2021年東京ヴェルディ通信簿 | BBGのブログ

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シーズン終了から1週間以上が経過し、徐々に来季へ向けての移籍の話題などが盛り上がっている中ではありますが、今回は2021年の東京ヴェルディ通信簿を皆様にお届けしたいと思います。

AからEの5段階評価で在籍全選手の評価をつけていこうというこの時期の恒例企画。
昨シーズンに続いて12位という結果、更にリーグワースト3位という失点数を考えると今季も恐らくは厳しい評価が並ぶとは思いますが(苦笑)ファン故の厳しい評価は取り除き、フラットな目線で各選手を評価させてもらった・・・つもりでいます(笑)

それでは以下をご覧ください!
長くなりますがよろしくお願い致します!!


【2021年東京ヴェルディ通信簿】

■ゴールキーパー部門


1 柴崎貴広 評価 C
2021年シーズン成績 8試合720分出場 10失点

今季も2ndGKの地位を譲らず、マテウスの負傷などに伴い8試合に出場。
昨年よりも失点につながるミスが減り、安定したセービングを披露した。
39歳という年齢を考えればJ2の舞台で活躍できていること自体が見事。
残念ながら今季限りでの退団が決まったが、今後の活躍を期待したい。

21 長沢祐弥 評価 D
2021年シーズン成績 1試合69分出場 1失点

柴崎の壁は超えられなかったが、41節に途中出場ながら今季初出場。
ピンチも少なく実力は図りづらかったが、チームの快勝に貢献した。
恐らくはマテウス退団に備えた「保険」としての獲得だったと思われるが
一年間を通して腐らずに練習に取り組んだ成果が出る69分間となった。

31 マテウス 評価 C
2021年シーズン成績 34試合2991分出場 55失点

失点がかさむシーズンとなってしまったが、自身は多くの好セーブを披露。
いくつかの連携ミスはあったが、課題のハイボール処理には改善も見られた。
外国人GKという難しい立場ながら2年続けての安定した活躍は高い実力の証。
来季以降のキャリアは不透明だが、多くのファンから愛される存在となった。

41 佐藤久弥 評価 D
2021年シーズン成績 出場なし

経験豊富な柴崎、そして昨季J3で活躍した長沢の前に出場機会を得られず。
それでも数試合でベンチ入りを果たし、最初の一歩を踏む一年となった。
持ち味と言われるフィードの上手さは周りのライバルにはない彼だけの武器。
まずはファンの前でプレーし、自らのプレースタイルをアピールしたい所だ。

◎ゴールキーパー部門総評

クラブ史上初の外国籍GKとなったマテウスが在籍2年目を迎えた今シーズン。
既に昨季高い実力を示したように、マテウスは今季も安定したプレーを披露した。

時折失点につながるような連携ミスなどがあっただけに「完璧」とは言い難かったが
チームが1年間推し進めたボール保持を大事にするサッカーには彼の存在が不可欠。

クラブOBの高木義成からは「熱量」といった部分を指摘する声も挙がったが
シーズンのほとんどを「唯一の外国籍選手」としてプレーしたことは考慮してあげるべきだろう。
控えめな性格の持ち主であることは確かだが、SNSやクラブからのリリースを通じて日本人選手にも負けないクラブ愛を示してくれたことは深く感謝したい。
今後の去就は不透明だが、コロナ禍の影響によりこの優れたGKとファンが交流を図れなかったのは残念の一言だ。

去就という面では、柴崎の契約満了もファンにとっては非常に寂しいニュースとなってしまった。

ここ数年は残念ながら守護神の座が遠かったが、一方で2ndGKとしては優秀な選手だったのもまた事実。
出来ることならば引退までこのクラブで過ごしてほしかったが…ベテランが故に「コスト」の面での難しさがあったのだろう。
最終戦で見せたプレーを考えれば本人が現役続行を望むのも当然であり、39歳での新たな挑戦を心から応援したいと思う。

