平清盛の「王家騒動」を再検証する | (不肖)大河ドラマ批評家「一大河」の批評レポート

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深更ですがこんばんは、一大河です。
回を追うごとに高い評価と批判を浴びる『平清盛』


今回は、三度目となります「王家」呼称騒動を取り上げたく存じます。
まずは、以下の産経新聞の記事をごらんください。


皇室を「王家」 適切なの? NHK大河「平清盛」に疑問の声


産経新聞の読者の方は相当衝撃を受けておられるようです。
産経は左翼思想の学者をかばうのか!とか、
反日放送局NHKをかばうのか!とかとか。


わたしは、保守思想こそ今の日本に必要とされる思想だと思いますし、
わたし自身も保守思想に傾倒している者であります。
しかし、この「王家」をとりまく騒動については、どうしても自称保守の方々の
主張に納得できないところがあるのです。


まず、よくある批判として、

中国の冊封体制において、「王」は「皇帝」に仕える立場であること
などから、「王家」の呼称は天皇の権威を貶める表現である


というものがあります。


これ、おかしくないですか?
なぜ前提として「中国の」冊封体制を引き合いに出すんでしょうか。
本来検証すべきは、中世日本における「王」の扱われ方であるはずです。


まあ、NHKの一部には、明らかに中国におもねった番組も過去いくつも
あったので、今回のような批判が出るのも無理はないとは思いますが……


大王(おおきみ)という大和言葉との関係や、『花園天皇記』『神皇正統記』
など「王」「王家」の記載が見られる国内の古典資料、あるいは平安時代に
編纂された百科事典※の「王」の記載を検証する必要があると思います。

※和名類聚抄など


つまり、歴史学だけでなく、国語学の観点からも「王」の検証を進めなければ、
本質は見えてこないとわたしは考えます。


ちなみに、作品中に現代の皇室に当たる呼称としての「王家」は出てきますが、
天皇は「帝」や「法皇様」と呼ばれ、「王」と呼ばれるシーンは今のところ
一度も出て来ません。


ナレーション役の頼朝が「鳥羽院」と呼びますが、これは現代の我々と同じ
目線で当時を見ているということでまあよしとしましょう。



次いで、

「王家」は日本人の感覚に合わない、天皇家や皇室と呼べばいい

という主張。


そもそも、平安時代には「皇室」という呼び方はなく、「天皇家」に至っては
大東亜戦争後に左翼が使い始めた言葉
です。


余談ですが、「天皇制」という言葉も、皇室を貶めたい左翼が作った用語です。
2600年以上、連綿と続く皇統は人が作ったシステムではないですからね。


自称保守の方がこのような主張をされること自体、わたしは信じられませんね。
呼称を批判するならあなたももっと勉強してから来なさいと言いたい。


また、現代まで残っている平安時代の著作物は、そのほとんどが貴族によって
書かれているもので、当時の武士や平民といった下層の人々が天皇や皇室を
どのように呼称していたか、
という検証も必要でしょう。


ただし、わたし自身も「王家」呼称が絶対的に正しいとは思いません。
当時の帝や皇室に対しては、前の記事にも書きましたが、
「やんごとなき…」というようなに、遠まわしの表現をしていたと思うからです。


まあ、それが幅広い視聴者層を持つドラマとしてのわかりやすさ、という点では
適切かどうか考える必要がありますが。


最後に、「王家」呼称が視聴率の低迷につながっているという主張も見られますが、
これこそ根拠のない言いがかりですね。
昨今の視聴率は世論調査に匹敵するくらいあてにならない数字だと思うのですが。


以上のことより、わたしは自称保守の方々の、「王家は不適切」とする
主張に異を唱えたく存じます。
ハッキリ申しまして、論理的な批判ができていません。


また、王家批判をする方々を「心ある良識的な国民」とする意見を見かけました。
それは、王家を批判しない人間は馬鹿な国民ということになるんでしょうか。
なんとういう傲岸不遜な態度か、これに関しては怒りを通り越して呆れるばかり。


この問題に関心のある方は、知見を広める意味でも、独自に資料にあたるなど
一歩進んで行動に出られてみるのもよいのではないでしょうか。


もちろん、その結果「王家は間違いだ」とする主張になってもいい。
ロクに調べもせずに、時勢に乗じて糾弾することこそ無知なる行動だと思います。


『平清盛』は、様々に物議を醸している作品ですが、
それだけパワーがあるいうことです。
わたしは、イチ大河ドラマファンとして、新しき時代劇を求める者として、
今後も『平清盛』を応援していきます。


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