水没の危機に見舞われ、不安な一夜を過ごした気仙沼の橋の下
を出発(脱出?)した僕は25~6キロ先の陸前高田のユースホス
テルを目指し走り始めた。
25~6キロである。急いで走れば、一時間強で着くことが出来る。
疲れる距離でもない。とにかく飛ばしていこう。
そう意気込んで45号線を走り始めるが、僅か5分後に土砂降りの
雨に降られることになり、わき道の小さなトンネルでの雨宿りを余
儀なくされた。
あ~あ、土砂降りだよ・・・・・
さだまさしの「雨宿り」を口ずさみ、雨宿りにも色んなシテュエーショ
ンがあるものだと思った。片や恋人に出会う素敵な雨宿り、片やず
たぼろ自転車旅の雨宿り・・・・・。
30分程経つと、再び雨足が弱まったので走り始める事にした。
陸前高田までの道のりは、短いながらも峠一つに長いトンネルいっ
ぱい、と意外と難コースである。特にトンネルが多い。1キロオーバ
ーの大物が2~3本ある。
2本目の大トンネルを走っている間に、再び土砂降りになった。仕方
なくトンネルで雨宿り。悪い事にこのトンネル、歩道がない。交通量
はさほど多くないが、大型トラックが脇を
ご~~~!!!
っと走り抜けていくのは相当恐ろしい物である。多少気を利かし
て避けてくれるのは分かるが・・・・。(あっちにしても相当迷惑な
話だろうが)
おまけに、もの凄い水しぶきが飛んでくる。全身に浴びるほどに
・・・・・。最初こそ嫌がっていたがそのうち、もうどうにでもしてっ
!!的なマゾヒスティックな感覚に陥った・・・・・・。
トンネルエリアを抜け峠を登りきると、残りの10キロくらいは割と
平坦な道のりである。まずは峠の下りだ~っと、気分よく走り始
めるが・・・・・
ぴちぴちぴちぴちっ!!
何てこった、自転車のタイヤの水しぶきが顔まで飛んでくるぜ!
鼻にも目にも口にも容赦なく入ってくる。泥除けがないとこうなる
訳だ・・・・・・。雨の路面を時速35キロ以上で走ると、水しぶき
は顔面に到達する、ということを学んだ(だから?)。
スタートから3時間あまり、途中幾度となく雨宿りを繰り返し、後
半やけくそになりながらも何とか走りきり、陸前高田の道の駅に
到着した。
時刻は午前9時過ぎ。前日に携帯で検索しておいた「陸前高田
ユースホステル」に電話をかける。6度ほどベルがなり、受話器
が上がる。
「あのー、今日宿泊したいんですが。一人、素泊まりです」
「大丈夫ですよ。お名前と連絡先お願いします」
「~~~です。チェックインとかありますか?」
「ん~、一応4時なんですが、もっと早く来たいですか?」
「はい・・・・・、今道の駅なんですよ・・・・」
「え!?そんなところにいるの?いいですよ、暇だから。お越し
下さい」
「ホントですか!!ありがとうございます!!すぐ行きます(笑)」
いや~、いい人だ。助かった。実際僕は電話から10分立たな
いうちに到着していた。
陸前高田ユースホステルは、道の駅から300メートルほどの距
離にある。小さな川と海に囲まれ、ある意味小さな島とも言える。
大きな橋が2本あり、そこを渡っていく事になる。
近くにはグラウンドがあり、夏場は部活の合宿等で利用される
様だ。松林の中にあり、見た目は小さなアパート風。
自転車を停め、受付に向かう。と、奥から人の良さそうなおじさ
ん(と言うには若すぎるな)が出てきて手続きをしてくれる。さっ
きの電話の人だろうな・・・・。
汚れた僕を見かねたのか、ボイラーを作動してシャワーを使える
ようにしてくれたり、洗濯機の場所を教えてくれたりした。感じの
いい人だなぁ・・・・・。ユースホステルは初めてだけど・・・・。
そして最後にこう言ってくれた。
「もう一人泊まってる大学生がいて、お昼に美味いラーメンを食
べに行くから、もし行くんだったら11時ロビー集合。 じゃあ、ご
ゆっくり」
少し岩手訛りがある人だ。
早速シャワーを使わせてもらう。天井が半透明なガラスになって
いて、昼は電気を使わないでも明るい。いいなぁ、こういうの。
泥だらけの体を洗いサッパリすると、ベットに寝転がった。このま
まゆっくりしたい気もするが、せっかくの誘いだしラーメンを食べ
に行こう。
何だか今日は楽しくなりそうな予感がする・・・・・・。
簡素な部屋に二段ベッド