従って、マテウスの去就に関わらず今オフは実力あるGKの補強が必須となった。
柴崎から2ndGKの座を奪えなかったことを考えると長沢や佐藤へのに高い期待は酷。
恐らくは「高給取り」であるマテウスが3年目を迎えることも考えづらく、堀監督が続投となったことを踏まえるとビルドアップに長ける正GK候補の獲得は絶対条件となるだろう。

獲得候補選手に関しては・・・また次の記事でということで(笑)


■ディフェンダー部門

2 若狭大志 評価 C
2021年シーズン成績 41試合3422分出場 0得点2アシスト

昨季から更に出場機会を伸ばし、今季はチーム最長となる出場時間を記録。
しかし、昨季とは違いほとんどをCBとしてプレーした今季は内容にやや不満も。
失点に直結するミスも多く、相手との駆け引きで引けを取る場面も多かった。
貢献度には強く感謝するが、ここまでの重用には疑問が残った感は否めない。

3 富澤清太郎 評価 D
2021年シーズン成績 4試合111分出場 0得点0アシスト

11年以来10年ぶりの復帰となるも、残念ながら戦力としては機能できず。
0-7で敗れた新潟戦で先発した負のイメージを最後まで払拭出来ずに終わった。
若手選手の教育役としても機能出来なかった点はやや残念だったという印象も。
自身はまだまだ第一線での活躍を望んでおり、一年限りでの退団が決定した。

5 平智広 評価 D
2021年シーズン成績 8試合497分出場 0得点0アシスト

守備の柱としてフル回転した昨季からは一転、今季は8試合の出場に留まった。
怪我の影響と思われるが、明確なリリースがない点はクラブにも不満が残る。
終盤戦の復帰も一時的な起用にとどまり、結局最後まで扱いはほぼ戦力外。
来季の去就は未定だが、彼の不在が今季大きな痛手だったことは間違いない。

15 ンドカ・ボニフェイス 評価 B
2021年シーズン成績 34試合2913分出場 2得点0アシスト

永井サッカーへの適応が遅れたことで序盤は出場機会を得られなかったが
11節でスタメンを掴むと、そこから最終節までは全試合でスタメン出場。
試合をこなすにつれて課題だった足元の技術やパス能力も向上が見られた。
結果この1年でスケールアップを果たし、今オフは早くも市場の注目銘柄に。

16 福村貴幸 評価 D
2021年シーズン成績 34試合2659分出場 0得点1アシスト

今季も左SBの一番手を譲らず34試合に出場も、攻守に不満の残る一年に。
8つのアシストを記録した昨季に比べて僅か1アシストというスコアは勿論
対人能力での弱さから対戦相手に守備の穴として狙われる試合も多かった。
驚きの右SBでも新境地は開拓出来ず、残念ながら今季での退団が決定した。

22 馬場晴也 評価 D
2021年シーズン成績 13試合786分出場 0得点0アシスト

開幕数戦はスタメンで出場するも、新潟戦での大敗を機に出場機会を失った。
以降は年間を通してほぼ出場機会を掴めず、悔しい一年を過ごすことに。
不遇が過ぎた感もあるが、先発した試合での失点数を考えると止むなしか。
ラスト2試合では連勝に貢献し、来季こそは独り立ちを目指したい所である。

23 深澤大輝 評価 C
2021年シーズン成績 17試合1267分出場 1得点1アシスト

永井体制では一時的な起用に留まるも、堀体制では右SBのレギュラーに定着。
試合ごとに急速に成長し、守備の安定感に加えて攻撃でも存在感を披露した。
最終戦ではついにプロ初ゴールを挙げるなど来季への期待感は極めて高い。
田村直也から「23番」を受け継ぐ存在として、ファンからも愛される存在だ。

28 山口竜弥 評価 B
2021年シーズン成績 15試合932分出場 0得点3アシスト

開幕当初の序列は低かったが、短いチャンスをモノにし一気に頭角を表した。
チームの中では目を引く積極性と、それを可能にする走力や突破力は圧巻。
攻撃の手詰まりが目立つ中で、彼の局面打開は攻撃における生命線となった。
それだけに2度の離脱が何より悔やまれる。来季こそはブレイクの年にしたい。

