(不肖)大河ドラマ批評家「一大河」の批評レポート

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http://www9.nhk.or.jp/kiyomori/



【今週のひとこと】
「平清盛なくして、武士の世はなかった」(源頼朝)




【レビュー】
新年明けましておめでとうございます。一大河でございます。
みなさん、昨日の『白虎隊 ~敗れざる者たち~』はご覧になりましたか?
そのうちレビューを書きますからお待ちくださいね^^



さて、新年を迎えたというのに「いまだ『平清盛』の総括をやってねーとは
どういう了見だゴルァ」と読者さまよりお叱りを受けまして、(誇張です)
総集編も終わったことだし、清盛の総括を書こうかとようやく重い腰を上げた
次第でございます。



それでは、まずは最終回「遊びをせんとや生まれけむ」のレビューから
参りましょう。



清盛の最終回、わたしがこれまでに観てきた歴代大河ドラマの最終回と
比較してみました。



2010年の『龍馬伝』の最終回を「上」、2011年の『江』の
最終回を「下」とすると、清盛の最終回は… 「中の下」でございます。




さらには、『平清盛』と近い時代のお話を描いた2005年の『義経』、
清盛が死ぬ回のお話、および最終回と比べても、まあ正直に言うと
清盛の最終回は見劣りしますね。



ひとつだけ『義経』の最終回より優れている点を挙げるとすれば、
弁慶の最期が人形じゃなかったところですかね。

そのへん詳しくは『義経』の最終回をご覧ください。



『平清盛』、ひどいところが目立つ最終回でした。
予算がなかったとか、キャストの差配の問題もあるでしょうが、
「良くなかった点」を洗い出してみましょう。



まずもって最終回の足を大きく引っ張ったのは、「西行の存在」ですね。

これは、脚本か演出の迷走と言ってもいいのかな。



西行はいったい何者扱いなんでしょうかね。
「わけがわからないよ」でございます。



西行はあれか?スタンド使い※ か 範馬刃牙※ なのか?

※説明は省きます。



中盤の、平家一門に清盛の思い(遺言)を伝える、最終回でも最も重要な
シーンにて、「西行が」清盛を召喚するというぶっ飛んだ展開。



おや?
最終回の冒頭では、清盛が生霊になって西行の元を訪れたことになってたような…



生霊説をとおせば、先代の忠盛だって死ぬ間際に生霊になって清盛とチャンバラ
してたので、まあ「平家の棟梁は代々生霊になる」ってことで無理やり
こじつけられなくもないと思いますが…



それと、「清盛の最期」と「清盛が一門に遺言を伝えるシーン」が「逆」
なんじゃないですかね、あれは。



遺言→最期だったら、わざわざ死んだ後に西行のスタンド能力で清盛を
召喚する必要なんてなかったはずなんですけど。



いち視聴者のわたしもこの展開にびっくりしましたが、劇中の盛国なんかも、
主君・清盛が死んだというのにポカーンとして無表情だったじゃないですか。
やっぱり、無理のあるシナリオだったんじゃないかと思うんですよ。



…というわけで、わたしが考える、最良の最終回のシナリオはこうです。



まず清盛は生霊としてさまようのではなく、悪夢の中で過去にタイムスリップする。



これは、「白河院の遺言」でも使われた清盛のスタンド能力なので、
最終回で再度この能力が発動しても、まあ視聴者には慣れたものだし、
納得できなくもないんじゃあないでしょうか。



そこで、忠盛と忠正のペア、あるいは義朝と信西のペアと再会させるのです。

ここは月九の『PRICELESS』とか『アイアンシェフ』とかの兼ね合いもある
だろうから、全員でなくていい。



その夢のなかで再会した人物に、西行が清盛に問うたような、清盛の生涯の総括をさせる。
恨み節でも、激励でも、「地獄で待ってるぜ」でもいい。



その方がが、物語の序盤で外野に転じた西行よりも、より清盛の一生に影響を及ぼした
人物のほうが、より感動的だし、説得力があるし、視聴者のサービスにもなりますよね。



その後、夢から目覚めた清盛(一瞬だけ発作が止まる展開)が、平家一門の皆々に
それぞれ遺言を述べる……という展開。



そして最後に「頼朝が首をわが墓前に…」でびしっと締める。
武士の世は、まだ未完成である。よって命を賭してでも平家を守り、志を遂げねば
ならぬといういことを伝える。



そうして、
「清盛がため、夫の夢ため、父が志のため、一門がため、命をかけて平家を守る」
という一門の結束力で戦に赴く。




さらに個人的な感想としては、清盛の遺言のシーンは一貫して「五月の夢の歌」で
通したほうが良かったと思いますね。
忠盛の最後を描いた「さらば父上」は、音楽の力もあってとても感動的な
エピソードだったので。



というわけで、最終回前半のレビューはこれまで。



次に、後半「平家都落ち」以降の展開についてのレビューです。



予想通りというか、予算の関係上か、一門の最期は回想シーンとナレーションで
処理される始末。



西行と、ラスト10回そこらで登場した義経と弁慶の最期がよっぽど力が
入ってるってどういうことかしら。



あれはアカンですね。
盛国ですらナレーションで済まされるとか、もうちょっとやりようがあったのでは?



