ゴースト・血のシャワー 1980年 | 裏窓のブログ

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さて、今回取り上げるのは暑い夏の夜にうってつけの1本


1980年のアメリカ・カナダ合作映画


 ー ゴースト・血のシャワー ー


監督はアルヴィン・ラーコフ


〜 おまえの血がないと、この船は動かない 〜


波静かな夜の北大西洋、一隻の鋼鉄船がその船体を不気味に浮かび上がらせていた、人気がないその船は、突然エンジンを始動させフルスピードで疾走、船旅を楽しむ豪華客船へと突っ込み船を沈めてしまうのだった……

一夜明け、洋上には沈没した豪華客船からかろうじて一命を取り留めた八人の生存者たちの姿があった、やがて、漂流を続ける彼らの前に音もなく現れる黒い船、彼らは無人と思われるその船に乗り込み救助を待つが……


2003年のリメイクホラー(ゴーストシップ)のオリジナル版、リメイク版と異なり、元ナチスドイツの拷問船を舞台にした作品、原題は(デス・シップ)


テレビ放映時のタイトルは(ゴースト・血のシャワー)だったが、発売されたVHSソフトのタイトルは原題の(デス・シップ)だった、そして後々発売のDVDは(ゴースト・血のシャワー)となっている、


リメイク作品の(ゴースト・シップ)はあまりに駄作でオリジナルの足元にも及ばない! やはりこのオリジナル版がダントツだ!

作品に漂うダークな恐怖感は夏の夜にぴったりだ


ストーリーは


北大西洋を航海する豪華客船、船長のアシュランド(ジョージ・ケネディ)はこの航海を最後に引退し後任には副船長マーシャル(リチャード・クレンナ)が引き継ぐことが決まっていた 


船内では華やかなパーティーが行われ船長も立場上複雑な面持ちで客に挨拶をしていた

その頃、操縦士らがソナーに写る船を見つける、その謎の黒い船はモーレツな勢いで豪華客船の真横に突っ込み衝突、たちまち海水が侵入して大パニックになる船内


…… このオープニングでもう船が沈没してしまう、(タイタニック)や(ポセイドン・アドベンチャー)のようなシーンだが、ここではまったくこのパニック描写を引っ張ることなく先へ進行する ……


豪華客船の沈没により生き残ったのはわずか8人、救命ボートに乗っているのは副船長のマーシャル、妻のマーガレット(サリー・アンホース)、二人の子供ロビン(ジェニファー・マッキニー)とベン(ダニー・ハイアム)、航海士のニック(ニック・マンキューゾ)、女性実業家のロリ(ビクトリア・バーゴイン)、パーティーの司会者ジャッキー(ソウル・ルネビック)、船長の妻シルヴィア(ケイト・リード)そして、ボートで大海原を漂っている時に不意に浮かび上がって来て助けられた船長アシュランド …… 船長は溺れて意識を失ってはいるものの命には別状は無かった ……


そして漂流している一同の前に一隻の黒い船が現れる、その船から降ろされるタラップから一同は船の甲板へと避難


だが、その船こそ先程、豪華客船に突っ込んだ黒船、しかも、船員は誰一人いないし燃料も無いのに勝手にエンジンのピストンが動いて舵をきって進んでいる、まさに幽霊船そのもの

… この時点では一同は誰もソコに気づかずまずは助かった事を喜ぶ ……


そして甲板へ上がって浮かれているジャッキーの足元にクレーンのフックが引っ掛けられ誰も操作していないはずのクレーンに手が届かない高さまで逆さ吊りにされてしまったジャッキーを皆で助けようとするが、結局、誰もどうしようも出来ずクレーンは勝手に動きジャッキーを海面まで誘導したかと思うと、そのまま海へ落としてしまう…… スクリュー近くに落とされたジャッキーは必死にもがくが、そのまま海へ沈んで溺死


早速犠牲者が出てしまったが一同はまず無人の船内を探索する、船内は至る所埃や蜘蛛の巣などが被り無線機も使えない、幸い水道だけは使えたため沸騰消毒して飲料水だけは確保する


船室のベッドに船長アシュランドを寝かした夫人のシルヴィアは棚の中にあった瓶の飴を見つけて一つ口に含みながらアシュランドを介抱する …… アシュランドは無意識の中で次々と犠牲になる人たちのビジョンをフラッシュバックのように見る


シアタールームの電気が点いて置いてあった映写機が勝手に写り出しコメディータッチな映像がスクリーンに流れ子供たちを和ませているのを見た一同はそこに集まり映画を観ていたが、映画が終わって部屋に電気がつくと座っているシルヴィアの顔が醜くただれて崩れていた …… 先程食べた飴が原因か? ……


