男女は同権

男女は平等


だからこそ、私はときどき

「男の子だから」と


息子たちに期待していたし、それに難なく応えていく彼らを頼もしく感じていた。




難なく?? 

   



それは、あくまでも

身も心も女性である私の一方的な感想であって  


もしかすると私の知らないところでの難は、いろいろとあったのかもしれない。


「努力ってべつに、苦しむってことじゃないじゃん」


さらりとそう言う彼らの日常の努めのなかにあった「難」は、私からは見えないところにあった彼らの力によって


克服されてきた。



それは、とても自然に行われてきた克己なのかもしれないと


空の巣に住むようになった私は

思いはじめた。

  



だとしたら



母親に座礼をしてお年玉を渡す行為は

克己復礼というものなのかもしれない。





親とは、子どもに

自分への感謝を求めたりはしないもの







私が頑なにそう思ってきたのは


シングルであることとは

少なくても自覚的には、強い関係はなかったが


母子家庭で育ったあとの男子が感じる母親へのなにかしらが、彼らの自由な生き方に制約を与えるものであってはならない。


今も昔も、私はそう思っているから

全くの無関係ではないのかもしれない。





20歳を過ぎた大学生の長男が

ほろ酔い加減で

「女手ひとつで男を2人育てることがそんなに容易いことだとは、俺にはやっぱり思えない。」


そう言ったときに


彼からこの言葉が発せられたのは、これが2度目であることにすぐに気がついた。


1度目は、中学の卒業式に学校の企画によって書かれた「親への手紙」


「女手ひとつで男子を2人育てることはとても大変だと思いますが、もうしばらくよろしく」


そんな内容だったと思う。


 





女手ひとつ


今時の若者は、こういう古臭い言葉を使うものなのだろうか?


実際には彼らの幼少期には私は両親のごく近所に住んでいたから、決して1人で育てたわけではない。



「夫はいるがワンオペ育児」とか



「家事は一応できるし日常の子どもの世話もある程度できるが、親や大人としての自己成長の仕方や子どもの育て方がわからない夫」と


「共同ではあるが協働ではない育児」

をするよりも


ずっと気楽に過ごしてきたと心から思う。



それでもやはり

経済と家事と「育てる」ことを取り仕切る、その責任を


自分ひとりで担うことへの重圧はあった。




それがとりたてて苦しいものとの自覚はなかったにしろ


いくつかのリスクと背中合わせであったことは確かである。







経済も家事も育児も母親一人

それでもなんとか  


大人になった息子たち





そんな彼らは


人同士がつくる家庭の多くに、父親と母親というものが存在するという事実をどう受け止めているのだろう。



幼い頃から 

買い物荷物を持ちたがり

お茶碗洗いをしたがって

料理を自分で作りたがった。




その延長にある

「男の子だから」 


伸びた身長 発達した筋肉

体力 意思力 知性

そしてなにより思いやり


そういうものを惜しみなく

他人のために

使えるようになってほしい。





サルの社会では、ボスの地位は力で勝ちとるものなんだって。

腕力のあるボスザルは、先に自分が餌をとって食べて、子どもやメスはその残りを食べるんだって。



あ〜、そんな話あったなぁ。


だけど、それは

サルに限ったことではないと思うけどな。 


人間にだっておるやん。

そういうやつ。






ゴリラ社会では信頼されているゴリラが、みんなからリーダーを任されていて


自分がとった餌を群れのみんなに、子どもやメスに分け与えるんだって。




「おまえ、ゴリラみたいな奴だな」

                      って言われたら


それは人間に対しての

褒め言葉だってことやなぁ






20年前


母子家庭で男子を育てる


そのために息子たちへの父性を求めて

私が読んだ「ゴリラの本」の

男性著者は


人類がサルの仲間から生まれたことは確かだが、いまいるサルたちが将来人類になるわけではない。人類の物語は進化の歴史上一回きりの出来事なのである。


と述べていたが




8年前

息子たちが小中学生になった頃


「ゴリラに励まされ、家族を作り父親になることができた」と記している。


そんな家族の歴史の中で著者はさらに進化して


ゴリラの目で人間社会を眺めることができるようになったのだという。


座右の銘は「ゴリラのような泰然自若」であるのだそうだ。




いまいるサルたちが将来人類になるわけではないが


ゴリラの目で人間社会を眺めることができる人間にはなれる。




泰然自若


泰然自若の解説 - 三省堂 新明解四字熟語辞典

落ち着いていてどんなことにも動じないさま。▽「泰然」は落ち着いて物事に動じないさま。「自若」は何に対してもあわてず、驚かず、落ち着いているさま。






 

人間の進化とは、とてつもなく

奥の深いものである。



参考 

父という余分なもの

ーサルに探る文明の起源ー