生を受けて90年

妻として 母として 社長として 

その存在史を前にして 



「ぼくだってねぇ 

 〇〇さんみたいな いい人がいれば、

 そりゃあ 結婚しますよ。」 



この発信に 込められているものは

何だったのか。 



許しと教えを請う心情の私の瞳を

見つめ返した眼差しに


背中を押してもらったように 私は、

XYにこう言った。 


 「いい人という性質は 他人に求めるものではないよ。 そうありたいという意志によって、創られていくものだから。」 


女性が黙ったまま数回頷くのを

見たのか見なかったのか。 


 XYがこう言った。 

 「あ~ぁ〜 今度は 説教かよ〜」


 私にはXYの心の内が 

 わからなかったということであり 


 わかったつもりの上司の進言も 「全くわかっていなかった」 ということである。



「私、あなたの

あの状況でのあのセリフは

あり得ないと思うんですよ」



「私が、『いい人っていうのは

他人に求めるものではない』とあなたに言ったのは覚えていますか?」




 「はい!それはもちろん!」



忘れてやろうとしていたことを  

目の前のメンヘラ女が

わざわざほじくり返したことで


苛立ちを蘇らせた

モラハラ男の面持ちでもあったので


ついでに


「そのあとに、あなたが言ったセリフは覚えていますか?」と聞いたら



それには答えず


「だって

あれは

二人がかりだった


じゃないですか!」





ふたり‐がかり【二人掛】

〘 名詞 〙 一人の力士に、続けて二人が取り組むこと。 転じて、一つのことに二人で取り組むこと。 二人ですること。




身長180cm 体重3桁周辺らしい

age35のXY




ふたりがかりの

ふたりとは


Around90の未亡人 終活女性と

Around50の3B バツイチブスのババア


いったい 全体

このふたりとは

XYにとって

何者ぞ。。。




「言われますよ。

いろんな人に。

わかってますよ。そんなこと。


結婚したほうがいいとか

そろそろしないのかとか。


でもね、この年齢で

転職して引っ越して

こんな状態で金もなくて


年齢だけみて

そんなこと言われたって

困るんですよ。」


「今の僕に、

どうしろっていうんですか??」





自称 元大企業高収入敏腕営業マン

国立大卒 転職歴 数回




「大学生の頃から高級車を乗り回していました」

「そのために、必死でバイトをしたんですよぉ」

「この会社は、給与が安いですよね。

都会にいたときは。。。」

「就職してまで、ローンを組もうともしないなんて、男としての覚悟がない」



そんなふうに稼ぐ力を

宣うたのと同じ口で


「どうしろって

いうんですか」


だと??




車を買う覚悟ももてず

なんのために働いているのか

わからないような長男を

社会に出してしまった

不甲斐ない母親として私は






まるで我が息子を心配する

母親のような面持ちを装いながら


「お金が。。。ないの?」と問うてみた。



すると


「ここに来たせいですよ。

この会社に来るまでの無職期間だってありますし。

引っ越し費用もかかりましたし。


大学時代の奨学金だって、まだ返済の途中なのに!


若い頃なんて、わからないじゃないですか!それなのに、簡単に貸すから借りるんですよ!



結婚したってね

3分の1は離婚して、男は

3万とか5万とか養育費払うんですよ!


みんな、言ってますよ。結婚なんて

しないほうがいいって。」


思いもよらずにはじまった

リアル弱者男性による臨場感溢れるスピーチに、私は


本題からどんどん離れながら

核心に近づいていることを確信し


ますます

趣味の悪い興味を

掻き立てられるのを感じて


「離婚したあとに養育費が大変だから、最初から家族を持たないほうがいいって、そういうことを離婚したお友達が、未婚のあなたに言うの?」と


とてつもない愚問を発信してみたら


「そうですよ。

奨学金の返済も、養育費も 

毎月毎月、何年も払うんですよ!」


と、シングル子育てを経験してきた私に丁寧に教えてくれたので


「そうなんですねぇ。

3万5万ってね、奨学金も養育費も仕送りもそうですけど。


支払う方は大変なんですよね。


その一方で、生活費や教育費としてはまるで足らない金額で。」


と根性悪く共感したふりなんて

してしまったところに


XYが

「そうなんです!そういうことって、若い頃にはわからないじゃないですか!」


と予想以上に食いついたとき



また休憩室から

若者たちの歓声が聞こえてきた。

 


「なんなんですかね?あれ。

まこさんのこと、呼んでんじゃないですか?騒げば来ると思ってんじゃないですか?


どうすんですか?

かまってもらいたいんですよぉ。」


というので


「行きませんよ。

私は罠にハマりませんから。」

と笑って


業務開始の5分前だったので



「放っておけば

5分以内に静かになります」と

予言をしたら


XYは、まるで私と共犯になったと

大きな勘違いをしたかのように微笑んだ。








自分の話をできるだけ話さないように。


他人の事情に口出ししないように。


他人をコントロールしようとしないように。


好奇心を控えなさい。


矛盾や変化を気にせずに受け入れなさい。


他人の過ちを許しなさい。


侮辱や怪我を受け入れなさい。


軽視されることや忘れられること、嫌われることを受け入れなさい。


恩知らずの仕打ちを受けても気にすることなく、助け続けなさい。




常に難しい選択をしなさい。




決して


自分の尊厳を

評価しては

いけません。


マザー・テレサ