ASSASSIN / 1st アルバム + 2nd アルバム | Hard “metal” Core Side

Hard “metal” Core Side

福岡県在住の美容師が好き勝手に執筆する
80年代を中心とするハードコアパンクや主にマイナーなスラッシュメタルや
90年代以降でも80年代の要素を取り入れている音源のレビュー形式日記です。

今回はASSASSINをご紹介。

このASSASSINは80年代中~後期で当時の西ドイツのスラッシュメタルシーンの立役者の一つとされるジャーマンスラッシュメタルバンドです。

三羽烏がジャーマンスラッシュメタルシーンのオリジネイターとして第一世代とするならこのASSASSINやDEATHROWVENDETTAEROSION、NECRONOMICON 、DARKNESS らは第ニ世代と捉えられているのがスラッシャーの間では一般的な見方だと思いますがこのASSASSINの前身的存在ともされる「SATANICA」は結成が82年頃でASSASSINとしての活動は84年からということを考えてみると実は第一世代となんらかわりない程のキャリアをもっているし、89年に一度解散するも2005年には再結成を果たし現在も着実に活動を続けコンスタントにアルバムを発表しているので、活動歴はスラッシュメタルバンドの中ではもはや大ベテランな存在であります。

このバンドは現在の最新作も含めて非常にスラッシャーのツボを押さえた良質なスラッシュメタル作品を発表していますが筆者個人的に80年代に発表されたこの時期のアルバムに思い入れがありますので今回はそれらをチョイスしました。




こちらは当バンドの記念すべき1stアルバム「THE UPCOMING TERROR」で87年に初期のDESTRUCTION SODOMも発表していたSTEAMHAMMERからのオリジナルアナログ盤。

先ほど個人的に思い入れがあると述べましたが、コレこそ筆者がスラッシュメタルにのめり込むキッカケを作ってくれた作品であり、
昔はメタルとパンクは忌み嫌い合う間柄だったせいもあってか元々パンク/ハードコアを心酔している筆者にとってはメタルを敬遠していた部分もあったものの、よくよく考えてみると朧気ながらもGISM、THE EXECUTE、GASTUNKPOISON ARTS等特に80年代に活動していたハードコアパンクバンドはメタルの要素も多分に含まれているのも事実でそれらのバンドはよいのにメタルの音楽性は認めないのはなんだか道理に合わない気もしてましたし、一番のキッカケは高円寺にあるレコード店RECORD BOYさんの存在でした。


80年代初期頃から日本のパンク/ハードコアを始めとしてインディーズを支え続けてきたお店で筆者も利用していましたしDOLL magazineに毎号掲載されていた同店の広告がやたら文字の細かい大量の商品リストも圧巻でしたが、90年代後半頃になると商品リストにメタル系の商品が並ぶようになり最初は“何故、長年パンク/ハードコアを中心を扱うレコード店にメタルの商品が?”と最初は疑問に思ったものでした。


しかし長年日本のパンク/ハードコアを扱ってきた老舗中の老舗のRECORD BOYさんのセレクトした商品ということを信じて挑戦してみたのがこのASSASSINの1st アルバムでたしか当時はフランスのAXE KILLERの再発盤だった記憶があります。


※80年代のハードコアパンクやスラッシュメタル作品には、もはや定番ともいえるジャケット、歌詞カードなんかのインナーシートでの写真の切り貼りデザインはこのASSASSINにも採用されていて、以前当ブログでも紹介させていただいたオーストラリアのSLAUGHTER LORDや後にノルウェイジャンブラックメタルシーンの中心バンドだったMAYHEM、このバンドのメンバーが親日家のせいか日本のCASBAH等親交の深いバンドのメンバーフォトも掲載されています。

ちょっと話は反れますが、パンクスの方々でメタルの音楽性を苦手とする方は“ハイトーンのヴォーカルが受け付けない”といった意見が大半のようで、筆者も最初メタルを嫌っていたのも正にそれでしたし、正直いってダサいって思ってましたがASSASSIN のこの作品と出会ってこの考えを改めるきっかけにもなりました。

ジャーマンスラッシュメタルスタイルの典型ともいえる曲群たちは特にマイナーメタル、ダイハードスラッシャーの心を掴むであろうそんな作品といってもいいでしょう。
力任せにただ闇雲に爆裂疾走するスタイルはこの頃のジャーマンスラッシュメタルの基本を押さえており、ROBERT  GONNELLA氏の汚く畳み掛けるようにシャウトしまくるヴォーカルは意外とハードコアっぽいのでハードコアパンクマニアックスの方にも受け入れやすいと思いますし、DINKO  VEKIC'氏とJURGEN “SCHOLLI” SCHOLZ 氏のツインリードギターは中二病かと思うくらいに何かの一つ覚えの如く、ピロピロに弾きまくりながらも曲展開はドラマチックに構成される所もあり、汚いながらも熱いメタル魂をもって果敢に挑む姿勢が大変素晴らしいです。






こちらは88年に前作同様STEAMHAMMERから発表された2nd アルバム「INTERSTELLER EXPERIENCE」のオリジナルアナログ盤です。

やはりこの作品をスラッシャーの方々に知らしめたとされるラストナンバー「BAKA」(馬鹿)が語り草になっている作品ですが、ツインリードギターの片割れだった JURGEN “SCHOLLI” SCHOLZ氏から後にSODOMに加入する MICHAEL “MICHA” HOFFMANN氏に、ドラムがANDREAS “PSYCHO  DANGER” SUTHER氏からFRANK  NELLEN氏にメンバーが交代されたことによりバンド内にも改革が成されたように感じます。

バンドは先にも触れた通り、89年に一度解散をし、2005年に再結成して以降から発表されているアルバムの数々の作風は基本的にこの「INTERSTELLER ~」をベースにしているように感じるのでそれだけこの作品は当バンドにとっても意味があり、重要なポジションになるモノではないのであろうかと思います。

前作譲りの爆裂疾走しまくる速さに重点を置きながらもアルバム全体には前作のようなダークな雰囲気が陰を潜め、結構キャッチーなフレーズやコーラスワークも随所に導入されている等の方向転換に加え、特にギターリフが複雑に割クランチを効かせて“聴かせるツボ”を押さえている所は以前紹介したDEATHROWの「RAGING STEEL」 に近い感じもあります。



※今作の歌詞カード/インナーシートには切り貼り写真デザインを採用されており、前作同様交流のあるバンドが写っていますがこちらはVIOLENT FORCE のメンバーの姿も。


筆者の個人的な憶測としてはライブでのノリ重視での作りを意識したのではないか?と思っているんですが、前作と比較すれば聴いていると

自然と首を振りたくなるのはやはりこちらの作品なんです。
4曲目のTHE  CHANTAYSの「PIPELINE」のカヴァーなんかはその典型例ではないでしょうか?


やはりこの作品を語るにはどうしても外せないラストナンバー「BAKA」(馬鹿)はこの曲のせいで、バカスラッシュだのダメスラッシュだの烙印を押されがちになっていたものの曲自体はラストを飾るには申し分ない程のアグレッシブさに満ちた曲でダイハードスラッシャーはもちろんハードコアパンクマニアックスの方にぜひ聴いて欲しい曲です。


ハードコアパンク馬鹿だった筆者をまんまとB 級以下スラッシュメタル馬鹿へと導いてくれたこのASSASSINの作品達に感謝しかないです。