ESQUIRE 2025年11月号 表紙:NCT MARK
――ビニールレコードを集め始めたと聞きました。
あ、最近は本当にあまり集められていません。最近レコードプレーヤーをプレゼントしてもらって、「少し集めてみよう」と思ったのですが、多くは集められていないですね。
――最初に買ったレコードは何でしたか?
偶然見かけたクリスマスキャロルのコンピレーションでした。とてもクラシックな曲ばかりが入っていたアルバムでした。
――生まれて初めて買った音盤を覚えていますか?
覚えています。CNBLUE(シーエヌブルー)でした。アメリカにいる時、兄がシーエヌブルーを好きで、一緒に買いに行ったんです。
――大切な音盤はありますか?
A Tribe Called Quest(トライブ・コールド・クエスト)というアメリカのヒップホップ・トリオのアルバムをビニールで持っています。贈ってもらったそのアルバムを本当にたくさん聴いて、大切にしてきました。でも、もし「本当に大切なアルバム」と言うなら、自分のアルバムだと言いたいです。なぜなら、自分が一番好きなアルバムだからです。
――ソロ・アルバムの話をしないわけにはいきませんね。昨年(2023年)インタビューしたときは、マークさんの2枚目のソロ・シングル「ゴールデン・アワー」が出た時期でした。あのとき、私たちは自己表現としてのヒップホップ音楽について話しました。でも、〈The Firstfruit〉のように、完全に自分の話だけで満たされたアルバムを完成させるとは思っていませんでした。
そうですね。まさに自分の人生ストーリーです。トロントで生まれて、最初に引っ越したニューヨーク、そしてバンクーバーを経て、ソウルでの生活まで、自分が生きてきた軌跡を4つの都市を中心に収めました。
――初のソロ・アルバムだから、自分自身について語りたかったのですか?
「必ず自分のことを語りたい」という思いで始めたわけではありません。最初はそんなに真剣なアルバムを作ろうとも思っていなかったです。
でもいざ制作を進めてみると、アルバムというものは初めに計画した通りにはなかなか進まないものだなと感じました。A&R(アーティスト&レパートリー)の意見も聞いて、アルバムの構成をあれこれ考えているうちに、あるアイディアがふと浮かんだんです。
「4つのチャプターを作りたい」と思ったとき、ちょうど自分が住んだ都市が4つあったんです。「だったら自分について語ることができるんじゃないか?」と考えて、むしろ初アルバムだからこそ可能なコンセプトだと思えました。
――アルバム制作中は特別な時間だったはずですね。
はい、その時間はほとんどセラピーのようでした。自分が誰なのかを振り返り、自分が生きてきた人生をたどる過程を通じて自然と癒されていきました。
おかげで自分をもっとよく知ることができたし、もっと好きになれました。もちろん「マークという人がどんな人か」を他の人に伝えたいという気持ちもあったけれど、そのときほど「自分が最も自分でいられる」「正直」でいられた時期はないと思います。
――マークさんが「このアカウントを見れば私はもっと理解できる」と言ったインスタグラムの “REM”アカウントとはどういう意味ですか?
R.E.M(Rapid Eye Movement=急速眼球運動)睡眠状態は、浅く眠っている状態を指します。目は閉じているけど、起きているに近い。
だからアルバムが出る前まで、「まだレム睡眠状態にいる」と思っていたんです。そしてアルバムが出たら「完全に目覚める」ような感覚で。アルバム制作に関わるビハインド写真、ショート映像をアーカイブできるアカウントを別に作って、その写真と動画をあげました。
――人々はマークさんを十分に知っていると思いますか?
僕のことを知らない人の方が多いと思います。NCTは本当に多くの人が知っているグループになったし、僕を知っている人も増えましたが、「僕について知っている」と言える人はあまりいないと思います。
だからこそ、人々があまり知らない僕の側面を見せ続けたいんです。
――例えば?人があまり知らないことって何ですか?
