ちょっとマヌケな強盗犯(狼たちの午後) | 裏窓のブログ

裏窓のブログ

ブログの説明を入力します。

先日24日のライブも轟音と疾走感に包まれ無事終了!

やはりバンドはライブが一番だ! 汗だくで終わった後の心地よさは最高!

6月はちょいとお休みで、次回は7月25日です、お楽しみに!


で、今回の1本はコレ、1975年のアメリカ映画

監督はシドニー・ルメット、主演がアル・パチーノによる


  (狼たちの午後)


名優アル・パチーノの代表作のひとつ、1972年8月2

2日のニューヨーク、午後2時57分、無計画に銀行を襲った3人の男たち、ソニー(アル・パチーノ)、サル(ジョン・カザール)、そしてロビーだったが3人で押し入るはずが入口寸前で怖気づいたロビーが逃亡、一瞬途方に暮れるソニーとサルだったが、ここまで来たらやるしかない!とライフルで行員や客を制圧して金庫を開けさせると中は空っぽ、下見もなしの無謀な犯行は当然のごとく失敗に終わり、思いもかけない籠城事件に発展


そこへ完全包囲を知らせる警察からの電話、追いつめられた2人のとった行動は人質9人をとっての警察との全面対決、ソニーとサルは警察との交渉の末、チャーター機での国外逃亡を企てる!


この作品の注目すべきところは、これが72年に実際に起こった(チェイス・マンハッタン銀行襲撃事件)を忠実に描いているところだ!


しかも、犯行動機がゲイの恋人に性転換手術費をプレゼントするため、というぶっ飛び振り(笑)


この犯行動機はもちろん、犯行がTV中継されたことや、ゲイの恋人が投降を呼びかけに現場まで出てきたのも事実らしい、この作品のほとんどのシーンは役者たちのアドリブによって撮影されたという


…… これならアカデミー脚本賞を獲得したのも納得  ……


入手した事実と繋ぎ合わせると、アル・パチーノが演じたソニーのモデルとなったのはジョン・ウォトヴィッツという男、事件当時31歳、元銀行の収納係でチェイス・マンハッタン銀行に務めるタイピストと結婚して2人の子供得るも69年に離婚、その後、オカマのアロンと知り合い、71年には双方の親も列席して形式上の結婚式を挙げている


相棒のサル(映画での役名もサル)は実際は当時18歳で10代を窃盗などの罪により、再生施設で過ごしてきた孤独な青年、映画ではジョン・カザールの演技に惚れ込んだ監督が設定を34歳にしたらしい


さて、この2人が銀行強盗を思いついた理由というのが、犯行日の午前中に映画(ゴッドファーザー)を見たからだという単純さ(笑)

しかも、アル・パチーノもジョン・カザールも同映画に出演しているわけだから(笑)、これも何かの縁なのか?(笑)


さて、映画では金庫は空っぽだったが、実際は21万3千ドルを奪取、人質と共にリムジンバスで空港に向かい、犯行が成功するかに見えたその時、バスの運転手が2人に言う ー 何か食料はつめこんでおかなくて大丈夫なのか? ー この一言で緊張が緩んだ瞬間、38口径の弾丸がサルを撃ち、ジョンはその場で捕らえられる


映画のクライマックスシーンだ、映画ではバスではなく大型のリムジン車でランス・ヘンリクセン演じる運転手(実はFBI捜査官)がサルに車が揺れると危ないからと持っている銃の銃口を上に上げさせ、一瞬の隙をついて、サルの眉間に銃弾を一発、ソニーを車から降ろし取り押さえる!


そして、空港で即死したサルの遺体は警察に収容され、逮捕されたソニーも連行される


ソニー(ジョン)は翌年、懲役20年の刑に処せられた

映画はここで終了するが、興味深いところはこの後々の展開で、警察との交渉がTV報道されたこともあり、事件後、すぐさま映画化の話が持ち上がる、服役していたジョンは7500ドル+興行収入の1%の契約で映画化を承諾、そのうちの2500ドルを性転換手術費用として恋人のアロンにプレゼントしたという


ただ、映画を見たジョンは ー 事実は30%くらいだ ー とニューヨークタイムズ紙に手紙を送ったそうで、彼が事実と違っている! と指摘したのは


ー 元妻は映画ほどデブでもバカでもない! ー

ー 離婚前にアロンとも付き合っているように描かれているが事実ではない ー

ー 実母や元妻が籠城中に説得しに来たように描かれているが事実ではない ー

ー FBI捜査官とアイコンタクトを交わし相棒のサルを売ったように描かれているが、そんな覚えはない ー


以上の点らしい


ジョンは7年で保釈されるも、保釈違反で再逮捕、87年4月に再保釈となり出所後は母親と暮らし20

06に癌のため死去


映画(狼たちの午後)は犯罪被害者が加害車に共感したり好意を抱く実態を描いた最初の作品でもあるらしい!