「ケンちゃん!僕にとってのキセキってね。
正直、具体的な言葉には出来ないんだけど、こみ上げてくるものがあったんだ!
それが明日への活力となり、今の僕を動かしている。
すごく説明下手で申し訳ないんだけど、今ある人たちと日本から世界を変えるプロジェクトを計画しててね。」
ほら来た。
要するにそのプロジェクトへ俺を勧誘したいというわけだ。
俺の経験上、キセキなどの漠然として言葉を糧に話しを進めるようなやつらに、
明確な目標なんてない。
ただ、道に迷っているだけ、いや...
もはや逃避に走っているだけだと俺は思っていた。
というのも、俺も今の現状が嫌で嫌でしょうがなかったけども、
逃げてはいないと自分では思っていたので少なくとも自分の生き方が正しいかどうかなんて分からないが、
こいつらよりは真っ当に生きている自信がこの時はあったのだ。
「土屋その計画にはあんまり興味はないんだけど、お前がさっき言ってた、
ある人に会って人生が変わったって言ってたよな。その出会いについて聞かせてくれないかな。」
と俺は切り出した。
土屋は待ってましたと言わんばかりの笑顔で、話始めた。
「そう!あれはね。僕が今の生活に疑問を抱きながら、
なんとなく○○○(某SNSサイト)のチャリティーに関する掲示板を見ていたら、
【キセキを起こそう!】
というコミュニティを発見してね。その時は別に何も惹かれるものもなく、
新規のコミュニティだったから、まだ参加者も4人程度で、
コミュニティの内容を読んでいたら、何か希望をもらったというか、
何かしたいけど、何をすればいいのか分からなかった僕に、
これだ!!という未来を見せてくれたんだ!」
俺は言葉を発する事が出来なかった。
土屋という男は、昔から純粋極まりないやつで、小学校3年生の時に恋に落ちた女の子を、
高校3年生までずっと好きでいるような一途さはあるものの、
告白をする勇気はないという一昔前に流行った草食系というわれる類の男だった。
「でね!ケンちゃん...」
と続けようとする土屋の会話を俺はまたも一旦止めて、
「土屋分かった。出会いはもういいや。そのコミュニティだっけ?ちょっと見せてくれない?」
「うん。ちょっと待ってね。」
と土屋はポケットから今風のスマホを取り出し、某SNSサイトへとアクセスし、
例のコミュニティを開いて、俺に見せてくれた。
その時、俺はどんな顔をしていたんだろう...