42 安在和樹 評価 E
2021年シーズン成績 12試合216分出場 0得点0アシスト

4年ぶりの古巣復帰にファンは湧いたが、期待を大きく裏切る結果となった。
序盤からコンディションが上がらず、出場機会は試合終盤での途中出場のみ。
扱いに不満は残るも、先発した際のプレーも精彩を欠いたことは間違いない。
アピールへの意欲も感じられず、最後まで存在感が極めて希薄な一年間だった。

44 浜崎拓磨 評価 D
2021年シーズン成績 4試合268分出場 1得点0アシスト

手薄だった右SBの本格派として、高い期待と共に夏に松本から途中加入。
デビュー戦で鮮やかなFKを沈めるなど華々しいデビューを飾ったものの…。
さぁこれからという時期に監督が交代し、堀体制では出番が回ってこなかった。
今季に関しては不運だったと言うしかない。体制継続につき返却が既定路線か。

◎ディフェンダー部門総評

リーグワースト3位の66失点。
選手の能力というよりはチームのスタイルに問題があったという方が正しいが、やはりこの成績では選手個々の評価も伸び悩むのは致し方ないだろう。

特に、昨季は高橋祥平と平智広という二人の実力者を擁したCBに関しては、大きく戦力ダウンしたと言わざるを得ない。
高橋の退団と引き換えに獲得したンドカは安定した活躍を見せた一方で、平がほぼ一年間不在だった影響はやはり甚大。
怪我だったのか、それとも指揮官との確執があったのか。真相はわかりかねるが、「左利きのCB」という稀少性も合わせて、彼の穴は簡単に埋められるものではなかったことは間違いない。
「代役」として年間を通して出場を続けた若狭には酷な言い方となるが、やはり若狭と平では「クオリティ」に大きな違いがあったのが率直な感想だ。

怪我が癒えた終盤戦でも出場機会を得られなかった平、そして浦和が触手を伸ばすとまで言われているンドカは退団が濃厚。
馬場、そして加入が内定している谷口と駒がいないわけではないが、来季はCBも補強の必須ポイントとなるだろう。

サイドバックに関しては、開幕した時点から編成が大きく歪だった感は否めない。
福村、山口、奈良輪、そして安在と実績ある選手を4人も並べた左サイドに比べて、右サイドは若狭と深澤の2名のみ。
結局この編成が仇となり、シーズン中には左利きの福村を右サイドに回したり、MFの森田を右SBで起用したりと試行錯誤が続いたことを考えれば、ここは強化部の大きな失態だったと言っていい。

また、4名の実力者を擁しながら左SBもシーズン中には戦力不足に悩まされる異例の事態に。
恐らくはピッチ外の問題にて奈良輪はシーズンの大半をチームに帯同せず、山口は2度の長期離脱で戦線を離れ、安在は年間を通して戦力となれずと思わぬ誤算が相次ぐ結果に。
奈良輪の問題も含めてここは現場の責任も強く、SBの人材難もチームの足を大きく引っ張った感は否めない。

それでも、B評価がついたように出場した試合に限れば山口は出色のプレーを披露。
終盤戦では深澤が来季への期待を抱かせるプレーを見せたことを考えれば、来季への不安は現状あまりない。
左右それぞれに大卒ルーキー2名の獲得も決まっており、来季はここをストロングポイントへと変えたい所だ。


■ミッドフィールダー部門

4 梶川諒太 評価 B
2021年シーズン成績 37試合2421分出場 3得点7アシスト

徳島への移籍を経て僅か1年で再復帰を果たすと、すぐにチームの中心選手へ。
彼の持つ献身性や運動量が何とか守備の決壊を食い留めていた印象が強い。
堀体制では更に躍動し、自身最多の7アシストを記録するなど攻撃でも存在感。
ピッチ外での言動でもチームを牽引し、終盤戦では主将としてもプレーした。