それに、けっきょく清盛の宋剣が海に沈んだいきさつがよくわからないまま。
草薙の剣=清盛の宋剣であるとすれば、それはちょっと無理がありますよ。



そしてラストのラスト、海底に突き刺さる宋剣のシーンからからカメラクルーが
平家一門をなめるように映していくシーン。



「もうすこし工夫をこらそうぜ…それやっちゃうと結局凡作の最終回と同じだろ…」
と、頭を抱えざるを得ない。
最後のシーンが清盛のどアップってどんな判断かしら。



最後の頼朝のナレーション「平清盛なくして武士の世はなかった」を
言うのであれば、その後の武士の世がどのように築かれたか、を描くべきなんです。



たとえば、現代まで残る清盛関連の建造物、遺物を映すとかね。
(ご当地へのサービスにもなるし、観光客は増えるし、最高じゃないですか)



この手法で最終回が成功している作品は、たとえば『独眼竜政宗』とか、
『太平記』なんかが挙げられます。



何度も言うように、予算がカツカツだってとは百も承知だが、最終回の
描き込み不足は否めない… よって「中の下」とさせていただきます。



はい、長々と書いてきましたがここからは2012年大河ドラマ『平清盛』の
総評に移りたいと思います。



公式ホームページでは、「放送回エピソード ベスト20」なるものが
発表されておりますが、結果を見ても分かるとおりベスト10位内のうち
7つが、第26回「平治の乱」までの放送回で占められています。



前半の飛ばしっぷりは、昨今の大河ドラマ、さらには歴代の作品の中でも
群を抜いて、危なっかしくもあり、チャレンジャブルでもある、意欲作で
ありました。




個人的にも「この表現はちょっと批判を受けても当然だなー」という部分も
ありましたが、とにかく魅力的なキャラクターたちと、今までの大河ドラマでは
お目にかかれなかった映像技術と、新たな「平家物語」の解釈は評価に値します。



とくに、今回の配役は本当に良かった。
平忠盛(中井貴一)と平忠正(豊原功補)と藤原頼長(山本耕史)と
高階通憲(阿部サダヲ)と鳥羽院(三上博史)が、ひとつの放送回で
同時に登場してたんですよ!?




「前半だけで評価すれば」わたしが観てきた歴代の大河ドラマの中でも、
五本の指に入る名作になり得たと思います。



そして言うまでもなく、この作品の面白さは物語前半で終わってしまって、
それ以降はだんだん盛り下がってきたのが事実です。



あまり引き合いに出したくはありませんが、視聴率の変遷を見ても
それは明らかですね。



ということで、キャストに恵まれたことと、批判は受けながらも大河ドラマに
新しい風を吹き込み、SNS等で新たな大河ファンを獲得した功績を讃え、

わたしの歴代大河ドラマランキング「第8位」に入れたいと思います!



ということで、
2012年時点での「一大河が選ぶ」大河ドラマランキングは以下のとおり。



第1位 第29作『太平記』

第2位 第35作『秀吉』

第3位 第49作『龍馬伝』

第4位 第35作『葵徳川三代』

第5位 第43作『新選組!』

第6位 第36作『毛利元就』

第7位 第46作『風林火山』

第8位 第51作『平清盛』

第9位 第25作『独眼竜政宗』

第10位 第15作『花神』


※まだ観ていない作品はランクインしていません
(1/4 再編成しました)


そしてそして、1月6日からは2013年大河ドラマ『八重の桜』が
はじまりますよ!



予告編の衝撃は『平清盛』のそれには及ばぬものの、敗者から見た幕末を描く
という試みは、実に興味深いですね。



次回の大河ドラマのレビューは『八重の桜』の第1回「ならぬものはならぬ」
でございます。

お楽しみに!!



NHK大河ドラマ『平清盛』完全版 第壱集



平清盛 完全版 Blu-ray-BOX 第壱集



平清盛 完全版 DVD-BOX 第壱集


『平清盛』は音楽も最高でしたね!


平清盛×吉松隆:音楽全仕事 NHK大河ドラマ《平清盛》オリジナル・サウンドトラック

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