怯えて逃げる子供たちが船内を探索しているマーシャルを探しに行く

顔が崩れたシルヴィアは船長アシュランドが寝ている部屋へ戻り意識もうろうなアシュランドにすがる

が… 意識の中で謎の声に囁かれたアシュランドはシルヴィアを絞殺し意識を取り戻すと廃油まみれの服を着替え船長の正装になり部屋へ駆けつけた一同にシルヴィアの水葬を指示する … この回復ぶりに一同は驚く …


以前の彼とは全く人格が変わってしまったアシュランドに一同は不信感を抱きながらもまずはシルヴィアの水葬を済ませる


操縦室へ上がったアシュランドとマーシャル、そこでアシュランドがマーシャルに ー この船を動かしてみろ ー と舵を握らせる、マーシャルが舵を握るが舵はビクともしない、続いてアシュランドが握ると舵はスルスルと動いた


ー 前の船は君に奪われたが、この船は渡さん! ー


とアシュランドがマーシャルに言い放つ、会社の命令で無理やり引退させられたことを根に持つアシュランドに対しマーシャルも反論する


ー 客とも船員ともコミュニケーションが取れないあなたに対する会社の命令だ! ー


マーシャルは部屋を出て航海士のニックと共に船内をくまなく調べて、この船が燃料も無いのに動いていることに驚き、さらに拷問部屋らしき部屋を見つけて中へ入ると、部屋の引き出しからユダヤ人の装飾品や大量の金歯を発見する


ー この船はナチスドイツの拷問船だったんだ! ー


一方のアシュランドは、ナチスドイツの戦死した地縛霊か? 拷問の果てに殺されたユダヤ人たちの怨霊か? 心のなかに働きかける声に完全に操られていた


ー もっと血を…… もっと生け贄を…… ー


その夜、部屋で一緒に過ごしたニックとロリ、シャワーを浴びるためベッドから出てシャワールームに入ったロリの頭上から吹き出したのはお湯ではなく鮮血だった、出ようにも扉が開かない! ニックも外側から扉を開けようとするが開けることが出来ず、閉じ込められたロリの頭上からは止めどなく血が流れ落ちる、血まみれになり叫びながらロリは失神状態 …… ここがタイトルにもなっている血のシャワー、だがこのシーンはここだけ ……


すると勝手に船内放送のスピーカーからナチスの軍歌が流れ出す、部屋を出たニックがマーシャルに助けを求め2人でシャワールームへ戻ると何故かロリの姿はなくシャワーも血から普通のお湯に戻っていた


その頃アシュランドは幽霊のように神出鬼没に船のあちこちに出現し血のシャワーで血まみれのロリを抱え ー 全能なる海の神よ、彼女の魂を捧げます ー そう言うとロリの身体を海へ放り投げる!

その光景を目の当たりにしたマーシャルとニック


ー あんたは人殺しだ! ー


とアシュランドを追い船内を走る、シアタールームへ飛び込んだ2人だが、いきなり映写機から勝手にナチスドイツの記録映像がが流れ出しスクリーン画面を引き裂き映写機を壊しても映像は止まることがなく流れ続け、軍靴の不快な響きと映像のフラッシュバックに2人は気が狂いそうになる


マーシャルは映写機の音波のため耳をふさいで倒れ込み、ニックは壁をぶち破り白骨だらけの船倉へダイブして恐怖にのたうちまわる、甲板に立つアシュランドは操作レバーを引っ張るとニックは網に挟まれ圧死してしまう

その間も絶えずスピーカーから流れるナチスの演説、何とか気を取り直したマーシャルは甲板から救命胴衣を着けてゴムボートを海に放り込み妻と子供を海へ逃がす


亡霊に取り憑かれたアシュランドは勝手に船を降りることは許されん! と銃を撃ちまくりマーシャルを威嚇、2人は直接対決の末マーシャルは上手く海に飛び込み脱出に成功


ひとり船に取り残されたアシュランドはこの時点で悪霊に見放されたのか? 喚き散らすアシュランドは機械室へ落とされ回り続けている歯車に巻き込まれ身体を引きちぎられ死ぬ……


マーシャルたちは無事ヘリに救出され、多くの犠牲者の怨念を乗せた船は再び新たな犠牲者の血を求めて何処へ走り去る……


メインの船長アシュランド役のジョージ・ケネディは今更説明するまでもなく数々の名作からB級作品まで幅広く活躍した名優(2016年、没)、シャレード(63)、特攻大作戦(67)、エアポート・シリーズ(74〜79)、サンダーボルト(74)、大地震(74)、人間の証明(77)、ナイル殺人事件(78)など多くの作品でその存在感ある役を演じていた


副船長マーシャル役のリチャード・クレンナもサスペンス系など数々の作品で活躍した人(2003年、没)、暗くなるまで待って(67)、宇宙からの脱出(69)、白いドレスの女(81)、リバイアサン(89)などで自分も馴染みがあった


この作品、カルトな部類かもしれないがジョージ・ケネディの怪演ぶりや恐怖感を醸し出す演出、効果などホラーという部門では一度みたら忘れないトラウマ感がある!