うちらのじだい -16ページ目

第12話 あっけない別れ

次の日いつもより早起きした、理由は真央に昨日の出来事を詳しく聞くためと、真央に何を言ったのかを朋美に聞くためだ。







誰も来ていない教室で、私は昨日の事を考えていた。
早い話し親に真実を聞いてみてもいいのだか、もう少し真央に詳しく聞いた後で親と話したかった。
1人で考えこんでると次々にクラスメイトが教室に入ってきてるようだった。
私は真央と朋美をじっと待つ。











先に入ってきたのは朋美の方だった。














多分すごい怖い顔をしていたと思う。
朋美が座っている席まで行って朋美の机を「ばんっ!!!」と叩いた。
それと同時にざわざわしていた教室が静かになり、いっせいに視線が私と朋美に集まる。









「昨日真央と話したんだけど、真央の家庭の事情をみんなに話した犯人が私だって言ってるんだけどどういうこと?てか私あんたがペラペラしゃべってんの止めようとしたよね??一体何考えてんの??」






私は怒りで震えていた、あまりの私の怒った顔つきに朋美はびっくりして下を向き私と目を合わせようとしない。
じっと机を見ている。












しばらくたった後朋美が口を開いた。










「だってさ…ごめん、悔しかったっていうかあまりにも真央とゆうなが仲良くてずっとうらやましくて…真央の家庭の事をゆうなに言ったらきっとゆうなは真央の事嫌いになるかなと思ったのに、ゆうなはそれでも真央をかばおうとするんだもん。面白くなくてつい…。真央には、ゆうながクラス中に真央の家の水道代とかガス代とか払えないらしいって言いふらしてるよって言っちゃったんだ。私ね、真央の家で借金返せって言ってる人たちを見ちゃったの。ほんとにごめん。」








謎がとけた、きっと私のお姉ちゃんに真央のお母さんはお金の事で相談していたんだ。
私のお姉ちゃんだけに…。
だから真央は勘違いしちゃったんだ。
真央のお母さんもお婆ちゃんも…。






私は自分と真央が仲良くしてるとかそんな理由のためにここまで友情を引き裂いた朋美が許せなかった。そんな簡単な理由であんな意地悪をした朋美の曲がった根性とひねくれた性格が、許せなかった。










泣いている朋美を横目で睨みつけながら私は無言で自分の席に戻った。








私にいじめられてると勘違いした生徒が朋美の席に集まり朋美の頭を撫でたりしてなぐさめている。



なぐさめられたいのはこっちの方だ。
私は真央が登校してくるのをひたすら待った。








するとドアが開いた。

第11話 真央の最後の言葉

「ゆうなのお母さんは本当のお母さんじゃないよ!ゆうなのお母さんはお姉ちゃんだよ!」











真央はそれだけ言うと電話を一方的にきった。
いくら電話をかけ直しても出てはくれなかった。












私は力が抜けて床に座り込んだ。









「どういうこと?私のお母さんはお姉ちゃんなの?嘘だよ…」















嘘だと思い込みたかった、だけど私とお姉ちゃんは20歳離れている。
私を産んだとしても全然おかしくない。
むしろ40歳で産む母親よりは20歳で産む母親の方が多いだろう。
でも私を手離す理由が分からない。
こうやってお姉ちゃんと一緒に住み、お姉ちゃんは家にお金をいれる。
隠す理由が全然分からない。













その時何故だか真央の言ってることは100%あたっているだろうと思ってしまった。












でもいきなりそんな事言われても私はパニックになるばかりだった。













「じゃあ私のお父さんはだれ??」





















姉には1人息子がいた、名前は拓海と言った。
旦那とはいわゆるできちゃった婚だった。
旦那は板前さんだった、かなり怒りっぽい性格で家にご飯を食べに来ても、気に入らないことがあるとテーブルをひっくり返したりする人だった。
海で出会ったらしく、一回だけの過ちで拓海ができてしまった。
拓海が妊娠7ヶ月の時に離婚した。
姉は拓海をおろしに、産婦人科に行った。
だけど病院の先生に、もうかなり大きいから無理だと言われた。
拓海はそうして産まれてきた男の子だった。
だから姉の元旦那は私の父親ではないだろう。












今一緒に住んでいるのは、お父さん、お母さん、お姉ちゃん、拓海、私…。
まだ二歳の拓海をお母さんは面倒みていて、姉は働きに行っている。
父親らしい人間は一緒には住んでいない。














それじゃあ拓海は私の弟だったって事なのか?
お父さんお母さんと思っていた人は祖父母なのか…。
ということは…。



























とにかくもう頭がパンクしてしまいそうだった。





















翌日真央に無理矢理でも詳しく聞いてみようと思った。

第10話 真央からの電話

「え?真央どしたの?」






何がなんだかさっぱり分からない。








「朋美から聞いたけど、家のお金に関してのことみんなに言いふらしたでしょ、意味分からない!その事知ってるのは、ゆうなのお姉ちゃんだけだよ!」











真央は何を言ってるのだろう、言いふらしたのは私じゃない朋美だ。
朋美め、何を真央に言ったのだろう。
朋美の「みてろよ」とはこういう事だったのかぁ。








真央にすべてを話した。







真央ならきちんと話せば分かってくれて、「なんだ、そうだったんだ!ごめんね~。」って言ってくれるはずだと思っていたのに…。













「だから、あんたしかいないんだってば!相当うざいよ…消えてくれる?」













真央は、私にはっきり消えてくれと言った。
受話器の向こうから、お母さんとお婆ちゃんが真央に色々指示しているのが聞こえる。
「次はどうしてみんなに言いふらしたのか聞きなさい」とか、「友達やめるって言いなさい」とか…。
あんなに真央と仲良くしてたのに…。
あんなにお母さんもお婆ちゃんも良くしてくれたのに…。














どうして親までも…
どうして子供相手にこんなキツい指示ができるのか…
それに素直に従い私を攻める真央は本当に昨日まで親友だったのか…















そんなこと認めたくなくて、信じたくなくて、真央に泣きじゃくりながらもうまく声にならない言葉を真央が一つでも分かってくれるように、一生懸命伝えようとゆっくり言葉をつなげる。
真央にとっては全部言い訳の言葉たちを…。


















最後に真央は、私のこれからの人生を変えるくらい、3年生の私には1人で考え納得できない言葉を吐き捨てた。
頭が一瞬で真っ白になった。













真央の事も、真央に理解されないことも一瞬で忘れてしまうような一言。









その言葉とは…