kazooさんのブログ -2ページ目

夢の住人 五

゛は゛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



無力だった。


テレビ番組の早押しクイズのような速さで受話器を置いた。
いや、そんなものじゃない慌てて置いた受話器はガタガタいっていた。


男の声だった父親?。違う意味でドキドキしていた
初めて万引きをした中2の初夏のように罪悪感だけが
僕をまだ、追いかけ続けていた。
布団に包まり、運命に負けたと思った。


しかし、今思えば、当時、着信リダイヤルなんてものが
なくてよかったと思う。あったら、考えただけで、ゾッとする


どれくらいたっただろう・・・・気持ちが少しづつ、落ち着いてきた。
もう、僕の中の罪悪感と妄想の彼女の
父親は追いかけてこなくなっていた。
ラジオを乱暴に消して眠りについた・・・・・・・


「おはようございます」


「おはよう」


何事も無く幸せの朝のひと時は訪れた。
時刻8時丁度前後。もう、待ち伏せもなれたものである。
彼女は学校に遅刻するような女の子ではない。
定時ほぽ、ぴったりにこの道に姿を見せる。



        






「すみません!!」










僕は突然、あいさつ以外の言葉を彼女に発した
さすがに驚いたのだろう彼女は慌てて急ブレーキをかけて
キョトンとした眼でこちらを振り返った。


「あのーー、友達として、今度、電話してもいいですか?
 迷惑ならしませんけど・・」


今思えば、突然その質問をされて彼女の性格上
嫌とはいえなかったのだろう。


「いいよ」


と答えてくれた。
うのみにした僕はその場で喜びを隠せずに、ニヤケてしまった。


「ありがとうございます!」


といいながら、なにも言わせないよう
隙も与えずに少しその場を離れて、こう言った


「今週の土曜日に電話します!じゃあ!!」


普通なら、彼女を毎日見送る僕が今日は彼女に見送られながら
その道を立ち去った。彼女から僕が見えなくなった。


勝った勝った勝った勝った勝った勝った勝った勝った。
僕は、運命に勝ったのである。いや、逆らったのである。


ラジオを乱暴に消して眠りについたが・・実は寝れなかった。
ここまで来て、引き返すことはできなかった。
勇気を120%出した人間がすぐに眠れるはずがなく
何気なく、暇つぶしに昔買った本を読みあさっていた。


たしか、中学生1年生の時に一時期、詩を書くことにはまり、
自称ポエマーなどと、ぬかしていた時の一冊の本がでてきた。
銀色夏生さんのたしか・・

゛あの夏の空・・゛という題名の本だった気がする。

何気なくページをめくり、ぼーっと詩とその写真を見ていた・・


「ん? う・ん・め・い?・・・・」


銀色夏生の詩の中に゛運命゛という作品がある。
内容は恥ずかしながら正確には想いだせないが・・・
たしか、こんな内容だった気がする


゛占いもだめだった・・・・
 
 すべて、だめだった・・・
 
 これが運命なの・・・
 
 だったら、運命に逆らってみよう・・・゛


駄目だ、すべての文章は思い出せない!!
興味がある方は書店にでもいってくれ。

僕には大切なキーワードがこの運命という詩に隠されていた


そうだ、運命に逆らってみようと・・・


そこから、運命に逆らうために僕はある計画を考えた。
それは実行しながらお伝えしていこう。


そう、今日がその計画の第一歩だった。

もののみごとに、成功した。
これで堂々と彼女に電話ができる。


おいおい、ちょっとまてよと今はいいたくなる


彼女には好きな人がいるのも忘れて、恋人気分になっていた

今日は金曜日、そう、明日は土曜日。

゛ふふふふふ・・ニヤケル゛


いよいよ、今日は記念の土曜日となる朝。
時計のアラームで眼が覚めた、時刻は8時を示していた。
つづく


今回のテーマ曲

http://jp.youtube.com/watch?v=BR2JPy8j3_g

夢の住人 四

考えざるえなかった。
家路に帰る道のりで、本当に運命ってあるのかなと・・・


リアルなアイドルでよかったはずの僕の中の彼女。

朝のひと時の幸せのあいさつだけでよかった彼女。


答えはでないまま、時間だけがすぎていく。
飯もたべずに、二階の自分の部屋にこもった。
ベットに倒れこみ、いつものようにラジオのスイッチをつけ
答えなど書かれていない天井を凝視していた。