6 山本理仁 評価 C
2021年シーズン成績 30試合1906分出場 1得点0アシスト

開幕戦で得点を挙げ10得点10アシストと目標を掲げるも、その後は奮わず。
軽率なミスで失点の起点になる場面が多く、攻撃でも違いを作れなかった。
一方、終盤戦は攻守に力強いプレーが増えるなどひと皮むけた姿を披露。
スコアには不満が残るものの、昨季からの停滞感は遂に打破したと言えよう。

7 森田晃樹 評価 D
2021年シーズン成績 18試合1112分出場 1得点0アシスト

昨季に続いて今季も怪我が多く、シーズンの半分以上を棒に振ることに。
突如起用された右SBで磐田相手に得点を挙げるも、ゴールは1点に留まった。
堀監督のもとで終盤戦はようやく躍動するも、期待値を考えれば不満が残る。
自身が一番痛感しているであろう。来季こそはスコアの面で違いを示したい。

8 井出遥也 評価 C
2021年シーズン成績 13試合905分出場 3得点1アシスト

序盤戦は怪我で出遅れるも、戦線復帰を果たしてからはレベルの違いを披露。
5連勝中に3得点を挙げるなどいよいよ本領発揮のシーズンと思われたのだが…。
サマーキャンプで負傷が癒えずそのまま最後まで1試合も出場が叶わなかった。
誰もが認める実力と技術の高さを来季こそは結果に代えてチームを牽引したい。

9 佐藤優平 評価 C
2021年シーズン成績 34試合2677分出場 1得点8アシスト

永井監督からは全幅の信頼を受け、いよいよチームの絶対的中心選手に。
しかし、信頼の高さが仇となったか守備意識や運動量には不満も残った。
8アシストは記録した一方で、得点への意識は昨季に比べて大きく希薄。
負傷により欠場した最終盤でチームが連勝を重ねたのは皮肉な結果だった。

13 新井瑞希 評価 C
2021年シーズン成績 15試合491分出場 1得点3アシスト

永井体制では1分も出場機会を得られず、ほとんど戦力外に近い扱いに。
しかし、堀体制では途端に厚遇を受けると徐々にプレーでも存在感を発揮。
終盤戦はチームの戦術兵器と評されるなど貴重な局面打開役を担ってみせた。
監督交代でまさに一変。来季は主力選手の一員として高い期待を受けている。

14 石浦大雅 評価 D
2021年シーズン成績 27試合1188分出場 0得点1アシスト

ようやく永井監督からの信頼を得ると、前半戦は貴重なジョーカーとして躍動。
停滞するチームの中で唯一の希望となるも、その活躍も長くは続かなかった。
後半戦では守備意識の低さなど欠点が目立つようになり、一転して非難の的に。
天才肌らしいこのムラッ気をどう直すか。来季はプレーの安定感を高めたい。

17 加藤弘堅 評価 B
2021年シーズン成績 36試合2663分出場 1得点0アシスト

序盤戦は不可解なCBでの起用にて奮闘し、中盤戦からはアンカーで本領発揮。
的確なボール奪取に加え、攻撃の起点としても質の高いプレーを披露した。
しかし、後半戦は堀監督に冷遇され先発での出場機会をほぼ失うという結果に。
来季の立ち位置は不確定だが、ひとまず今季の貢献には感謝の意を示したい。

19 小池純輝 評価 A
2021年シーズン成績 41試合3174分出場 17得点6アシスト

34歳にしてキャリアハイとなる17得点を決め、今季も得点源として攻撃を牽引。
難しい場面での決定力や、得点に限らないプレーの安定感は群を抜いて高く
例年のことながら怪我なく41試合に出場するなどその貢献度は「極上」に近い。
ピッチ外でもチームの模範となり、S評価に近いA評価と言っていいだろう。

20 阿野真拓 評価 E
2021年シーズン成績 8試合228分出場 0得点0アシスト

未だ高校生ではあるものの、トップ帯同2年目の今季もブレイクは果たせず。
序盤戦で数試合先発するも、フィジカルがプロレベルに達してるとは言い難い。
そこを補う長所もあまり伝わらず、終盤戦は結局ユースへ逆戻りとなった。
来季はいよいよプロ1年目。言い訳無用の覚悟で臨み、明確な結果を残したい。

