思い出横丁の悲しい思い出 | モラトリアムな日々

モラトリアムな日々

隙あらば壁に張りつき、酒あらば飲んでしまう。そんな日常です。

クライミングが終った後、千駄ヶ谷の料理長と新宿の「思いで横丁」

に飲みに行った。「思い出横丁」はむかし「小便横丁」と呼ばれていた。

せっまい路地裏に4坪ほどの居酒屋、そば屋、ラーメン屋がぎっちり

詰まっていて、焼き鳥の煙やモツ煮の匂いが漂い、低い天井はすす

で曇っている。

薄汚れていて活気があって、くたびれたサラリーマンやら怪しいおっ

ちゃんがチビチビと酒を飲んでいる、パッと見そんな感じであった。

一歩入ると1960~70年代にタイムスリップした気分になり、こんなと

ころが今の日本に残っているというのは信じ難かった。


僕はこういう雰囲気は大好きなので、興奮しながら店を見て回った。

愛想のいいおねえさん(たぶん中国人)の呼び込みにあい、その店に

入ることにした。客席は7席くらいの狭い店で、焼き鳥とモツ煮が売り

のようなので、さっそくビールとそれを注文。

値段はビール600円。串1本150円。モツ煮400円。


・・・・安いわけではないんだね。


ややあって焼き鳥盛合わせが登場。ん~、ちょっと焦げてる気がする

けどまあいいか。パクリ。


・・・・・ま、まずいな~~・・・・・・。


パサパサの焦げ焦げ。「安くて美味い」という「思い出横丁」のイメージ

(まあ勝手なイメージですが)はバラバラと音を立てて崩れていった。

ぼそぼそとクライミングの話をしながら、次は熱燗を飲んだ。料理長は

塩辛(400円)を注文。

そりゃあ絶対不味いでしょう、と心の中で思ったが、何せ相手は料理長、

そして40男。こういう店では塩辛を注文するのが通なのか?と思い見て

いると、一口食べて


・・・・・失敗した・・・・・。


だとさ。俺だって予想できますよ!!

飲みはじめて30分くらいした頃、僕の隣に中年の男が一人で座り、ファ

ンキーな感じでレモンサワーを注文した。すると何故か店のオヤジもお

ねえさんも超無愛想に対応。その後も「寒いね」とかおねえさんに話し掛

けてたが、ずっとシカトしていた。


・・・・え?なんでなんで?


別に普通じゃん。見た目も割りと格好いいし、気の良いおっちゃんじゃな

いの?何でシカトするの?わかんね~・・・。

そのうちおっさんは僕と料理長の会話に首を突っ込むようになった。

こういう時何かしら返事をしてしまう僕は、おっさんの恰好の相手になっ

てしまった。怪しげな英語を会話に織り交ぜる、怪しげな、そして寂しがり

屋のおっさんであった。矢沢永吉とルー大柴混ぜたらあんな感じなんだ

ろうな。

おっさんはサワー2杯で強制的に会計をさせられ半ば追い出されるように

店を出た。

11時頃までちびちび飲み、なんだかよく分からないまま、後味の悪さを感

じ「思いで横丁」を後にした。「飲み直し」でもしたい気分であった。

料理長がボソッと


「思い出横丁で悲しい思い出が出来たね」


と言った。

全くだ。なんともテンションの上がらない飲みであった・・・・・。