うーん…僕はバドミントンがうまいんです。
(笑)バドミントンですか?
そうです。僕、バドミントン得意なんですけど、それを人に見せる機会がなかったんですよ。
――客観的に上手ですか?
僕は客観的に上手だと思っています。
――誰が認めてくれたんですか?
僕がです。昔から一番自信のある運動だったんですけど、それを見せられる場が本当に少なかったのかなって思います。まあ、何人かのファンは知ってるかもしれないですが。
――この話自体がすごく可愛いですね(笑)。他には?ギターも、キーボードも上手じゃないですか。
いや、そんなに上手じゃないです。ギターもピアノも、あまり得意な方ではないです。僕が自信を持って「これは本当に得意だ」と言える唯一のものがバドミントンなんです。これだけは本当に自信を持って上手って言えるのに、それを見せられないのが本当に残念です。
――うはは!本当にここまで言われると、絶対見たくなりますね。では今回のアルバムの話も少ししたいのですが。タイトル曲「1999」は Mark Ronson がまず浮かびました。
ちょっとファンキーで、グルービーですね。何となくその意味がわかります。
――あのボーカルが本当に難しいという話を聞きましたが、すごく上手にこなしていましたね。
僕もその曲は本当にたくさん努力して完成させました。ある意味では、むしろNCTで活動していた時よりボーカルとして挑戦したと思います。録音にもかなり時間がかかった曲です。実はその歌詞もすごく時間がかかったんです。最初は別のバージョンの歌詞があって、実際その歌詞で録音までしたんです。
――聴きやすいですが、本当に大変に作られたんですね。
そうですね。でも最後には「おっ!ボーカルうまく録れたな」って思いました。
――アルバムタイトル〈The Firstfruit〉は“善悪の果実”という意味ですか?
善悪の果実ではないですが、いずれにせよ聖書から取った名前です。ソロ・アーティストとして初めて結ぶ果実?
文字通り、このアルバムが僕の“最初の果実”であり、第一番が最も大切ですよね。そういう意味でも僕の気持ちを一言で表せる、完璧なタイトルでした。
――アルバムにある4つの都市それぞれ、印象に残ることがありますか?
トロントは本当に寒かったです。そこで7歳くらいまで住んでいたので記憶ははっきりではないですが、雪がすごく降って、本当に寒かった。実際に感覚として覚えているのはそのくらいです。
――都市の景観は?
あ!“CNタワー”という高くて有名なタワーがあったのを覚えています。タワーのすぐ横に雲があるくらい高くて、「本当に高い建物だな」と感嘆した記憶があります。
ニューヨークといえば、やはりマンハッタンやタイムズスクエアのような活気があって混み合ったイメージが浮かびます。そしてニューヨークの冬も寒かったです。あまりに寒くて、雪が何十センチも積もると学校に行けなかった時もありました。
バンクーバーは逆に天気が良かったように記憶しています。空気が本当に澄んでいて、いつも爽やかな天気だった気がします。そして韓国・ソウルは本当に清潔な都市だという印象が強く残っています。
――そうですか?
