育児が始まって一番取れなくなった時間、
それは私の場合、読書でした。
娘の絵本は毎日読んでいるのでまったく本に触れていないわけでもないのですが
久しぶりに読むと、引きずり込まれる・・いかに体が欲していたのか、痛感しました
思えば、通勤時間は100%読書タイムだったので、例えば資格の勉強なぞをやらなくちゃいけない時は、勉強しないといけないことより読書の時間が削られることが嫌で辟易していたものです
さて、久しぶりに読んだ本はご無沙汰していた志賀直哉の短編集。
- 小僧の神様・城の崎にて (新潮文庫)/新潮社
- ¥546
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教科書か模試か何かで読んだ『小僧の神様』が面白くて買ったものなので、かれこれ買って10年以上は経っている本です。
彼は小僧の神様をもって『小説の神様』の名声を得たわけですが
全編通して、「口に出さない、あるいは自分でも感じていることに気づいていない感情」に焦点を当てるのが実にうまい。(うまいなんて、巨匠相手に失礼な話ですが)
どういうことかというと、
このような状況ではこうふるまうべきだ、という姿を持った時に、自分の中で本音と建前が独り歩きし、その結果、ともすれば建前が本心だと思ってしまって
後から、「私、ほんとはすごく怒っていたんだ」とか「気づいていたのに、見ないふりしたかも」とか
そういう経験ありませんか?
その観点で特によかったのは、「好人物の夫婦」
夫の不貞を疑っていないつもりだったけれど、疑う事実がないことを夫から告げられたときの妻の反応はすごくいい。
短編集でさらりと読めるので、大人になった今、おすすめしたい本になりました