F男の病的希求日記 「生きることとみつけたり!」 -154ページ目

デパケンとデパケンR。


バルプロ酸ナトリウム(以下バルプロ酸と略)は、抗てんかん薬として1970年代から広く処方されていたが、躁うつ病にも有効であることが次第に知られるようになってきた


既にデパケンの抗躁作用はリーマスに優るとも劣らないと考えられるようになっていたが、日本で躁病ないし躁うつ病の躁状態に対する適応が認められるようになったのは2002年からなのである。

バルプロ酸は、胃で急速に酸性型に変わるためにこう呼ばれる。


消化管(特に小腸)から完全に吸収される。


バルプロ酸は、協和発酵からデパケンおよびその徐放剤としてデパケンRが発売されている。


末尾に付くRは徐放剤を意味し、その特性から1日に服用する回数が減らせるのである。


添付文書をみると、デパケンでは1日2~3回に分けて、デパケンRは1日1~2回に分けて服用するように書かれている。


このようなことから、実質的にバルプロ酸は徐放剤のデパケンRの方が多く処方されているのではないかと予測される。


三菱ウェルファーマおよび日研化学により、セレニカRという同じ薬が発売されているが、これはジェネリックではなく、おそらく併売なんだと思う。


セレニカRの方が薬価が高く設定されている。


セレニカRの良いところは、デパケンRが錠剤しかないのに比べ錠剤に加え顆粒もあること。


これはけっこう便利なのだ。

デパケンは剤型は、100mg、200mgの錠剤、20%細粒、40%細粒、5%シロップ。


デパケンの薬価は、200mgで18円ほど。


600mg服用しても60円にもいかないのでかなり安価。


デパケンRは、100mg、200mg錠があり薬価は200mgで23円ほどなので、デパケンとさほど差がない。


セレニカRは、錠剤は200mgしかないのだが、40%顆粒がある。


薬価は200mgで30円ほど。


顆粒の薬価は40%1gで49円なので、セレニカRなら顆粒を処方する方が割安となってる(400mgが49円)。

剤型で注意したいのは、デパケンRの錠剤はその構造から分割できないこと。


また、まれに便と一緒に錠剤がそのまま出てくることもあるらしい。


これは別にそのまま出たわけではなく、薬剤がすべて出て行ったカスみたいなもの。


こういう風に徐放させるメカニズムがあるのだろうと思われる。


セレニカRがどのように徐放させているのかボクは詳しくない。


徐放剤で細かい用量設定をする場合は、セレニカR顆粒の方が便利である。


デパケン、デパケンR、セレニカRには多くの後発品(ジェネリック)が発売されている。


例を挙げると、

○デパケン
バレリン、ハイセレニン、エピレナート、エスダブル、サノテン、セボトボルなど

○デパケンR、セレニカR
エピレナート徐放顆粒 バルプラムR


以前は、このような安い薬価の向精神薬にジェネリックが存在するのが不思議でならなかった。


正規品が安い薬剤のジェネリックはその差が小さいのである。


ジェネリックは正規品に比べ納入価格の薬価差益が大きいので、入れる価値があることが後にわかった。


このタイプの薬物はずっと服用するものだし、また脳に作用するものなので、このくらいならば正規品を使ってほしいと個人的には思う。

効能・効果は、添付文書では、各種てんかん(小発作・焦点発作・精神運動発作並びに混合発作)およびてんかんに伴う性格行動障害(不機嫌・易怒性等)の治療。


躁病および躁うつ病の躁状態の治療となっている。


用量については400mg~1200mgの範囲とされているが、適宜増減できる。


バルプロ酸は血中濃度が測定できる薬物なので、これに相応して決定される。


バルプロ酸の半減期は、書物により多少差があるが、8~12時間程度とされている。


17時間以内という幅を持たせているものもある。


有効血中濃度は、40~120μg/mL程度とされている。

抗てんかん薬としてのバルプロ酸は、欠伸の第一選択薬である。


またこの薬物には抗大発作作用があり、原発性全般大発作に有効である。


一方、単純部分発作や複雑部分発作には2次選択薬となっている。


そのような理由がありながら、バルプロ酸が「けいれん」に処方される機会が多いのは、相対的にフェノバール、フェニトイン、テグレトールに比べ副作用の面で処方しやすいからだと思われる。

実は、精神科外来には新患のてんかんの患者さんはほとんど来院しない。


てんかんは患者さんからみると、子供なら小児科、大人なら脳外科や神経内科に受診し、精神科医が初診をみることは極めて稀。


現在、デパケンR(バルプロ酸)は躁状態に適応を持つ。


躁状態には、リーマス、デパケンR(バルプロ酸)、テグレトール、および抗精神病薬が処方されているが、最も有名なのは、やはりリーマスだと思う。


リーマスとデパケンRは、躁状態に対しての効果には差がないことがわかってきている。


いずれの薬剤も躁状態に対しての有効性についてはエビデンスがあるのである。


しかしその薬剤としての特性、症状に対しての効果が異なる。

リーマスは、古典的な爽快感、多幸感を伴うようなピュアな躁状態には有効性が高いのだそう。


一方、デパケンRは、躁鬱混合状態や急速交代型のような紛れがあるような躁状態にはリーマスより有効性が高くなっている。


平凡に言えば、複雑なタイプの躁うつ病の場合、デパケンRの方がうまくいくことが多いということになる。


それとこれは重要な点だが、リーマスは服用し始めて効果の発現が遅い。


2~3週間はかかるといわれている。


急性の著しい躁状態には、やはりセレネース液やロドピンなどの抗精神病薬の方が即効性があるし、まだデパケンRの方がリーマスより効果が早く発現する。




躁うつ病のうつ状態に対しての効果はどうであろうか? 


躁うつ病のうつ状態の治療は根本的に単極性のうつ病の治療とは考え方が異なる。


躁うつ病のうつ状態に対して、リーマスは有効性が確かめられており、デパケンRは効果が確定していない。


軽度改善くらいの報告はみられているのだが。


このあたりは、精神医学でもまだよくわかっていないものに入る。


注意点として、リーマスの日本での適応には「躁病および躁うつ病の躁状態」となっており、明確に躁うつ病のうつ状態とは書かれていない。

躁うつ病の維持療法についてだが、リーマスについては研究も多く、ほぼ維持療法に有効性があると考えられている。


デパケンについてはやや報告数が少なくなるが、わりと良いというものもある。


はっきり確定している面ではリーマスが上回っているが、デパケンRも臨床経験的にはけっこう良いと思う。


副作用の面で、リーマスは治療域と中毒域が接近しており腎臓に副作用を持つので年配の患者さんには処方しづらいところ。


それに比べ、デパケンRは肝臓に負担をかける方なので血液検査で監視しやすい。腎臓は少し悪くなっているくらいでは簡単にできる検査で見えてこないというのが理由。