異形の兄弟による愛憎劇(バスケットケース・1982年) | 裏窓のブログ

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外科医のリプランダーが何者かに襲われ殺害された、同じ頃ニューヨークの安ホテルにバスケットケースを抱えた青年ドゥエインがやって来る

バスケットケースの中身はシャム双生児として生まれ本人たちの望まぬままに無理矢理切断された異形の兄ベリアルだった

自分たちを切り離しベリアルをゴミのように捨てた医師たちへの復讐を次々と果たしていく二人だったが、ドゥエインに恋人が出来たことから兄弟の絆にひびが入り始める

そんなある夜、嫉妬に狂ったベリアルは超能力を使ってドゥエインを悪夢で責め込み、その間に彼の恋人の部屋に入り込む……


肉塊と化したベリアルの造形、シャム双生児の愛憎を凄惨な殺しのシーンを交えて描いた80年代カルト・ホラーの傑作


ソフトの解説がこれ、1982年のアメリカ映画

監督はフランク・ヘネンロッターによる作品


  (バスケットケース)


ストーリーは


ある夜、外科医のジュリアス・リフランダー(ビル・フリーマン)は森の中の自宅から出ようとした時に何者かの気配を感じる、恐怖に駆られた彼は警察に電話しようと自宅へ駆け込むが、その何者かは電話線を切断すると中にいるリフランダーに襲いかかり顔を引き裂き彼を殺害する


場面は変わり夜のニューヨークの街中、大きなバスケットケースを抱えた青年ドゥエイン(ケヴィン・ヴァン・ヘンデンリック)がうらぶれた安ホテルに宿を取りにやって来る、ホテルの管理人(ロバート・ヴォーゲル)は訝しげにドゥエインをみるが前金を受け取るとキーを差し出した


部屋に入るとドゥエインはバスケットケースに向かい ー 着いたよ ー と話しかける、そしてケースの鍵を開け買ってきた大量のハンバーガーを初めは中身の肉だけを入れていたが、面倒になったのか途中で袋を逆さにして全部ケースの中に放り込む、途端ケースの中からムシャムシャと肉を食べる音……


ドゥエインはハンバーガーを食べながらリュックから出した書類を調べてそこに書かれていた人物を電話帳で調べ始める

次の日、ドゥエインはケースを抱え昨夜電話帳で調べた住所へ向かう

たどり着くとそこはある診療所でドゥエインはそこの経営者である医師のニードルマン(ロイド・ベース)に会うのが目的だった


受付嬢のシャロン(テリー・スーザン・スミス)と何気に話がはずんでニードルマンに会えるように取り繕ってくれないか? と頼み込むと彼女もOKし偽名を使ったドゥエインを予約患者として登録し段取りをつける


診察室へ通されたドゥエインはニードルマンから診察のため服を脱ぐように言われ、シャツを脱いだドゥエインは自分の脇腹にある大きな傷跡を見せる

その傷跡を見たニードルマンは急に青ざめた!


…… その傷跡こそ、彼が昔仲間の医師たちと一緒にシャム双生児を切り取る手術をした跡だった ……


…… ここで過去の手術にまつわる経緯がフラッシュバックされる、ある屋敷に集められた3人の医師がシャム双生児であるドゥエインの父親から2人の切り離し手術を要請されているシーン、冒頭で殺された外科医のリフランダーたちは困惑の表情だが、父親は ー ドゥエインだけが助かればいい、と3人を無理矢理説得し手術を決行させる

3人のひとりである女医のカッターが ー 骨は共有していないから大丈夫だと思う、このままではあの子は幸せな人生をおくれない ー とリフランダーとニードルマンをせきたて嫌がるドゥエインを麻酔で眠らせると手術を決行する


手術は無事成功し切り離されたベリアルの処置を訊ねられた父親は ー ありゃ人間じゃない! 始末してくれ! ー とゴミ袋に入れて外のゴミ置き場へ放りだしてしまう


…… しかし、いくら映画とはいえ現実に切り離した双生児の片割れをゴミ袋に入れて捨てるか? (笑)

現実ならあり得ない(笑)


だがドゥエインたち兄弟に懇意だった家政婦の手により棄てられたベリアルは助け出されこっそり家の屋根裏部屋に匿われていた、回復したドゥエインと捨てられたベリアルは相談の上無理矢理自分たちを切り離した連中への復讐を誓い、まずは父親を巧みな罠で殺す


…… ちなみに切り離された兄のベリアルの造形が粘土細工のような頭と腕だけの何とも滑稽な姿、歯は牙のように鋭く、両腕の力はゴリラ並みの怪力、まさに映画ならではの設定(笑) 、当然被り物というわけでもないから特撮を駆使している訳だが周りの俳優陣の演技や恐怖感漂う演出により下手するとギャグになってしまいそうな描写を上手くフォローしている点が素晴らしい ……


さて、ストーリーを進めると


ドゥエインが診療所から帰ると部屋に残ったニードルマンはすぐさま電話をとり女医のカッター(ダイアナ・ブラウン)に連絡する、ニードルマンは自分たちが手術した青年が現れたこと、そしてリフランダーが何者かに殺されたことを伝えるが、カッターは ー 私達はもう二度と連絡を取らない約束だ、私には関係ない ー と電話を切る


その頃、ドゥエインは映画館で時間を潰したあと、夜になって再びニードルマンの診療所へ向かい中へと忍び込む、そして診療所の前で持っていたバスケットケースを開けると中に入っていたベリアルを出す、ベリアルは物凄い力で診察室のドアを引きちぎると中に居残っていたニードルマンに襲いかかり惨殺する! そして部屋から住所録を探し出しドゥエインに渡す、その書類には女医カッターの住所が記載されていた、それを手にしたドゥエインはベリアルをケースにしまい診療所を出る


