神谷の亡骸は抵抗する術を忘れ、床へ衝突する。

大高はそれを認めた後、
「だから言っただろ。コイツと同じ末路を辿りたくなくば、今後余計な真似は控えることだ。わかったな」

梓が両手で口を押さえていると、場違いな着信音がバイブレータと共に室内に響いた。
梓のものだったらしく、彼女はスカートのポケットから携帯を取り出す。

まるで死人のような顔で画面を眺める梓に、茂央は
「誰からのメールだった?」
梓は呼吸を整えてから、「お母さん」と幼児のような口調で答えた。
「お母さん、あたしのこと心配して……。
ねえ、何でこんな目に合わなくちゃならないの? 犯人は何がしたいの? それぐらい教えなさいよ!! 画面越しに先生を盾に命令するようなことしかしないの? 卑怯者! あたし達と同じ土俵に立つ度胸も無い癖に偉そうにすんなァ!」

それは、最初から全員に突きつけられていた謎だった。
解けない難問を前に、足掻くことしか出来ぬ道化に成り下がった梓に対し、全員が抱く感情は統一されていた。

「本当に馬鹿馬鹿しいよ……。何だってこんなことに……」

始めとはガラリと変わり果てた茂央の低い声が火種となり、室内を絶望が包んだ。

が、それも束の間の話だったのは、茂央の次の一言が証明した。

「なあ……。――――――梓」
いや~終わった~。何がって? 実はね、今までテストだったんよ。
小説の方を更新したいけど、今回はちょっと別の話題。テスト終わって、早速レンタルショップ直行したワケだけど、何を借りて来たかというと、

ジャン!

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北野武監督の映画、『その男、凶暴につき』。
1989年の作品。世界のキタノ流石。アクションが凄いね。
銃で撃たれて血が飛び出るところとかもう、そこいらのドラマとは格が違う生々しさがある。で、今日借りてきた2作目。

ジャン!


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『ソナチネ』。

やはりこちらも北野武監督作品。でもまだ観てない。明日観る~。最近、北野武にハマってるのさ。

じゃあ股!
つまらない文章でしたが、読んでくれてありがとう!
「銃じゃなくても、これでだって殺せるんだよ? 命が惜しかったら、そのまま内田さんから離れて。少しでも妙な動きをしたら、わかってるよね?」
梓が言い終えたのを確認し、やはりおそるおそるといった風に立ち上がる――しかしそれは、梓の理想に終わった。
神谷健太郎は立ち上がると同時に勢いをつけ、頭部を梓の顎に直撃させる。
バランス感覚を失い、後ろへのけぞり机に倒れかかった梓の襟元を掴み引っ張り上げると、そのまま頬に一発、平手打ちを喰らわす。
「よし、次はこの女だ!」
声を上げると同時に、内田にやったのと同じようにやはりブラウスを引き裂く。背負い投げの容量で床へ張り倒そうと足をかけた瞬間、肩に激痛が走る。
多分、人生で最大の痛みだ。
床には何故か、紅い血液が飛び散っていて、それが自らのものだと気付くまでには数秒を要した。
「まさ……き?」
梓のかすれた声の先には、例のライフルを構えた大高が存在した。
「貴様!」
神谷は我を忘れて大高に声を上げた。梓は自らの状況をも忘れ、内田清美に「大丈夫? 内田さん」と声をかけている。
充血し、もはや人のものとは信じがたい瞳を向けられても尚、大高は視線すら反らさない。
神谷以外の4人は、馬鹿の一つ覚えが如く「傷害罪だ! 傷害罪!」などと叫んでいる。
大高は頭に血が上りながらも、真っ当な反論をしかえす。
「なら今、お前等がやってることは何だ? そこまでしなくたって、銃を持ってるか否かぐらい、わかった筈だろ!?
淫行だ。卑劣極まりない淫行、それ以外の何物でもない! 内田さんに続いて、梓まで手をかけやがって。俺はこの一連の事件が片付いたら自首するさ。次は頭を狙う」
やがて神谷が目をそらし、俯いた。しかし、そして訪れたのは安堵ではなかった。
うずくまっていた梓に再び襲いかかったのだ。
殺せる筈がない。そうタカを括っての行動は、見事に裏目に出て、神谷の頭部を銃弾が貫いた。