2016年シーズン東京ヴェルディ通信簿 | BBGのブログ

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さて、ベストイレブン企画が終わりとなれば始まるのがこの通信簿企画です。

相変わらず東京ヴェルディだけを対象に非常にニッチに掘り下げていきますが(笑)
今年も全選手をA~Eの五段階評価で採点し、そして寸評とともに2016年シーズンを振り返って行ければなと思います。

こちらもまた例年通り最後まで非常に長くはなると思いますが、興味のある方のみ引き続きお付き合い頂けたらなと思います。
また今シーズンは結果が結果だっただけにやや辛口になるかもしれませんがそこも了承頂けたらという点を最初に断っておきますね。

それでは2016年シーズン東京ヴェルディ全選手通信簿、公開です!


【2016年東京ヴェルディ通信簿】

■ゴールキーパー部門


1 柴崎貴広 評価 D
2016年シーズン成績 19試合1665分出場 23失点

佐藤の移籍に伴って開幕時はレギュラーを掴んだが物足りないパフォーマンス。
不安定な足元、イージーな失点が続き鈴木にポジションを譲ることとなった。
2ndGKとしては頼れる存在だが、正直正GKには実力不足が改めて明らかに。
ベテランとしてピッチ外では存在感を示すも自身は悔しいシーズンとなった。

26 太田岳志 評価 E
2016年シーズン成績 出場なし

トライアウトを経て入団するも出場0試合でシーズン終了。
鈴木が負傷から復帰すると即座にベンチ入りからもはじき出されるなど
最後まで3rdキーパーという立ち位置を覆すことが出来ずに終わってしまった。
決して若手とは呼べない年齢。長所を磨いて何とかプロの舞台で生き残りたい。

31 鈴木椋大 評価 C
2016年シーズン成績 24試合2115分出場 38失点

シーズン中に正GKの座を掴み、負傷離脱もあったがキャリア最多出場を達成。
流れを変えるビッグセーブや、強気に繋ぐ姿勢でチームに好影響を与えた。
失点に直結するミスも散見され決して全てで満足という結果ではなかったが
それらは出場機会を重ねれば解消されるはず。22歳でこの活躍は及第点以上。


◎ゴールキーパー部門総評

トライアウトで獲得した太田を入れても3人体制と選手層にもやや難があった中
鈴木が怪我で出遅れたこともあって柴崎に頼らざるを得ずに開幕を迎えるなど、まずその「層の薄さ」が見事に影響する序盤戦となってしまった。

冨樫監督が「ユースの頃から注目していた」という鈴木は
前述通り軽率なパスミスやポジショニングの悪さなどで失点に直結するミスもいくつか見られたが
それを補って余りがあるパフォーマンスでシーズン半ばからレギュラーに定着。
キャリア初の移籍となったが若いチームにもすんなり溶け込みファンからの信頼も勝ち得た。
まだ22歳。これが年間を通して出場する初のシーズンであることを考えれば今後に大いに期待して良いパフォーマンスだったと言っていいだろう。

それだけに来季へ向けてのポイントはまず鈴木を残留させることが出来るかどうか。
所属元のマリノスでは正GKの榎本に移籍の噂が出ており状況は予断を許さない。
マリノス復帰ということになるのであれば早急に新戦力を獲得したい所だ。


■ディフェンダー部門

2 安西幸輝 評価 C
2016年シーズン成績 34試合2702分出場 0得点2アシスト

3列目から果敢な突破でチャンスに絡む姿勢は今シーズンも目立ったが
プレーが中々スコアに結びついていない点はやはりもどかしさが否めない。
昇格から3年で100試合出場達成とすっかりチームの中心選手になっているだけに
主力選手としての責任感を胸にチームに勝ち点をもたらす存在になりたい。

3 井林章 評価 B
2016年シーズン成績 38試合3348分出場 4得点1アシスト

推しも推されぬ守備の柱。絶対に欠かせない戦力として今季も尽力した。
例年よりやや軽いプレーが増えるも、一方で4得点と要所で勝利の立役者に。
得点からビルドアップ、ラインの統率と多岐に渡る役割は今季も相変わらずで
主将としてチームを引っ張るという仕事までをも求めるのはやや酷だったか。

5 平智広 評価 D
2016年シーズン成績 23試合1926分出場 3得点0アシスト

冨樫監督から高い期待を受け守備再建のキーマンを担うも、正直役不足だった。
スピードの欠如や軽率なミスなど失点に繋がるプレーが多く悪印象は拭えず。
セットプレーのターゲット、左利きのCBと攻撃面では重要な役割を担うも
肝心要の守備面でのプレーで最後まで不安が付きまとい、厳しいシーズンに。