ホテルに戻り一夜明けた次の日、ドゥエインは ー 良いものを買ってきた、これでしばらく楽しんでくれ ー とバスケットケースの前にテレビを置くと

昨夜盗み出した住所録から見つけたカッターの住所を下見に行ってくる、とベリアルに告げ一人で出かける


… しかし実はニードルマンの診療所の受付嬢シャロンとデートの約束をしていたのだった …

奇形の兄が脇腹に寄生していたことで、これまではまっとうな恋愛など出来なかったドゥエインだが、兄と切り離されたことで初めて女性と過ごす時間を兄に邪魔されたくなかった …


だが、街中を二人で歩きながらいい雰囲気になりキスを交わそうとした途端、ドゥエインは頭の中に激しい痛みを感じる、兄と弟は身体を切り離されても精神がテレパシーのようなもので繋がっていて、弟が女性と幸せな時間を過ごしていることを兄はホテルの部屋で察知していた、ドゥエインが自分を置いて女性と仲良くしていることに嫉妬したベリアルはドゥエインが買ってきたテレビを壊し、大声でわめきながら部屋で大暴れする

… 奇形のベリアル、その怒りの念によるテレパシーが痛みとなってドゥエインを襲っていた …


ホテルでは宿泊客や管理人が物凄い物音と叫び声に騒ぎ出し ー ありゃ何だ! どこかの部屋に猛獣でもいるのか? ー と音の根源であるドゥエインの部屋を突き止め部屋の前に皆が押し寄せる、管理人と警察が合鍵で扉を開けると中は荒れ放題、だが誰も居なかった… そこへ慌てながら戻ったドゥエインは上手く口実をもうけて、その場に押し寄せた人々を追い払う


ドゥエインが部屋を探すとトイレの便器の中に隠れていたベリアルを見つける、そしてカッターの住所へは行かずに女性とデートしていたことを謝りその場を収める


翌日、再び兄を入れたバスケットケースを抱えたドゥエインは最後の復讐相手である女医カッターの元へ向かう、前に殺した二人は外科医だったがカッターは実は獣医だった、奇形のベリアルは動物扱いで切り離されたことになる


女医カッターは眼の前に現れたドゥエインに対し ー 私があの化け物を切り離してあげたから、こうしてまともな人生を送れているんでしょ! ー と居直るが、ドゥエインがケースの蓋をあけるやいなや飛び出した奇形のベリアルがカッターに襲いかかり無惨に惨殺する


遂に復讐をやり遂げた異形の兄弟だったが、目的を果たしたところでまた別の問題が起こる

… 奇形のベリアルはドゥエインがまだ診療所にいた女性シャロンと仲良くしていることに嫉妬していた ……


そのことでキレたドゥエインと喚き散らすベリアルの口論(?)がホテル中に響き渡り ー また、この部屋か? ー とばかりに管理人たちが押し寄せる、騒ぐ人々をなんとか追い出し扉を閉めたドゥエインは疲れはてて眠りにおちる …


その夜、ケースから忍び出た兄ベリアルは眠っているドゥエインの額にそっと手をあてるとテレパシーでシャロンの住所を突き止め、部屋を抜け出すとシャロンの部屋まで行き部屋で眠っているシャロンに襲いかかり殺してしまう!


ホテルで眠っていたドゥエインはハッと目を覚まし、兄が居ないことを知ると夢中でシャロンの部屋へ駆けつけるがシャロンがすでに死んでいることを確認すると兄をその体から引き離し慌てて連れ帰るが ー 恋人を殺され激怒したドゥエインはベリアルに対して罵声を浴びせる


ー 女を強姦したくてもおまえには出来やしないんだ! でも僕は出来る! ー


この騒ぎにまたまたホテル中の人々が騒ぎ出しドゥエインの部屋へ押し寄せる(笑)

だが、扉をあけると人々は異形の兄弟が揉み合う光景に騒然として立ちすくむ、野次馬が集まる中で言い争っていた2人(?)はその果てにホテルの窓から落下してしまう、瞬間ドゥエインの首をつかみホテルの電光看板に片手でしがみついたベリアルだが、結局は力尽き下へ落下


寄り添うように倒れている2人を野次馬が取り囲みそこへ救急車のサイレンが鳴り響く ……


そしてエンディング 



80年代にVHSの普及により多くの観客を獲得したカルト映画、のちに続編としてバスケットケース2(1990)、バスケットケース3(1991)が制作されるがシリーズ化された続編はどちらかと言うと兄のベリアルをメインに描くホラーコメディ的な要素が強い、それにしても第1作目のラストで2人共エンディングで死んだはずなのに、実は2人共運良く生き延びたという設定の元に作られた続編は何か強引な気もするが(笑)


あのトビー・フーパーのカルト名作(悪魔のいけにえ)なども続編はホラーコメディになってしまって第1作目と同じ恐怖感は味わえなかったが…… レザーフェイスというキャラだけは定着した、この(バスケットケース)のベリアルもその類になるだろうが、どちらかと言えば(チャイルドプレイ)に登場するチャッキーや(悪魔の赤ちゃん)に近いかも知れない


ただ、あくまでも(バスケットケース)の場合はベリアルだけではなく、弟のドゥエインがいてこそ成り立つ図式ではある、なんたって兄弟だから!



今回はこれで、外は台風の影響か? 雨が降りしきっている ……