結局、10日遅れの | AREA73 MY NEXT THIRTY YEARS

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1973年出現、船長、だけど今は陸での仕事。
海に戻りたい坊主おやじの出来事、気になる事。

さて、下船までのお話に戻って。
1港目から2港目で既に6日遅れ。
ハリケーン Teddyによりゆく手を阻まれたので仕方がないのですが、ただ遅れただけでなく、船を守る為にまともに眠れない状況で日々を過ごしていたんです。

本来ならこの期間に引き継ぎの準備を行うはずだったのですが、全然そんな余裕もなく。
実はCOVID-19の影響もあったんです。
このアメリカ東岸へ向かう前の日本にて乗組員が1名減員となっていたんです。
フィリピン人の三等航海士、彼の交替の手配がつかず、でも日本の港の時点で既に乗船期間が11ヵ月を超えていて、アメリカ東岸に着けば1年を超えてしまう状況。

彼自身もこのCOVID-19により交替者がいないことも理解しており、アメリカ東岸まで頑張ってくれるコトになっており、日本での彼の下船の予定はなかったんです。

それが日本の港に入る前夜に会社から電話があり、急遽下ろすと連絡。

イヤ〜イイんですよ、減員になっても。
でもね、入港の前夜に言われてもこまるんですよ、交替者も手配出来ずに下船だけさせるって。

このフィリピン人の三等航海士、入港関係の書類の準備をしてくれている担当なんです。
かつては通信長と云って通信関連、入出港の書類の準備をする役職の方が乗っていたのですが、人員削減の為、通信長は今や客船にしか乗船していないんです。
でも、全くの減員は流石に困るってコトでここ最近は三等航海士が2人乗っていたりするんです。
今回の船は入出港の回数の多い船でその三等航海士が乗船していたんですが、その1人の三等航海士の下船。

コレがね事前に下船、交替者なしって聞いていたなら、下船する彼が担っている業務を引き続き乗っている者達に割振り、引き継ぎをするのですが、日本の港に入港前に言われても…って感じで。

何を担っているかは知っていても実作業の細々としたコトを知っているワケではなく、とりあえず日本の港の入出港の合間に要点だけの引き継ぎ(?)を受けて。

ってね、入出港の書類って基本船長のサインが必要なんですよ。
いつもは下船した三等航海士が準備してくれたものの最終チェックや訂正を指示して、サインをするんで、結局のところ船長が一番内容を把握しているんですよ。

だから入出港の書類関連の作業はボクがやるコトにしたんです。
でもね、アメリカ東岸の入港書類ってホント面倒くさいですよ。
提出時期や記載事項とかがタイヘン細かくって…。

慣れない書類作業に加えて、荒天の中の操船。
港の関係もあり、3港目の入港も更に2日遅れ。
港に入れば静かなんですけどね。
もう、身体はヘロヘロです。
港に入っても検査関係があり、全く眠れず。

更に更に4港目の入港も更に更に更に2日遅れ。

その4港目の港で下りたんですが、初めの予定からすると10日遅れの入港。
約1週間まともに眠れていない中、なんとか入出港を行い、次の方に引き継ぎして下船しました。