『フロント、選手、サポーターの全てがバラバラではこの結果も致し方ない。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】60点
【DF】50点
【GK】60点
【指揮官】60点
【総合点】280点
【補強評価】D
【MVP】富山貴光


霜田体制が本格的にスタートとなったが、指揮官の目指した攻撃的サッカーは開幕からまるで機能せず。
初勝利までに10試合を要し、結局18試合を終えて20位という成績で早々と解任が決定した。

後任には相馬直樹監督を迎え入れることとなったが、霜田監督とは「真逆」に近い指導者ゆえに戦術のフィットに大きく時間がかかることに。
結果的に相馬体制でも成績は伸び悩み、クラブ史上最低となる19位でのフィニッシュとなったが、この成績に関して相馬監督を責めるのは酷だろう。
チームとしての哲学が定まらず、志向の異なる監督の選考を繰り返すフロントの能力不足がわかりやすく結果に表れる一年だったと言っていい。

その一方で、途中就任となった原博実氏(フットボール本部長)からも指摘があったように、ピッチ上の選手たちから戦う姿勢や覇気が感じられなかったのもまた事実。
この点を監督のマネージメント能力不足と片付けるのはやや早計という印象で、19位という成績は選手個々の責任も重く捉える必要があるだろう。
MVPに選出した富山の主将としての孤軍奮闘がなければ、降格もいよいよ現実味を帯びていたはずだ。

こうしたチーム状況の影響からか、近年は親会社であるNTTからの出資も大幅に減少。
ホーム最終戦ではサポーターから直接NTTへ向けて強い批判のメッセージが掲げられるなど、フロントから選手、サポーターまでまさに現在の大宮はクラブ全体がバラバラという印象は否めない。
まずは何とか一体感を取り戻すところから始めたいが、その道のりは茨の道となるだろう。


■20位 ザスパクサツ群馬 11勝9分22敗 勝ち点42
『ワンパターンな戦い方で限界を露呈。若手選手の成長は大きな収穫だ。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】40点
【MF】50点
【DF】60点
【GK】70点
【指揮官】50点
【総合点】270点
【補強評価】C
【MVP】櫛引政敏


大槻体制初年度となった今季は、序盤戦こそ好スタートを切ったものの徐々に失速。
後半戦はほとんど20位近辺から抜け出せないまま、何とか残留という結果のみを掴み取る一年となった。

尻すぼみな結果となってしまった理由としては、戦術がワンパターンだったことにあるだろう。
4バックと3バックの併用なども試したものの、布陣が何であれ基本的には「引いて守る」のみの戦い方で年間を通して結果を出すのはあまりにも無理があった。

10試合も経たぬ内に相手からの対策が進み、4月の半ばから7月にかけて17試合でわずか2勝とチームは大スランプに。
細貝の戦列復帰などもあり終盤戦はハードワークを主体としたサッカーで粘り強く勝ち点1を積み上げたものの、大半の試合で防戦一方となった試合内容に関しても不満は強い。
残留という結果に関しても、ビッグセーブを連発した櫛引の存在が無ければ危うかったと言っていいだろう。

このようにチームとしては伸びしろの乏しいシーズンとなってしまったが、選手個々に焦点を当てると新戦力の台頭が多く見られるシーズンでもあった。
高卒ルーキーながら終盤戦でスタメンを確保した岡本や、2年目でレギュラーを獲得した城和、そして8月の加入で「掘り出し物」となった長倉など、思い切った若手選手の起用に関しては高い評価が与えられるべきだろう。

しかし、ワンパターンな戦い方が大半のクラブに知れ渡ってしまった以上、来季も同じ戦術では順位向上はおろか残留すらが危うくなってくる。
大きな課題となったFW不足という課題を補強でクリアしつつ、来季までの間に何とか大槻監督が自身の戦術をアップデートさせたいところだ。


■21位 FC琉球 8勝13分21敗 勝ち点37
『新体制で守備改善は進むも残留に僅か届かず。次期監督の選考には要注目。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】50点
【DF】50点
【GK】50点
【指揮官】50点
【総合点】250点
【補強評価】D
【MVP】池田廉


就任2年目を迎えた喜名体制ではより攻撃的なサッカーを目指し、リスクを省みない非常にアグレッシブな選手起用でシーズンイン。
しかし、案の定と言うべきか守備が瓦解し、開幕から15試合でわずか2勝とチームは低迷。
修正力に乏しい指揮官はこうした流れを一切断ち切ることが出来ず、20試合で39失点と散々たる成績で20節を以って解任が決定した。

次期監督にJリーグで初の指導となるナチョ・フェルナンデス監督を招聘するというリスキーな選択は不安の声も強かったが、フェルナンデス監督はスペイン人らしからぬ守備偏重なスタイルを導入しチームの守備は大きく改善。
パスサッカーとはまさに対極に位置するロングボール中心の攻撃は美しさこそ欠いたものの、地道に勝ち点を積み上げて残留圏内まであと一歩に迫る戦いを披露してくれた。

残念だったのは指揮官の招聘と共に夏の移籍で加入した2名の外国籍選手がそれぞれ「いまひとつ」だったことにあるだろう。
フェルナンデス監督のスタイルでは空中戦に強い「ターゲットマン」の存在が必須だったが、サダム・スレイもケルヴィンもそれぞれその役割を満足にこなすことが出来なかった。
失点の減少こそ進んだものの、33節からは7試合連続で無得点など今度は得点が伸び悩み、結局21位での降格が決定した。

降格という結果を受けてフェルナンデス監督は退任が決定したが、これまでクラブのカラーリングでもあった攻撃的サッカーを再度J3では貫くのか。
それとも「フェルナンデス流」をベースに守備的戦いに舵を切るのか。
監督の選定を含めたクラブの決断に今後のクラブの未来が大きく懸かっていることは間違いない。


■22位 いわてグルージャ盛岡 9勝7分26敗 勝ち点34
『再現性皆無の戦術ではこの結果も当然。J2に相応しいクラブとは言えず。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】50点
【DF】50点
【GK】50点
【指揮官】40点
【総合点】240点
【補強評価】D
【MVP】奥山洋平


守備の強度が売りだったチームはどこへやら、リーグワーストとなる80失点を喫し一年での降格が決定。
42試合で80失点という成績および、最下位での降格という結果には厳しい評価を与えざるを得ない。

ここまで成績が落ち込んだ理由としては、ひとえに指揮官の能力不足と言っていいだろう。
どのクラブを相手にしても一律的にロングボールの放り込みに徹する采配は、ブレがないと言うよりも完全な分析不足。
対戦相手に応じたサッカーを展開できず、毎試合毎試合無策に失点を繰り返す姿はファンにとっても失望が強かったことは間違いない。

また、こうした「ロングボール戦術」も練度が極めて低く、放り込んだ後の形や再現性というものがチームには皆無だったと言っていい。
どれだけ素早く相手陣内にボールを放り込んでも即座に回収されてしまうため、ほとんどの試合で自ら相手に主導権を明け渡すことに。
J3の舞台ではブレンネルや牟田を中心に個の能力で相手を圧倒できたものの、J2ではやはりしっかりとした戦術がなくては結果を残すことが出来なかった。

ここまで厳しいシーズンとなったにもかかわらず、秋田監督を年間を通して続投させたクラブの判断には疑問が残る。
ましてや来季からは監督を退いて代表取締役兼オーナー兼社長という「ワンマンクラブ」の権限を与えるとは信じがたいの一言だ。
こうした不可解な判断を含め、厳しく言えばJ2で戦うには相応しいクラブとは言えなかったというのが率直な感想となるだろう。