長男が、

大学2年生の頃だっただろうか。



今の総長が、○△大学の総長になる話が出たときに、すごく反対する人がいたんだって。



なぜ???

2歳児のように、素直に疑問を口にした私に長男が説明した。


霊長類の研究が滞ることを、懸念してってことみたいだよ。


なるほど。
力のある人は、どこででも必要とされるから、そんなことが起こり得るのか。


と思いながら、総長がゴリラだったことに…
いぃえ、ゴリラの本の著者だったことに気がついた。


私が「父性ある男性になれますように」と、手塩にかけて??育てた長男が入学した大学で

昔読んだ「ゴリラの本」の著者が
総長として式辞を読んでいた。

フィールドワーク
ゴリラ サル
自由 常識 人間



そのことに、言葉にならない感慨のようなものを感じていた私は

大学を卒業した長男のお祝いのために、長男が選んだお高くはない居酒屋で

互いにビールを飲みながら、
22歳の父性観を探るべく、ゴリラの話題を提供した。



ゴリラのリーダーは、

自分がとった餌を、子どもやメス分け与えるんだって。



ゴリラ社会では、信頼されているゴリラが、みんなからリーダーを任されて


餌を群れのみんなに分け与えるような

重要な役割を任っているんだって。


サルの社会では、ボスの地位は力で勝ちとるものなんだって。

腕力のあるボスザルは、先に自分が餌をとって食べて、子どもやメスはその残りを食べるんだって。




長男が言った。

あ〜、そんな話あったなぁ。


だけど、それは

サルに限ったことではないと思うけどな。


人間でもおるよなぁ。そういうやつ🤣 





まさか…  実父の愚行に

気づいてしまったのだろうか。


と、このとき浮かんだ私の疑問は、いまだ解消されていないが、その後の長男の様子からは


少なくても実父を、軽蔑したり嫌悪している風は、全くみられない。



「おまえ、ゴリラみたいな奴だな」

                        って言われたら


それは人間に対しての

褒め言葉だってことやなぁ


          


これが、我が家の長男らしい、父性観である。





人間社会で子どもを育てるとき、
「育てる」のは「人間性」であろう。


人として「生きる力」と「人間性」

果たして、その関係は?

私達は人として生きながら、人を育てる。
成長途中の子どもを躾け、教え、導く。
それは、大人の、多くは親の責務である。

「将来困らないように」
「恥をかかないように」
「迷惑をかけないように」

人の子どもの躾と、動物の躾の差異は
ここにもあり、

そしてそれは、「一食抜いたくらいで死なねぇよ」という、「生かさず殺さず躾」よりも、ずっと人間らしい「躾観」であると思う。




しかしながら、私は
人として未成熟なまま、社会人になり
親として生きる準備が整わないまま親になった。


社会の中で大人としての役割を担い、大人として生きながら

子どもとの日々の中で、親としての役割を試行してきたにすぎない。


そのためか
「将来困らないように」
「恥をかかないように」
「迷惑をかけないように」

それらが親としての子どもへの、躾の意義、目的、目標とは考えていなかった。

困るとか恥ずかしいとか、迷惑とか

それは、子どもが大人になる過程で、自分で感じながら、考え育っていくものだと思っていた。


他の誰かが非常識と感じる言動や、他の誰かがモラルがないと感じる振る舞いをしてしまったら、人間性や育ちを疑われるのは、恥ずかしい。

それが困るから、行儀やマナーやモラルを身につける???



人間は、ゴリラでもサルでもないが、ゴリラのような人間も、サルのような人間もいる。
それが、人間社会であり、いろいろな人がいるなかで、どんな人にもそれぞれ、守られるべき尊厳や権利と言われるものがある。



それが、人権というもので


生き方や考え方の相違とか
合うとか合わないとか

そういうものを超えて、認め合う努力をする。その性が人間性では???

自分とは違う生き方をする人をみて、自分とは違う主張をする人を見て、疑い合うのが人間性?



多くの人に見守られながら、ゆっくりと育った長男自身の人間性が、

他者にどううつり、迷惑や恥の程度がどんなものかは、親ではない、社会で出会う他者の評価に委ねるほうが的を射るものとは思うが、

「待てる大人」になったのは、確かである。




従兄弟たちと、みんなで決めた 
今日のランチはラーメン屋さんで。

「混む前に行こうね」
そんな言葉を交わしながら、体調が優れなかったのか。

一緒に行くか行かないか。

祖母がはっきりしないまま、

「おばあちゃん、行かないみたい。」
そんな空気になりかけたとき

長男が、声をかけた。


「なにを、迷っているの?」

「全部、食べられないかもって思うなら、行ってから考えたらいいじゃん。

出てきたのを見てさ、多いなって思ったら、りくにあげちゃえばいいんだよ。」

「時間?時間なんて、たくさんあるよ。混む前に行こうって言っていたから、みんな早く支度をしただけで。」

「早く支度をしたから、待つ時間は、たくさんあるんだ😁」

「昼のラーメン屋なんて、
14時までは、やってるんだよ。」




大人になるまでの準備期間は長かったけれど、長男の支度は、手早い。

そもそも、朝起きるのが早い。
それは、幼児の頃からそうだったと思う。


あるとき、おばが言った。

長男くんはさ、時間厳守行動だから、時間を守らない友達だと、ペースが乱れて嫌でしょ?

おばあちゃんが言った。

そんな友達、いないんじゃない?
そういうのが合わない人同士って、付き合わないっていうか。

長男が言った。

え?😆
そんなことねぇよ。
そんなやつ、いっぱいおるよ。

いつも遅れてくるやつは、いつも遅れてくるんだから、べつに気にせんよ。

いつもどおりなだけやろ。

今日も、遅れてくるんだなぁって思いながら待ってるよ。
いゃ、それを見越して、自分が遅めに家を出るときもあるし😅

まぁ、それは、俺のそのときの気分や。
したいようにするよ。


俺が時間に遅れないのは、そもそも支度が早いってのはあるし、単に自分がそのほうが動きやすいからだよ。


べつに、迷惑かけたくないとか思ってるわけじゃないなぁ。

俺は、人を待つ時間を迷惑な時間とは思わんし。 

毎回遅れるやつは、単にそういう習性の奴だから心配もせん。


むしろ、いつも遅れないやつが遅れるほうが心配やろ。

俺が自転車で自損事故やって
スマホ壊れたまま、念のためって一泊入院したときなぁ。

連絡もなく、サークルに来ないのはおかしいって。みんな心配して家に見に来たらしいぞ。

しょっちゅうさほってたら、一日くらい誰も気にせんのにな。

俺の習性のほうが、めちゃくちゃ迷惑やら、心配やらかけとるわぁ〜🤣🤣🤣