本当に綺麗です。僕がいた他の都市の地下鉄とソウルの地下鉄を比べると、ものすごく綺麗で、ものすごく速くて、何でもサービス、配達でも何でも全部速い都市です。
――アルバム全体がまるで今言った都市を旅するような感じですね。「Toronto’s Window」や「Fight to NYC」などのトラックは、新しい都市に移ったような感じもあります。
まさにそれを意図しました。アルバムを初めてファンに披露するショーケースのステージを準備したとき、セットを空港のように作ったんです。旅行の象徴である空港を、ショーケース全体の背景に選びました。アルバムジャケットに収められた写真も、実際に各都市を回って撮ったものです。
――本当に長くかかったでしょうね。
ほぼ1年かかりました。
――でも今年初めにNCT 127のツアーがありましたよね。
はい。
――その途中でマークさんのソロ・アルバムの先行公開シングルも出ましたね。
はい。
――そしてアルバムではほぼ全ての曲に作詞・作曲で参加されました。
そうですね。
――どうしてそんなスケジュールが可能なんですか?(笑)
僕も本当に死ぬほど大変でした。実は歌詞を書くのが一番難しかったです。全部の曲を書いたんです。始めたことだから最後まで責任を持ちたいと思いました。アルバムには13曲収録されましたが、それよりずっと多くの曲を書きました。自分でもすごいと思いました。僕も本当に意地悪だなと思うほどでした。
――あまりの疲れで倒れたことはありませんか?「気づいたら3日たっていた」など。
歌詞を書くというのは、何かをずっと書き続けるから、緊張した状態でずっといたと思います。だからか、むしろ病気にもならずに済みました。
――ソロ活動が終わったあと、NCT DREAM活動を始めましたね。
そうです。
――本当に凄まじいですね。NCT DREAMの最新のアルバムの中で「BTTF」という曲は、なんだか H.O.T.(エイチ・オー・ティー)っぽい反抗的なイメージがあって新鮮でした。
僕たちは常に「ドリームらしさ」を保ちつつも新しい姿で近づきたいと思っています。実は「Go Back to the Future」は、僕たちが本当に久しぶりに披露する “SMP”(SM Music Performance)スタイルの曲なんです。
全ての振付が大変ですが、今回の曲は特に “SMF” 特有の強烈なサウンドのために、ダンスもずっと激しく見えると言われました
。
――今年はNCT 127とNCT DREAMのツアーが両方ありましたね。ツアーを前にしたときの気持ちはどうですか?
コンサートはそれ自体に喜びがあります。世界中のファンと実際に会えると思うと、緊張というよりむしろ楽しくてワクワクします。
でもツアーをやると、始まりも重要ですがいつも最後の瞬間が一番記憶に残ります。一度ツアーをするとスタッフが50人以上、その多くの国々を移動するんです。簡単なことじゃないです。だからツアーの最後の都市では必ずすべてのスタッフと舞台上で集合写真を撮ります。一つのシーズンのツアーが一つの旅だからです。
――この撮影が終わったらすぐジャカルタへ行って、その次の公演がシンガポールですよね。でもマークさんはバリが大好きだから、ジャカルタの公演を終えてバリで少し休んでからシンガポールに移るのはどうですか?
(笑) 実はバリには一度も行ったことないんですけど、ずっと行きたい場所ではあります。インドネシアにファンが多いので、ぜひ来てくださいと伝えてください。
今回スケジュールがうまく合えば行きたいんですけど、可能かどうかはわかりません。
――今年初めのNCT 127ツアーの時にはトロントやニューヨーク近くのニューアークにも行きましたよね。以前住んでいた都市で公演をする気持ちはどうですか?
すごく良かったです。今おっしゃってくださったように、僕にとっては意味深く感じられました。ファンの方々もその部分を分かってくださっていました。例えばトロントに行ったとき、プラカードに「Welcome Back」と書いてあって、胸が熱くなって面白かったです。会場はニューアークのプルデンシャルセンターでしたが、宿泊先はマンハッタンだったんです。故郷に来たような感じでした。
――こんなに忙しいマークさんですが、それでも時間を作ってされていることはありますか?
それでも…バスケットですね?
――バスケットボールですか?
ツアーに行くとその都市にあるバスケットコートを検索して行きます。例えばドリームツアーの時はチョンロ(Chenle)と一緒に行きました。
――えっ、チェンルさんもバスケット好きなんですね!その地元の友達たちとやるんですか?