6 安在和樹 評価 B
2016年シーズン成績 35試合3101分出場 0得点4アシスト

春先出番を失うも、その間チームは8戦0勝と彼の重要性が逆に目立つ結果に。
強気な姿勢と左足のキック精度は彼にしかない武器であり、チームの生命線。
最後の数試合ではボランチとしても機能するなど高いサッカーセンスも光った。
一方で昨季に比べると伸び悩んだ感も強く、現状に満足せず自己研磨したい。

15 ウェズレイ 評価 E
2016年シーズン成績 13試合914分出場 0得点0アシスト

不用意なファウルや簡単に裏を取られる癖などプレーの軽率さは相変わらず。
CBの人材難もあって一定の出場機会を得たものの、満足とは遠い出来だった。
国籍に関係なく2年連続でこの出来は正直厳しいと言わざるを得ないだろう。
明るい性格でファンからの人気は高いが、J2で戦える選手かと言われると…

19 大木暁 評価 E
2016年シーズン成績 9試合740分出場 0得点1アシスト

出場機会は微増、初のアシストをマークするも大卒2年目でこの結果は厳しい。
出場した試合でもインパクトを残すというよりは課題が目立った印象だ。
守備の不安定さや攻撃時の選択肢の少なさなど解消すべき点は今季も持ち越し。
手薄なSBだけに起死回生のチャンスは有りか。死に物狂いで来季に挑みたい。

24 林昇吾 評価 D
2016年シーズン成績 出場なし

写真が異なり申し訳ないが(苦笑)チーム唯一の出場機会0に終わった。
左SBは一時期様々な選手が試されたがお呼びが無かったのは悔しい結果だろう。
昇格の判断にやや疑問も残るが、終盤戦は練習試合などで存在感を発揮。
例年安在の去就は不透明なだけに虎視眈々と左SBのポジションを狙いたい。

30 高木純平 評価 D
2016年シーズン成績 21試合1327分出場 0得点0アシスト

開幕時はボランチとして気の利いたプレーでポジションを掴むも
中後の復帰や井上の台頭など攻撃的選手の前に序列が下がり出番が減少。
その後はややインパクトを残せず後半戦は全く出場機会が得られなかった。
プレーぶりに不満は少なかっただけにもう少し見たかったという感も強い。


◎ディフェンダー部門総評

ハッキリと評価からも分かるように非常に厳しいセクションがこのDFだった。

得点力不足も顕著だったが、どちらかというと「守れない」という部分が今年のチームの足を引っ張った印象が強く
それはひとえにCBの質と量が大きく他のチームに比べて劣っていたからだろう。

昨年は前線からのプレスを軸にしたサッカーが一時的に嵌りあまり守備の脆さが目立たなかったが
それでも井林への圧倒的な依存度が顕著なCBにはしっかりとした補強が急務だったはず。
その中で補強をあくまでJ3で一定の活躍をしたにすぎない平一人で済ませたのは明らかに編成のミス。
挙句レンタルで放出した畠中が町田にフィットして活躍しているという点はあまりにも皮肉である。

本人もややパフォーマンスが落ちた感はあれど、今年も怪我なく井林が何とかフル回転してくれたからこその辛うじての残留と言っていい。
井林の去就も未定な今、来シーズン絶対に補強が必要なのがこのCBだ。

SBに目をやると、不動になっている「ダブルアンザイ」が刺激を失ったか停滞しているような印象を受ける。
ふたりとも優れた選手ではあるが、現状のヴェルディではライバルを欠いているからポジションを掴んでいる印象も否めない。
彼らに刺激を与えるような選手を加えられればいいのだが…それは高望みだろう。


■ミッドフィールダー部門

8 中後雅喜 評価 C
2016年シーズン成績 31試合2644分出場 3得点0アシスト

絶対的信頼は揺るがずも、怪我での出遅れもありパフォーマンスは上がらず。
攻撃面では昨年のような存在感は発揮できずに消えている試合が多く
一方でシーズンを追うごとに簡単なミスなど悪い部分が目立つ試合が多かった。
年齢を考えれば一年間先発出場を続けさせた冨樫監督の采配にも疑問が残る。

10 高木善朗 評価 A
2016年シーズン成績 37試合2865分出場 8得点5アシスト

間違いなく今季のチームMVP、そして残留の最大の立役者と言っていいだろう。
開幕当初はコンディション不良からか低調な内容も、夏前からは出色の出来。
本人も意識を変えたという積極的な姿勢でゴールを量産しチーム内得点王に輝き
その上でドリブル、キープと幅広い活躍で背番号10らしくチームを牽引した。

