事実は小説より奇なりとか
人生は脚本のないドラマだとか
いわれるのだから
スーパーマンの存在だって、決して
アニメや映画の中だけの
ものではない。
うちの長男は
幼い頃から、好プレーも多いが
珍プレーも多く
またチンプレーも
いくつかある。
昨日と今日のリプログは
「ああああああ!」
という叫びとともに
石造りの滑り台から
空飛ぶように
ジャングル風呂に降りてきた
かっこいい
大人のスーパーマンの話である。
子どもたちから
羨望の眼差しを向けられながら
夢と希望を与えたであろう
このスーパーマンは
今、どこでなにをしているのだろう。
我が家の長男
小学1〜2年生頃だったと思う。
言い訳するが3月生まれである。
その日は、私の友人家族たちと
温泉地で過ごしていた。
母子家庭になって久しかったが
幼い頃から
無類の温泉好きである彼は
早くから入浴所作を身につけ
誰とでも行儀よく
湯を堪能することが
できていたはずで
生まれてからこれまで
女湯というものに
一度も入ったことがない。
その日も、おのずと
私の友人男性や
女子友のご主人たちとともに
男湯に向かっていった。
それは予測できる行動だったので
私は子連れではない友人男性に
一応
「全部自分でできるから
かまわなくていいんだけど。
よろしくね。」
と社交辞令的な言葉をかけた。
かまわなくていい
そう言う私の言葉を真に受け
のんびりと露天風呂に浸かっていた彼は
少し離れたある場所にいる
長男に気が付き
「ああああああ!」
と悲鳴をあげそうになるのを堪え
思わず、一発
くらわしてしまったという。
まこちゃん、ごめんね。
ほんとに、びっくりしちゃってさぁ。
温泉慣れしているみたいだったから、もしはしゃいで走り回ったりするようなことがあったら、そのときに軽く注意すればいいんだろうと思っていたんだ。
まさか、静かにひとりで
あんなところに登っているなんて
思わなかったんだよ。
長男がいた場所は
驚きのあまり
他人の子どもに一発くらわす
人生のなかで
おそらく最初で最後だろうと
彼は言った。
それほどまでに、彼は
穏やかな気質の男性なのだ。
旅行から戻った私から
成り行きを聞いた育爺は
しみじみと言った。
あの〇〇くんから
一発くらうだなんて
やっぱり、うちの孫は
たいしたもんだなぁ〜
令和5年 22歳
元旦
母親に座礼し
お年玉を渡した彼であるが
ほんとうは
今や小学生男児の父となっている
〇〇君のところに
出向くべきだったのだろう。