そうではなくて、チェンルと二人でやったり、マネージャー兄さんたちや警護兄さんたちとやります。
――わぁ、浪漫がありますね。
実は韓国ではなかなかそうできないんですよ。むしろ海外でバスケットをやったことの方が多いくらい。韓国でコートを借りるには大体貸し切りをしなきゃいけないですからね。
――マークさんは本当に72時間を生きてますね。その合間にバスケットとは。
(笑) そうですね。僕もわからないです、でも。たまにメンバーも「死ぬほど疲れてるのに何でバスケットなんだ」って言います。
でも僕にとっては少し違うんです。バスケットをすると疲れないんです。体を使いますけど、むしろ汗をいっぱいかいて走った後は爽快な感じなんです。
――ははは!最近は〈냉장고를 부탁해〉に出演して見せたあざとさ(?)が大人気ですね。画像がめちゃくちゃ拡散されてました。
お笑いにも意欲があるのかなと疑われます(笑)。
でも本当に違います。僕がお笑いに意欲があるわけじゃなくて、本当に透明に純粋に自分のリアクションを見せただけなんです。ユーモラスに出られたならそれはそれでありがたいです。
――あの放送では本当にたくさん食べてましたね、大丈夫でしたか?
僕はすごく良かったです。ああいうシェフの方々が作った料理をあれだけたっぷり食べられる機会ってまたどこにあるでしょう?料理とか何とか言う前に、とにかくすごく美味しかったです。
――NCT 127と共演する〈더 시티 오브 스파이〉というバラエティ番組も先週から公開中ですね。
LAを舞台に、NCT 127メンバーがチーム内に潜入したスパイを見つけ出す推理リアリティ番組です。おそらくこのインタビューが出る頃にはもうばれてると思うんですけど。
そのスパイが僕です。
――あ!ツイッターでマークさんの脇が公開されて大騒ぎでしたが、あれはスパイの印ですか?
そうです。スパイの印の位置を選ぶ過程がすごく面白かったです。僕はただ腕のあたりに入れればいいと思って言ったんですけど、後で考えたら全部見えちゃいそうで。
だから本当に見えないけど放送で見せられるところに決めました。
――人を笑わせるのが楽しいと思ったことはありますか?
実は僕、一度も「ユーモア担当キャラ」だったことがないし、自分が“面白い人”だと思ったこともないんです。今もそう思っていないです。
〈냉장고を 부탁해〉だろうと〈더 시티 오브 스파이〉だろうと、僕が人を笑わせようとして笑ったわけではないので…自信はないです。
――でもファンはマークさんを本当に面白い人と認識してますよね。多くのファンが「マークは僕の芸人だ」って言ってます。
そう言ってくれるファンがいるのはよく知っています。でも僕は客観的な人間なんです。ほんとに面白いメンバーは、僕の基準では別にいるんです。例えば、Johnny兄さん、Haechan、Jungwooなど、そのメンバーたちは本当に面白いです。
――ただしマークさんのBubble(ファンサービスアプリ)を購読しているファンの意見は違うかもしれません。「マークのBubbleは後悔ない」っていう声をよく聞くんです。
僕も時々は「ちょっと面白くなってみたいな」という欲が出るときがあります。だから絵文字を送ったり、わざとちょっと変なこと言ってみたりします。なぜなら…Bubbleというプラットフォーム自体が本当にハードな日々を送ってきたファンが慰めを得られるような思いであったら嬉しいから、笑ってもらいたいという気持ちも出ます。
――マークさんのBubble運営ポイントがあるとしたら?
僕のBubbleの追求美は「心地よい笑い」です。大きな爆笑ではなく、小さくて穏やかで心地よい笑いです。
――大きく爆発させる笑いではないんですね。最後に、今日一緒に「Boucheron Friends(ブシュロン フレンズ)」として、ブシュロンのどのラインが好きですか、って聞こうと思っていたのですが…もう「クアトロ(Quatre)」を着けてますね。
このリング(マークさんはクアトロのリングをつけていました)は、僕が個人的に付けたくて買ったんです。ブシュロンと言ったらクアトロが思い浮かぶと思うんです。
今日着けていたピースの中では、シルバーのネックレスが印象に残っています。