HERESY / WHOSE GENERATION ? | Hard “metal” Core Side

Hard “metal” Core Side

福岡県在住の美容師が好き勝手に執筆する
80年代を中心とするハードコアパンクや主にマイナーなスラッシュメタルや
90年代以降でも80年代の要素を取り入れている音源のレビュー形式日記です。

テーマ:

今回はHERESYをご紹介。



このHERESYは85年〜89年まで活動していたイギリスのノッティンガム出身のハードコアパンクバンドで、古くからハードコアを聴いているパンクスにとってはおなじみのバンドではないでしょうか?



80年代中期頃になるとDISCHARGE、G.B.H、CHAOS UKらのオリジナルハードコアパンクバンドの活動が低迷化していき、そんな中でも第2のハードコアパンクムーブメントの盛り上がりの起爆剤となったのが所謂"UKハードコアルネッサンス"といわれるムーブメントなんですが、80年代中期〜後期にかけて勃発していたこのシーンの代表バンドの一つがHERESYです。


このムーブメントで活躍していたバンドは大体はDISCHARGEからの影響をベースにし、同じハードコアパンクといえども音楽性やメンバーのファッションにいたるまで多岐に渡っているのが特徴なんですけども、その一つの流れが従来のハードコア以上に猛烈に速いスピードでプレイしていたバンド達が存在していまして、結成時(85年)のHERESYは既にグラインドコアと同等のスピードで演奏していたバンドで、過去の文献なんかを調べてみると結成当初ドラムのSTEVE  CHARLESWORTH氏はまだ13歳だったとのことです。



そして今回はこちらをチョイス。





こちらはHERESYの最後の作品とされる89年にバンド自身のレーベルIN YOUR FACE recordsから発表された4曲入りEP「WHOSE GENERATION?」です。


見ての通り、表ジャケットはイギリスの偉大なるロックバンドTHE WHOのアルバム「MY GENERATION」のパクリジャケです。


前年のバンドが一世一代をかけて制作されたフルアルバム「FACE UP TO IT」がバンド側からすると劣悪なミキシングのせいで、失敗作の烙印を押すこととなってしまい、HERESYとしての活動に終止符を打つ一つの原因とされたみたいですが、正直筆者個人的には当時から無茶苦茶カッコいいと思いましたし、長年聴いてきた作品ではあるんですが、何分バンドの求めていた仕上がりとは程遠かったのでしょう。


こちらのEPはとりあえず最後の置き土産的な意味合いの作品なのではなかろうかと筆者は判断してますけど、しかしコレが中々のモノで、ある意味吹っ切れたのか、スピード、演奏のキレ、アグレッシブさが非常に高い水準で出来上がっていると思います。






いや、これはカッコいい。


元々はSTUPITS同様に80年代初期のUSハードコアパンクの軽さのある速さの影響が濃厚だった持ち味のバンドでしたが、この作品ではボストン系ハードコアパンクのように速さとダイナミズムの融合をも駆使したサウンドで、後の90年代以降のファストコア系、パワーバイオレンス系、2000年代のバンダナスラッシュ系にもしっかり影響を与えたであろう音作りが為されているように思います。


何はともあれ、80年代ハードコアパンクの歴史に名を刻むバンドの一つの成功例の作品なので、コレはハードコアパンクマニアックスだけではなく、速さにこだわるスラッシュメタル好きにも聴いてもらいたい作品です。