11 南秀仁 評価 E
2016年シーズン成績 17試合1026分出場 0得点0アシスト

昨年起こした交通事故が有罪判決にまで発展した影響がピッチの上でも顕著に。
昨季のキレやハツラツさが消え、消極的で迷いの隠せないプレーが多かった。
10得点を挙げた選手が無得点に終わった影響は純粋にチームにとっても大打撃。
厳しいことを言えば自ら撒いた種だけに、今はただ再起を待つしかない。

13 船山祐二 評価 D
2016年シーズン成績 16試合1131分出場 0得点1アシスト

ボランチでの出場が主とはいえ0得点1アシストとあまりにノーインパクト。
期待されたゲームメイクの役割も果たせず終始ピッチでの印象が薄かった。
若手選手であればまだ評価出来るも、年齢とキャリアを考えれば不満が強い。
低迷するチームの中で埋没し、自身の持ち味を示せないままシーズンを終えた。

14 澤井直人 評価 B
2016年シーズン成績 31試合2333分出場 6得点1アシスト

念願の味スタ初ゴールも含めて、シーズン6ゴールと得点数が飛躍的にアップ。
最後まで低迷したチームの中で数少ない大きな成長を見せた選手となった。
90分を通して見れば不満も残るが、一番の課題を克服した点は高く評価出来る。
師匠、永井秀樹の想いを引き継ぎ来季はチームを牽引出来る選手を目指したい。

16 中野雅臣 評価 D
2016年シーズン成績 7試合440分出場 0得点0アシスト

プロ2年目。飛躍への足掛かりにしたいシーズンだったが、厳しい結果に。
左SBとして数試合試された程度で、本職の中盤では勝負させて貰えなかった。
やや厳しい評価にも思えるが、練習などでどこかに大きな課題があるのだろう。
高校時代を考えればポテンシャルは一級品。このままでは終わってほしくない。

20 井上潮音 評価 B
2016年シーズン成績 12試合898分出場 0得点2アシスト

今シーズンのチームで数少ない希望となったのがこの井上の存在だっただろう。
春先にスタメンを掴むと、ルーキーとは思えないプレーで即座にフィット。
得点まであと一歩に迫るなど、攻撃の中心としてプレーする試合も多かった。
二度の長期離脱が本当に悔やまれるが、容姿も含め早くもチームの人気者だ。

23 田村直也 評価 C
2016年シーズン成績 33試合2398分出場 0得点0アシスト

今季もCB、時にSBとしてマルチに活躍するもプレーぶりはやや苦しかった。
やりがいを感じているというCBもやはり本職ではないという部分は否めず
対応が後手に回るシーンや相手FWについていけないシーンが試合ごとに散見。
低迷したチームに合わせて自身もパフォーマンスを昨季より落とす一年に。

28 楠美圭史 評価 E
2016年シーズン成績 9試合508分出場 0得点0アシスト

キャンプでは主力組でプレーするなど期待を抱かせたが結局ほぼ試合に絡めず。
終盤戦でチャンスをつかむも、大きな穴となってしまう試合があったりと
体力面の課題と合わせてレギュラー奪取に相応しい活躍は見せられなかった。
勝負を懸けたプロ4年目でこの結果は厳しいか。22歳だが立場は崖っぷちだ。

32 二川孝広 評価 C
2016年シーズン成績 20試合1119分出場 1得点3アシスト

7月に驚きの移籍を果たして世間とファンを沸かせるも際立った活躍は残せず。
局面局面では高い技術や鋭いパスを見せるも如何せん決める選手がいなかった。
逆に言えばその中でも3アシストとまだ健在であることは証明したとも言える。
人生初の移籍も思いのほか順応。来季頭からとなれば…大活躍も期待できるか。

33 渡辺皓太 評価 B
2016年シーズン成績 11試合582分出場 0得点0アシスト

高校3年生ながら一年間チームに帯同し終盤戦にボランチのスタメンを掴んだ。
試合の中では思うように自身の特徴を発揮出来ずに終わった7試合だったが
天皇杯ではマリノスを相手に3列目からの攻撃参加で度々ゴールを強襲するなど
18歳という年齢を考えればその高い資質は十分示してくれたと言えるだろう。

45 永井秀樹 評価 E
2016年シーズン成績 3試合55分出場 0得点0アシスト

キャンプで負った怪我が中々癒えず、6月に復帰するも即座に再離脱。
結局一年間のほとんどをリハビリに費やし、そして引退を迎えることとなった。
14年に復帰以降「永井塾」と言われる指導で若手の成長に大きな影響を与えた事
そして何より最後まで示し続けたそのクラブ愛に最大の敬意を表したい。