名前も知らないMCのクダラナイ会話だけが、
右耳から左耳へと通り過ぎる。

そのうちに、小田和正の゛ラブストーリーは突然に゛が
何気なく流れてきた、懐かしいかった。
当時2年前ぐらいにヒットしたドラマの主題歌だった。


゛あの日あの時あの場所で君に会えなかったら
 僕らはいつまでも、見知らぬふたりのまま゛


当時、ひとり座敷の部屋で釘付けになって見ていた


゛東京ラブストーリー゛


シンクロしていた、いや、正確にいうとシンクロさせたかった
のかもしれない。

僕の中の彼女はどんどん大きくなっていたことは
ずいぶん前から、わかっていた。


きっかけが必要だった。

時間はすでに23時を過ぎていた、この時間に電話をかけて

彼女の親が電話口にでたら、どうしよう?


武器を持たない戦士ほど無力な者はない。


運だけが頼り、僕の気が変わらないうちに、必死に電話をかけていた・・


コール・・コール・・コール・・・コール・・・コール・・・

つづく


今回のテーマ曲

http://jp.youtube.com/watch?v=01Dbd-Uq2gM&mode=related&search =

夢の住人 参

いつもと同じ朝がきた。眠りにつくのが遅かったせいか
少し胃が痙攣していたのを覚えている。
僕は朝食はいつもとらない、今でもそうだ。


いつもの赤い自転車にまたがり、約束の場所へとペダルをこぐ。
なにも変わらない平凡な月曜日。
         
゛ドキドキしていた。゛


高校までは片道13kmだが、行きは、もう慣れた。
上田橋を渡り、二つ目の道に入ると約束の場所だ。

時刻は7時45分を示していた。
でも、僕の時計はいつも5分早く示している。
正確には7時40分。
20分も前に早く着いてしまったようだ。

緊張のオブラートは僕を包んだまま、解放してくれそうにも無い
小さな石ころを蹴って時間を潰して待った・・・
視線は彼女がいつもくる道を見続けていた。


「キタッ!」


詳しい時間は忘れたが、確実に8時より早い事だけは覚えている。
大方の予想よりはやく、彼女はすぐに僕にきずいた。


「ごめーん、写真いいのなかったから、持ってこなかった」


彼女の第一声は過去1年想いつづけていたイメージとは
うらはらに気さくに話かけてきた。


「あっ、いいですよ、なければないで」   


嘘つき・・・


「あのー、おはようございます、突然なことしてすみませんでした」


彼女は首を横にふって答えてくれた。


「いいのよ、きにしないで、じゃ・・・」


と優しい口調で自転車にまたがる彼女。

もう、いってしまうのかという想いが僕の心を揺さぶっていた。
僕に選択権はない。


「ありがとうございました」


彼女は何事もなかったように再び通学路へともどり、学校へと去った。
あっという間の出来事とは、このことであろう。
緊張のオブラートは甘く溶けていた。
それと同時に込み上げるうれしさ。


「やった、やっちまった!」


この出来事を誰かにしゃべりたくて、たまらなかった。


「えええええええ、マジカヨ!」


「う、うん・・・」


すぐに友達に報告した。今までの事をすべて友達にしゃべりまくった。
うれしさを誰かと共有したかった。

その後、彼女には

゛千曲のねーちゃん゛

というあだ名がついた。


幸せの朝は日曜日と祝日以外、ずっと、続いた。
ただ、彼女とおはようございますのあいさつをするためだけに
早起きに専念し、毎日、彼女をまちぶせた。

心地よかった・・すれ違い様にあいさつをするそれだけなのに。
今想えば、゛純粋な白いキャンパス゛とはよくいったものだ。
まさにそれだった。疾しい色も汚れた色もなにも
書かれていないキャンパスそのものだった。


1ヶ月続いていた幸せの朝に、トドメを刺すような出来事が起きた。
また、彼女がバイト先に来たのである。
その日は4番レジだった。すぐに僕はきづいた。


「こんにちわ」  「こんにちわ・・」


お互いに軽くあいさつだけした。

運命をまた、勝手に感じていた・・・・   
つづく


今回のテーマ曲

http://jp.youtube.com/watch?v=HhCzdjk4P6w