篦棒めッ! | AREA73 MY NEXT THIRTY YEARS

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1973年出現、船長、だけど今は陸での仕事。
海に戻りたい坊主おやじの出来事、気になる事。

あんまり縦の写真を撮ることはないのですが、月と夕焼けを一つの写真に収めるとなると縦になっちゃいました。

泥棒猫呼ばわりか 
人聞きの悪い事を 云うじゃあないか
箆棒(べらぼう)め言い掛りよ
あのひとは春猫さ 甘え上手

昨日、今日はちょっと会社に振り回されていました。
船を動かすかどうか、つまり航海再開するか否か。

昨日の昼頃にメールと電話があり、次の予定の連絡がありました。
2週間ほど先に、港に入港して積み荷開始と。

2週間先に入港ならば、直ぐに船を動かさなくてもイイのですが、諸手配を依頼しなければなりません。

連絡を受けて直ぐに各所に連絡、入港するであろう日取りを伝えて、必要な検査や補給の準備の為の依頼確認。

一気に忙しくなるんです。
入港日に入港する船がボクら船だけとは限らないので、検査関係の手配はある意味早い者勝ち。
検査機関の人手が有れば受検できますが、そうでなければ受けれない。

タイミングを逃せば、折角入港出来ても受検できなければまた次の機会となります。
でも有効期限があり、その有効期限内ならば更新検査で簡単にことは済むのですが、失効すると一からやり直しでタイヘンなんですよ。

それに失効していたら入港を許可されない港もあり、色々と厄介なんですよ。

勝手に舞い込んで来たものを
不意に返せだなんて
陽炎や蜃気楼(かいやぐら)の様に
追えば のがすもの

前回の航海再開の連絡を受け、走り出した時も同じことしているんですが、結局キャンセルとなったので…。

流石に各所返答が早く…と云うか、ボクの尋ね方も要領を得たためか、皆さん直ぐに返事を頂きまして、大変スムーズに確認事項が揃いました。

泥棒猫呼ばわりも 
この頃は好(い)い加減 馴れちまいんした
一通り言い掛りよ
あたしなら秋猫さ 寒がり屋

スケジュールには、まだ細かい調整が必要で最終通達はまだなのですが、先にも書いたように先手、先手を打たなければ、決まるものも決まらないので。

頂いた各所の確認事項や予定を、船の入港予定日と照らし合わせながら…。

1日ズレても、この港は大丈夫とか、この港は1日遅れると日曜日になるから検査関係はダメだから…とか。

そんな各所との遣り取りを終えた頃に電話が。

「今回も昼頃にお伝えした航海がキャンセルになりました。」


おい、篦棒め! ふざけるなッ‼︎  

それが正直なトコ。

半日前に連絡してきたものをキャンセルだと?
なら、初めからして来るなよッ‼︎

各所へボクが、と云うか船側から連絡をしていますが、同時にスケジュールは会社から送られているんです。

だからボクが連絡しても誰も驚くコトもなく、船からの要望に対し直ぐに確認をして頂けるんですよ。

そう、つまりこの昼頃の連絡によりボク達船のニンゲンだけでなく、各所の何十人、いや100人を超える方々が動いているんです。

船から依頼しなくともスケジュールが発表された時点で、常用作業に関しては皆さん確認や手配に動き出してくれています。
さらに船からの常用作業以外の手配や確認に人手や時間を割いて頂いているんですよ。

それをたった半日足らずでキャンセルだと⁇

いや、もちろん会社の人達の考えもあるんでしょう。
前回のように調整に調整を重ねた結果なら、まだ仕方がないと思えますが、半日足らず。

確かにキャンセルは早い方がイイですよ、でも半日足らずで判断できるようなコトなら、見切り発進するなよッて。

勝手に擦り寄って来たものは
無理に追返せないわ
不知火(しらぬい)や宵月に同じ
何時も さむいもの

社内でも振り回されているんですよ、この半日足らずのキャンセルに。
人事担当もその振り回された一人。

ボク達の船は日本人だけでなく、外国人との混乗なんですよ。

スケジュールが見えて来ると、人事担当は各国の担当者に連絡、今船に乗っていて契約乗船期間を過ぎた者や近い者の交代者の手配をしなければならないんですよ。

この新コロナ禍、海外への渡航が難しく、国によってはまだ飛行機の行き来が止まっているトコもあり、まだまだ状況は厳しいんです。

彼らもまだ調整が必要だとは分かっていても、仮スケジュールが発表された時点で動かなければ、間に合わないので、直ぐに動き出すんですよ。

「全てを手に入れる女」と、云われちゃあ
流石に白々しくなる
なんてったって女と男の縁は
切ったって切れないたぐいか
どう足掻(あが)こうと切れる手合よ


それに今のボクの船には10ヶ月近く乗っている乗組員もいます。
彼らの国がロックダウンしている時は、彼らも状況を把握しているので、乗船を続けることを受け入れますが、そんな状況をも解除された今、船が港に入る予定がないと言うだけで伸ばされることには不満が溜まります。

まして、半日前には下船の希望の光が見えたのに、半日後には断たれるって。


あのひとが隠し事するなら
それが罪業(ざいごう)じゃあないか
なにが不幸か幸せかは
だれもわかりんせん

こういうコトってお金の計算しか見てない輩には分からないんですよね。

どんだけの人が動き、どんな気持ちでいるかなんて。

ボクも今朝、改めて各所にキャンセルされたコトと詫びの連絡を入れました。

皆さん仕事ですし大人ですから、船の状況も理解して頂いているので、逆に労いの言葉を添えて返信して下さいます。

でも、こういう関係を丁寧にしていかなければ、いざという時に誰も支えてくれませんからね。
お金だけじゃないんですよ。

メール1つで船や周りが動いていると思っている奴には分からないんだろね。

勝手に立ち去って行くものを
なにも引き留めないわ
連れてって焼いたり煮たり
さあ、お気に召すまま
〜名うての泥棒猫 / 石川さゆり〜

追)
今日の話題とこの「名うての泥棒猫」には全く関連なしです。
いや、今日のはただの愚痴ですからね〜。
なんか月を観ていたら、ふと流れてきた曲。

この「名うての泥棒猫」2014年に石川さゆりと椎名林檎がコラボして発表された曲。
シングルとして「暗夜の心中立て」のcouplingとしてリリースされ、ミュージックビデオをも作成されています。

石川さゆりから椎名林檎へのアプローチの末に実った作品達で、両曲とも作詞・作曲:椎名林檎。
ボクは「名うての泥棒猫」の方が好きなんですが、石川さゆりの下を巻きながら気張る歌声や柔らかい歌声、時には語尾にのぞかせる裏声。
サビは…椎名林檎がザ・ピーナッツをイメージしたサウンドにしたこと…椎名林檎がコーラスと云うか「ハモり」を石川さゆりと共に披露しています。

江戸っ子な言葉使いの歌詞に石川さゆりの抑揚豊かな声がホントいいんですよ。
演歌ではなく、良き時代の歌謡曲を彷彿させるナンバーですよ。