◎ミッドフィールダー部門総評

まずは中後の出遅れに伴うパフォーマンスの低下の影響が何より大きい一年だった。

昨季は中後が中盤で試合を作る存在として一年間絶大な存在感を放っていたが
繊細な体を抱えるベテランは、無理して復帰した影響かコンディションが中々上がらず。

誰が見ても少しは休ませるべきだったと思うのだが・・・
指揮官の頭の中では中後がいないと試合が成り立たないのか、結局最後まで出ずっぱりでどんどんパフォーマンスも低下するという誰も得をしない結果が待っていたと言っていいだろう。

また、昨季は中後を気持ちよくプレーさせる存在として三竿が守備の仕事を相当こなしていたが
開幕前によもやの移籍となりそこの穴埋めをできなかった点も大きく響いた。
中盤の守備で計算が立つ選手がほぼ不在のまま開幕を迎えた今シーズン、様々な組み合わせを試したが結局そこの仕事ができる選手が最後まで見当たらなかったと言っていいだろう。

前の方に目をやると昨年はやや低調気味だった高木善朗の完全復活が何より印象的。
得点に絡む部分での仕事はほとんど関与していた印象があり、積極性の少ないチームの中で常にゴールを狙うプレーもとても好印象だった。
負けが込む中で本人もかなり責任感を強く持って試合に臨んでいたことが表情からは伺え、彼の存在が無ければ確実にチームは降格の憂き目にあっていただろう。

その他の選手を見ると活躍の光った選手とそうでなかった選手の明暗がはっきりと別れた。
南、中野、楠美と言った選手が苦しむ中で澤井、井上、渡辺らは一定の活躍を披露。
来季は彼らがもう少し噛み合った活躍を見せてくれることを期待したい。

最後になるが、改めて永井秀樹の引退に敬意を表したい。
45歳という年までクラブの為にこれだけ尽力してくれたことに感謝しつつ、これからもヴェルディ再建のために力を貸してほしいという思いで一杯だ。


■フォワード部門

7 杉本竜士 評価 D
2016年シーズン成績 29試合1325分出場 1得点0アシスト

昨シーズンは2トップの一角として代表候補に選出されるほど活躍したが
一転して今季はらしさを発揮出来ずに出場機会すらままならない一年に。
出場した試合でも単調なプレーに終始し切り札としての役割も果たせなかった。
特徴のはっきりした選手だがもう少しプレーの幅を広げないと立場は苦しいか。

9 アラン・ピニェイロ 評価 D
2016年シーズン成績 25試合997分出場 3得点3アシスト

春先に負った大怪我の影響もあって今季もポジションを掴めなかった。
同情の余地もあるが、復帰以降のパフォーマンスを見ると庇うことも難しい。
途中出場の際もインパクトは少なく…去年から成長や変化が感じられなかった。
背番号9を背負って2年で6得点はあまりに寂しい。来季以降も飛躍は望み辛い。

17 ドウグラス・ヴィエイラ 評価 B
2016年シーズン成績 28試合2071分出場 6得点2アシスト

稼働率の悪さやブラジル人選手にしては積極性の少なさなど欠点も目に付いたが
チームに欠けていたポストワーカーとしては十分な仕事ぶりで存在感を発揮。
タレント力に欠ける前線で、競り勝つ・収める・運ぶと多大な貢献度を示した。
6得点は寂しいが彼に強く依存する一年に。数少ない違いを見せる選手だった。

18 高木大輔 評価 C
2016年シーズン成績 29試合1630分出場 6得点1アシスト

終盤戦では主将も務めるなど苦しいシーズンの中で一年間チームを引っ張った。
しかし、自身は得点を伸ばせずレギュラーにもなり切れずと不完全燃焼な結果。
やはりFWである以上はまず結果を残してチームを牽引する存在となりたい。
来季はプロ4年目。そろそろ成長過程は終了しゴール数で期待に応えたい所だ。

25 平本一樹 評価 E
2016年シーズン成績 15試合746分出場 1得点0アシスト

今季の見せ場は千葉戦での佐藤優也との衝突、そして退場劇のみだった(苦笑)
夏場以降は恥骨部の負傷が長引き、全く戦列復帰できずにシーズンが終了。
本人も悔しかっただろうが、出場時のプレーと合わせてあまりに寂しい一年に。
チームはまだ彼の力を必要としているはず。強い覚悟で復帰への道を歩みたい。