24 奈良輪雄太 評価 D
2021年シーズン成績 5試合58分出場 0得点0アシスト

タフネスさを一番の武器とする男が、年間を通して僅か58分の出場に留まった。
公表がない以上理由は不明だが、恐らくは指揮官との関係性が理由だろう。
精神面を含めたコンディションが心配されたが、終盤戦にようやく戦線復帰。
来季の去就は未定だが、どんな選択であれ実直な彼の「再起」を強く願う。

26 持井響太 評価 D
2021年シーズン成績 12試合133分出場 0得点0アシスト

デビュー戦ではプロの壁に阻まれ、途中出場途中交代という屈辱の結果に。
しかし、悔しさをバネに努力を続けその後も10試合に途中出場を果たした。
得意のドリブルは目を引いたが、佐藤凌の活躍を考えると悠長にはいられない。
チームに同タイプの選手が多いだけに、まずは自分だけの武器を身に着けたい。

30 杉本竜士 評価 D
2021年シーズン成績 19試合818分出場 1得点1アシスト

5年ぶりの復帰でファンを沸かせ、ピッチ上では相変わらずの強い熱量を披露。
堀監督にも重用され先発出場が続いたが…肝心要のスコアがついてこなかった。
シュート僅か9本はあまりに寂しく、ここは期待されたプレーとは言い難い。
永遠の突貫小僧として来季はもっと積極的にゴールを目指して欲しい所だ。

33 橋本陸斗 評価 D
2021年シーズン成績 3試合21分出場 0得点0アシスト

僅か15歳にてプロデビューを果たした開幕戦ではあわやゴールという決定機も。
それだけにもう少しJでのプレーが見たかったが、以降の出番は限定的だった。
15歳という年齢を感じさせない身体のたくましさは短いプレーでも印象的であり
最近のユース選手らしからぬ物怖じしないキャラクターにも期待が寄せられる。

◎ミッドフィールダー部門総評

昨季と編成や課題に大きな変化は見られず、ユース出身選手を中心に多くの人材を抱えながらいずれの選手も「突き抜けられない」まま不満の残るセクションとなってしまった。

藤田が徳島へ去った穴は加藤弘堅という的確な補強にて穴埋めに成功した一方で
森田や山本、そして石浦といったアカデミー出身の「フロントボランチ」勢はそれぞれ怪我の影響もあって出場時間を伸ばせず。
加藤、そして2年ぶりの復帰となった梶川が奮闘した一方で、若手選手たちは伸び悩んでいるというのが現状だろう。

しかし、「力の抜き方を覚えたことでプレーの質が上がった」と自らを分析した山本の言葉にあるように、シーズン終盤戦になって山本と森田はそれぞれ出色の存在感で攻守に躍動。
こうしたプレーぶりや元来のポテンシャルを踏まえて、両者を「青田買い」するクラブが出てくる可能性も決して無くはないだろう。
それこそ2名が揃って退団となった場合は、「駒数」で満足すること無くしっかりとした戦力補強が必要となるはずだ。

また、今季は佐藤優平のプレーがやや精彩を欠いた点もチームにとっては誤算となっただろう。
今まで以上の信頼を得たことで昨季までの情熱やガツガツとした姿勢が失われてしまった印象が強く、佐藤の守備意識や戦術意識の低さが失点を招く場面も決して少なくなかった。

加えて井出がシーズンの大半を棒に振ったことなど、チームの中心選手2名がそれぞれ大きな誤算に終わったこともチームの成績が伸び悩んだことの一因であることは間違いないだろう。

そんな中、今季もまた小池純輝の頑張りにチームは助けられることになった。

一昨季の16点を更に上回る17得点を達成し、34歳にしてリーグ日本人得点王に。
難しいシュートを次々と決め込む様は完全にストライカーのそれであり、6アシストと本来のWGとしての役割も全う。
そのプレーぶりはまさに「スーパー」の一言であり、SNSで積極的にファンとの交流を図る姿やピッチ外での社会活動など全てにおいてプロフェッショナルな選手と言っていい。

