傷つけば傷つくほど優しくなれた
貧しさは大きな力になり
意気地のなさは 勇気に変わる
ひねた瞳は真実を欲しがる

真実はとてつもなく 激しかった
愛せば愛すほど苦しくなる
はかなさが美しいから
死にたくても また歩いた

俺はいま 真夜中の湾岸をとばしてる
カーラジオ消して受話器を
耳にかたむける 進路は東へと
お前の声を聞きながら走る
とうとう昭和の歴史が終わった



悲しめば悲しむほど 想いやれた
悔しさは大きな力になり
力は いつしか詩になる
許せないのは 自分となる

俺はいま 受話器を静かに置いた
あぁ 吹きすさぶ強く冷たい
風に抱かれたい 夜明け前の街が
確かに動き始めてる
とうとう昭和の歴史が終わった


徹底的に人間にハメられた
昨日しこたま便所で吐いた
吐いても吐いても吐きたりず
ついに便器にへたりしゃがみこむ

突っ伏した俺の背中をさすりながら
舌を出してるお前が辛くて
あきれるほど腹ん中から涙が出たけど
ただ白い便器とお前のコロンが
臭かったからだ

どうせ一回きりの人生なら
潔くかっさらわれてみるのもいいさ
馬鹿だと世間にののしられても
情けないほど女々しく泣くより
よっぽどましだ

信頼という言葉たちが
浮き足立って逃げて行く
正直という言葉たちが
茶色いバッグをぶら下げて逃げて行く
誠実という言葉たちが
この国では利用にすげ替わる
友情という言葉たちが
この国では裏切りに変わる



俺は今 渋谷駅前の信号機を待ち
ふとJeepの窓の外を見た
行き交う人々の頭の上で 
俺の「過去」と「現在」の顔が
ポスターになってた

けなげな不良学生たちが
それを指さし「いつかの少年」を
じっと見つめてた 初めてこの街を
まともに歩いた 十七年前の俺に帰ろう

東京に出て来てから 今までの
俺の青春は根こそぎ銭に
換えられちまったけど 裏切り者の
大泥棒たちも あの頃は
確かにマジだった

どうせ一生 男を張るなら
変わらぬ大馬鹿者をつらぬこう
一生 男を張るなら
被害者面して逃げるのはよそう
どうせ一生 男を張るなら
ヤクザと呼ばれて上等だ
一生 男を張るなら
銭のカラクリなどくそっくらえ



常識も非常識もない この国では
差別とやっかみに全てをすり替える
同じ島国で生まれ育ったのに
貧しき心で弱き者を あざ笑う

変わってゆく者が利口なのか?
変わらぬ俺がマヌケなのか
出口のない答を探し悩むより
俺に惚れてくれるやつを
当たり前に愛そう

人間の生き死にさえも
銭に換えるこの国だから
ありったけの命をたたいて 
今 叫ぶのだ
「すみません!毛玉のついた安い
耳かきを突っ込んで 人間の声を
聞こえるようにしてくれ!」
うらやむほどの男に「俺」なりたくて
みっともねぇ真似を ずいぶんしてきたさ
だけど良いも悪いも 全部自分だから
せめて人の心を決して裏切らぬようにと

筋の通らぬ せち辛いこの世の中で
あいつとうまくやっていきたいだけだった
信じる心はバナナのたたき売りみたいに
しおれた花に足を ふんづけてやがる

泣くな泣くな たかだかそんな事で
泣くな泣くな たかだかそんな事で
叩かれ だまされ おまけに追いつめられ
生きる事が嫌になる時くらい俺にもある



だらしのねぇ ひ弱な俺の胸を突き刺せば
力のなさと言いわけが 背中でせせら笑う
わかっちゃいるけど やめられねぇ事もあった
だけど生爪はぎ取るほどの 痛みでもねぇ

わかってたまるか 大粒の涙をちぎり捨て
眠れぬ夜に ただひとり酒をかじる
かみしめる口唇から なおさら血がにじむ
だけど容赦なく 明日は俺の頭上にやってくる

泣くな泣くなたかだかそんな事で
泣くな泣くなたかだかそんな事で
叩かれ だまされ おまけに追いつめられ
生きる事が嫌になる時くらい俺にもある