29 北脇健慈 評価 D
2016年シーズン成績 15試合682分出場 1得点0アシスト

6節に強烈なミドルシュートでキャリア2点目を挙げるも、波に乗れずに終了。
フォワードであれば夏場に掴んだ5試合連続先発出場の際に得点が欲しかった。
これまでの歩みを考えれば成長は見せたが、やはり得点力の低さは否めない。
他の場所では機能出来る選手ではないだけに、とにかく得点に執着したい。


◎フォワード部門総評

高木、杉本による「鬼プレス」が武器だった戦術が通用しなくなった今シーズン
フォワードを使った攻撃はほとんどドウグラスの高さやキープ力に頼ったものとなった。

ドウグラスは一定以上の活躍を見せたものの、評価に表れた通り他の選手は軒並み厳しい結果に。
残り5名のFWで11得点というのはあまりに寂しい。タレント不足は明らかだった。

補強という意味ではチームの資金力を考えればドウグラスはある程度「成功」だったと言えるだろう。
だが、今年のプレーぶりで明らかになったように彼は得点を量産するような純粋なストライカーと言ったタイプの選手ではない。
現状を考えるとその他の選手に急激な成長は望めないだけに、来季もテコを入れない限り前線の得点力アップは難しいのではないだろうか。

期待を懸けるのであればやはりそれは高木大輔以外有り得ない。
終盤戦はドウグラスとの2トップで一定の連携も披露しただけに、一抹の期待を来季へ向けて残した。
前向きな性格と天真爛漫な性格でファンから愛されて止まない存在だけに
来季以降はピッチの上でもその人気に応える活躍でチームのエースに名乗りを上げてほしい所である。


■チーム総評

年間18位。
第41節でようやく残留決定という冷や汗もののシーズンとなってしまった。

昨年は躍進したものの、これで3年間で2度目の残留争い。
言いたくはないが今やJ2でもすっかり下位に収まっているのが現状である。

今シーズンを振り返るとまずチームの編成に大きな難があった。
補強が必須だと思われたCBを平の加入だけで済ませたのは誰の目にも無理があるのは明らかで
いざ蓋を開けたらやはり守備が大きく足を引っ張る結果となってチームは混乱。
この戦力でプレーオフを目指すというのはあまりにも浅はかな目標設定だったと言えるだろう。

その他も、佐藤と三竿の穴を埋められるのかどうか?ストライカー不足ではないか?
そういった素人目に見ても明らかな不安が結局すべて悪い形で的中することとなってしまった。
佐藤と三竿の補強は予想外だったのかもしれないが、夏の補強も大失敗に終わるなど編成に携わった人間の責任は重いと言っていいだろう。

一方で冨樫監督の力量不足も非常に明らかなシーズンだったと言えるだろう。

14年の就任以降、一度は三浦監督によって混乱をきたしたチームに再び「ヴェルディらしさ」を取り戻させることは成功したが
あくまでそこまでが限界だったようで、それより先の成長を授けることは一切できなかった。

優しい人柄で選手からも愛されているが、逆に言うと厳しさを植え付けられなかった印象は強く、どこかユースチームを率いているままのように映ることもしばしば。
非常に悪く言うと「仲良し集団」と言ったチームだった感は否めない。
そろそろ「内部の血」だけでチームを回していこうというのは無理があることが明白になったシーズンと言えるだろう。

来季以降どういった舵取りをクラブがするのかはまだ全くわからないが
ある程度継続路線は切り捨てて、「次の一手」を選ばないとこのクラブの未来は明るくないように映る。
選手の補強もさることながら、まずは監督の交代を強く望みたい。


明るい話題の見い出し辛い一年間だったが、これだけ苦しんだ中でもまずは残留を果たしたことを素直に喜びたい。
個人的には久々に高木善朗のハツラツとしたプレーを見れたことも嬉しかった。
澤井の成長や井上の台頭など、ポジティブな要素が全くなかったわけでもないだろう。

あとはもう、この苦しみが近い将来にどう生きてくるかどうか。
2年後、3年後に「あの一年があったから今がある」と言えればこの苦しんだシーズンにも意味が伴ってくるだろう。

クラブがひとつの育成の集大成と捉える東京五輪まですでにあと4年。
J2の残留争いを続けているようでは五輪に排出するような有望な選手を抱えることすらままならないだろう。

その為にはもう、一シーズンだって無駄には出来ない。
その強い覚悟と責任を持って、今オフ以降強化に関わる人間は仕事をしてほしいと切に願う。
今シーズンの様な誰の目にも明らかな失敗は、もう絶対に許されない。