彼のような選手を抱えていることはクラブにとって大きな財産であり、結果では彼に及ばなかった選手たちもまずは彼の姿を見てプロサッカー選手の在り方を学んで欲しい所。
それこそ伸び悩みが目立つアカデミー卒の選手たちにとっては、日々の生活ひとつひとつの中に多くの「学び」がきっとあることだろう。


■フォワード部門

10 ジャイルトン・パライバ 評価 E
2021年シーズン成績 10試合512分出場 0得点2アシスト

1年の浪人期間を挟み2年ぶりの復帰を果たすも、期待を大きく裏切る結果に。
復帰直後はブランクを感じさせず、むしろ2年前より成長した姿を見せたが
いかんせん怪我が多く、結局8月末の出場を最後に試合出場は叶わなかった。
助っ人という立場でこの結果は致命的。今季の大きな誤算のひとつだろう。

11 山下諒也 評価 B
2021年シーズン成績 38試合2557分出場 7得点4アシスト

昨季ほどのインパクトは放てずも、今季も快足を武器に攻撃のキーマンに。
スタメン定着とはならずも、出場時間を伸ばしチャンスメイクでも貢献した。
更に守備意識も高く、シーズン中の手の骨折というアクシデントも何のその。
攻守両面で常にフルスロットルなプレーで誰からも愛される存在となった。

25 端戸仁 評価 C
2021年シーズン成績 29試合1575分出場 5得点1アシスト

佐藤がパフォーマンスを落とした夏場に奮闘し、19節からの9試合で5得点。
しかし、チームの不調とも重なり勝利に繋がるゴールはほぼ奪えなかった。
ポストワークなどは評価出来るものの、堀体制ではほぼ出場機会は無し。
得点力が優先されるとどうしても立場は苦しく、来季の立ち位置は不透明だ。

27 佐藤凌我 評価 A
2021年シーズン成績 42試合1971分出場 13得点2アシスト

ルーキーながら13得点を挙げ、今季最大の掘り出し物として見事にブレイク。
これぞストライカーという得点嗅覚や決定力の高さを存分に発揮した。
夏場にパフォーマンスは落としたものの、チームで唯一の全試合出場も達成。
前線からのプレスでも貢献し、甘いマスクと温和な人柄で瞬く間に人気者に。

40 戸島章 評価 E
2021年シーズン成績 7試合103分出場 1得点0アシスト

チームに不在だった長身FWとして夏場に加入するも、先発は1試合に留まった。
予想された通りやはりこのチームとの親和性が悪く、獲得の理由が不明瞭。
堀体制ではほぼ戦力にカウントされず、本人にとっても不運な移籍となった。
監督続投では現状の立場に代わりはないだろう。新天地が決まることを願う。

◎フォワード部門総評

開幕前から登録わずか3人という選手層の薄さが懸念されていたが、佐藤凌我のブレイクもあって「何とか乗り切った」という一年に。
佐藤がフィットするまでの間は阿野のCF起用など苦しい選手起用が続いただけにあまり評価できる編成ではなかったものの、結果的に佐藤と端戸の2名のみで何とか切り抜けたことは讃えたい。

13得点を挙げた佐藤は6月以降長らく途中出場という扱いが続いたが、あまりジョーカーとして機能するタイプの選手ではないだけにこの起用法には疑問が残った。
コンディションが落ちていたという印象もないだけに、終盤でのゴールラッシュを考えればもう少しスタメンでの起用があってもよかったように思えるが…。
夏場を大事に使ったからこその終盤の活躍があったとも取れるだけにここは難しいが、いずれにせよこの結果はお見事の一言。
先発した試合でも最後の最後までプレスを怠らない守備での貢献も素晴らしく、これだけのプレーを見せたとなると恐らく周囲のクラブが放っておかないことだろう(苦笑)

