「…は?」
涙で濡れた頬を拭うことすら忘れ、梓は茂央に視線を投げやる。
「お前、嘘を吐いたろ。今、お前にメールを送ったのは俺だぜ。お前にはお母さんに見えたか?
でも、お前がこんな嘘を吐くのは当たり前だよな。だってスパイはお前なんだもの」
「何言ってんの? 今のメール、あんたのメアドじゃないじゃん。お母さんからだよ。こんな時につまらない冗談止めて」
呆れた。光らせた視線を逸らす動作で、その感情を露骨に表す梓。しかし茂央の取った行動は梓のそれとは裏腹のもので、梓の手から携帯を奪い取った。
「茂央、梓がスパイだと? 梓の言う通りだ、冗談は止せ。それとも、そう言える決定的な根拠でもあるのか」
「無きゃあ撃っていいよ。何の根拠も無しに仲間を疑うようなヤツは死ななくちゃな。ははは」大高の問いをそう笑い飛ばした茂央は、そのまま前方に存在するホワイトボードに向かう。
件名:リーダー
生徒の中に潜入しながら、今まで我々に現状を報告していてくれたこと、心より感謝する。
さて、誠に申し訳無いのだが、直接話したいことがある。何とかして職員室まで来てくれ。
茂央がペンを置いた。それが、ホワイトボードに記された文章だった。
「どうだ、梓? お前に届いたメールの文章と大体一致するんじゃないか?」
他人の目からも見て取れる程、梓の顔色は青く染まった。
「あんたはあたしがスパイだって知っていた。だからあたしにこんなメールを送ったのね……。あんたがその文章を書いてわかったわ。
でもどうやって? この状況を作り出す為には、あたし達のリーダーの携帯からあたしに送らなきゃならない。そもそも、あたしを疑う由もなかったハズ」
涙で濡れた頬を拭うことすら忘れ、梓は茂央に視線を投げやる。
「お前、嘘を吐いたろ。今、お前にメールを送ったのは俺だぜ。お前にはお母さんに見えたか?
でも、お前がこんな嘘を吐くのは当たり前だよな。だってスパイはお前なんだもの」
「何言ってんの? 今のメール、あんたのメアドじゃないじゃん。お母さんからだよ。こんな時につまらない冗談止めて」
呆れた。光らせた視線を逸らす動作で、その感情を露骨に表す梓。しかし茂央の取った行動は梓のそれとは裏腹のもので、梓の手から携帯を奪い取った。
「茂央、梓がスパイだと? 梓の言う通りだ、冗談は止せ。それとも、そう言える決定的な根拠でもあるのか」
「無きゃあ撃っていいよ。何の根拠も無しに仲間を疑うようなヤツは死ななくちゃな。ははは」大高の問いをそう笑い飛ばした茂央は、そのまま前方に存在するホワイトボードに向かう。
件名:リーダー
生徒の中に潜入しながら、今まで我々に現状を報告していてくれたこと、心より感謝する。
さて、誠に申し訳無いのだが、直接話したいことがある。何とかして職員室まで来てくれ。
茂央がペンを置いた。それが、ホワイトボードに記された文章だった。
「どうだ、梓? お前に届いたメールの文章と大体一致するんじゃないか?」
他人の目からも見て取れる程、梓の顔色は青く染まった。
「あんたはあたしがスパイだって知っていた。だからあたしにこんなメールを送ったのね……。あんたがその文章を書いてわかったわ。
でもどうやって? この状況を作り出す為には、あたし達のリーダーの携帯からあたしに送らなきゃならない。そもそも、あたしを疑う由もなかったハズ」