彼の代役候補をシーズン中の間に見い出さればよかったのだが、夏に加入した戸島は先述したようにこのチームとは相性が悪く、堀体制では戦力外に近い扱いに。
端戸も堀監督からは評価を得ているとは思われず、佐藤が移籍となればここも明確な補強ポイント。
情勢的に難しいとは言え、外国人選手の補強を考えるのであれば今季のジャイルトンのような失敗だけは絶対に避けなければならないだろう。

また、佐藤と同様に山下にも移籍の噂がつきまとう両WGも選手層には不安が残る。
選手数こそは揃っているものの、小池と山下以外の選手は僅か2得点といずれも戦力とは言い難い。

そんな中で、来季へ強い期待が懸かるのが終盤戦でブレイクした新井瑞希の存在だ。

これまでの頼りなさが一変し、試合出場を重ねるにつれて積極性とドリブルの切れ味が急上昇。
スタメンを掴み取ったラスト4試合では1得点2アシストと別人かのような活躍を見せただけに、このプレーがオフの間に「リセット」されていないことを願うばかりである(苦笑)


■チーム総評

シーズン中に多くの浮き沈みがあった一年だったが、終わってみれば昨季と同じ12位に。
ここ3年は最早ここが定位置という感もあるが(苦笑)降格4枠というシーズンだったことを考えれば中位でのフィニッシュにホッとしてるのが率直な感想でもある。

昨年末の時点で既に「賞味期限切れ」という感は否めなかった永井サッカーは予想通り開幕から行き詰まり、4節には金沢に4失点、そして5節では新潟に7失点と守備が完全に決壊。
本来であれば豊富な戦力の上に成り立つであろう理想の高いサッカーを、戦力不足故に「奇抜な選手起用」で乗り切ろうとした姿勢には大きく無理があり、本人としても恐らくはそうした「無理」を自覚していたのではないだろうか。

追い込まれた指揮官は選手たちへの風当たりが強くなってしまい、結果的にはパワハラ報道が持ち上がったことで9月に辞任へ追い込まれることに。
成績を考えれば辞任もやむなしだが、このようにネガティブな話題ばかりが先行してしまっただけに12位という結果以上に印象の悪いシーズンとなった感は否めない。

永井監督の後を引き継いだ堀監督の采配にも大きな物足りなさが残ったと言えるだろう。

コーチとしてチームに一年間帯同していただけに彼なりの「修正点」を認識していると思われたのだが、結果的に彼が進めたのは永井サッカーの「焼き直し」。
それこそ前任以上に博打要素の強い選手起用などで無理矢理情勢打破を図ったに過ぎず、終盤戦の連勝劇も対戦相手を考えればあまり高い評価は下せない。
それだけに続投という判断には大きな疑問が残るが・・・簡単に言うのであればクラブにそれだけ資金力がないということなのだろう。

そうした事情を鑑みると、恐らく今季は大きく戦力が入れ替わるオフとなるだろう。
柴崎というクラブの功労者との別れを選んだことからも明らかのように、「高給取り」と目される選手たちは大半が退団となるのではないだろうか。

既に内定している新人選手が6名もいることを考えても「血の入れ替え」へ踏み切ることは必至。
過度な若返りやコストカットには不安がつきまとうものの、ここ2年強化部長として高い評価が与えられている江尻篤彦氏の手腕に今は望みを託す事とする。

何にせよ、今シーズンに限って言えば先に挙げたパワハラの報道を筆頭に、開幕前の経営権を巡ったゴダゴタなどピッチ外での話題が騒々しい残念なシーズンとなってしまったことは間違いない。
いずれの問題にも未だきちんとした説明が現経営陣からなされないことは非常に残念だが、それでも何とかクリアとなったことを信じ、来季こそはまずクラブ全体が一丸となってシーズンに臨みたい所。

「魔境」と言われるJ2においてはボタンひとつの掛け違いが致命傷となることもありうるだけに、選手、スタッフ、そして経営陣には徹底した意志の統一を求めたい。
それこそこのオフに目標に掲げた「来季の昇格」を本気で狙うのであれば、今季見せたような失態は絶対にあってはならないだろう。