愚鈍(GUDON)!!その2 | Hard “metal” Core Side

Hard “metal” Core Side

福岡県在住の美容師が好き勝手に執筆する
80年代を中心とするハードコアパンクや主にマイナーなスラッシュメタルや
90年代以降でも80年代の要素を取り入れている音源のレビュー形式日記です。

前回のブログに伝説の80年代広島ハードコアパンク愚鈍(GUDON)のディスコグラフィー盤再発されるタイミングに合わせて当バンドの作品を紹介させていただきましたが、今回はその2回目です。



こちらは87年にSELFISH recordsから発表された7'EP「HOWLING COMMUNICATION」です。

HAPPY氏がヴォーカルになってから言葉を速射砲のように吐き捨てるようなスタイルに変化したのと同時に愚鈍(GUDON)サウンドもスピードアップしていきましたが、その中でもこの作品はことスピードに関してはかなり速くなっていまして中には下手するとスピードコア並みに加速する曲もあるので、ここでの各パートの一糸乱れぬ瞬発力での演奏が初期の頃とは音楽性もかなり変化を見せています。

この当時は日本のハードコアパンクシーン自体が全体的にスピードを増すような底上げがなされたような印象を受けていたし、日本のスラッシュメタルやスケートロック系も丁度この時期辺りから盛り上がってきていましたからひょっとしたらそういった存在達もハードコアパンク側にも何らかの影響あって音のスピードアップ化につながったのかもしれません。
筆者的には愚鈍(GUDON)の単独作ではこの作品は一番聴き込んでいましたし、何よりもジャケットがカッコいいです!

それにあのSELFISH records からレコードをリリースされたということ自体が愚鈍(GUDON)の人気を物語っている気もしますし、このレーベルから作品を出せることってホント凄いことだと思うんですよね。

SELFISH recordsって大半がパンク/ハードコアのリリースばかりでしたがちょっとパンクとは言い難いバンドもレコード出してましたけど、かなりクオリティーが高いし、ハッキリ言ってレーベル買いしてもいいくらいの作品ばかりでした。
 


こちらは89年に加害妄想レコードから発表されたコンピレーションアルバム「HANG  THE  SUCKER VO.2」です。

同シリーズコンピレーションの第2作目で前作はたしか7'EPで出してたと思うんですけど収録バンドは静岡のDEADLESS MUSSとSO WHAT、広島のHALF YEARS とGOOGOL PLEXだったですかな?(こちらのレコードは持ってないんですよね。凄くほしい!)

ここでの愚鈍(GUDON)は幾分かは粗い雰囲気で初期程ではないにしてもそれなりにノイジーなハードコアですがただこの時点ではサウンド的には確立されていますしもう貫禄のかっこよさですからこちらとしても安心して聴いていられます。
自虐(ZIGYAKU)氏(以下自虐氏)はここではすでに愚鈍(GUDON)を脱退していて一緒に収録されているHALF YEARSを結成しているので詳しくはわかりませんがここでのギターは元CHICKEN BOWELSのMOTSU氏でしょうか?
昔のDOLL magazinで自虐氏のインタビューが掲載されていて脱退の理由は

“GUDONをやっているのがイヤになったんだけど、それはなんでかっていうと・・・。全部一人でやってたの。ほとんどの曲書いて詞書いて、ライブの企画やって、レーベルやって、歌入れも決め、練習も取り、練習に来ないメンバーを起こしに行き、広告もやり・・・。全部やってたの。それで、ハッ!と面白くなくなったのよ。色んな人間の色んなものが、ぶつかりあって混ざったときに音楽は面白くなる気がしたから、だから興味がなくなって、プッ!っと辞めるって言って、GUDONを辞めたのよ。”

(原文をそのまま掲載)

自虐氏のマメな性格が仇となった結果になった部分もあったのだろうとも取れる理由ですが、ただ自虐氏としてはある意味愚鈍(GUDON)ではやりきった、やり尽くした感じもあったのではないでしょうか?



こちらは91年にBLOOD SUCKER recordsからリリースされた愚鈍(GUDON)とWARHEAD JUNKのスプリット7'EPです。

愚鈍(GUDON)の最後の音源となる今作はバンド解散後にベースのGUY氏がGOOGOL PLEXのメンバー三人と共に結成したWARHEAD JUNKも収録されたもので日本の80年代ハードコアパンクシーンの終焉と90年代ハードコアパンクの幕開けをこの作品を通してそんな感情に浸ったのは筆者だけではなかったのではないのでしょうか?

過去のブログにも触れましたがこの頃はLIPCREAMやOUTOを始め80年代に活躍していたハードコアパンクバンドが軒並み解散、活動停止をしていって愚鈍(GUDON)もかぁ~.
...と悲しい気持ちになったものでしたし、ここではギタリストが違う訳で、当時個人的には愚鈍(GUDON)サウンド=自虐氏サウンドのイメージをまだひきづっていた感はあったので内心どうなんだろう?と思ったものでしたがそんな心配は無用なやはり無茶苦茶カッコいい愚鈍(GUDON)流ハードコアパンクサウンドはゴリゴリで重圧感に満ちた感じに進化していて素晴らしい最後を飾ってくれました。

先にも触れたように自虐氏が脱退した後は元CHICKEN BOWELSのMOTSU氏がギターで加入していますがすぐに脱退してOUTOを経由してR.F.D(RISE  FROM THE  DEAD)にこの当時は収まっていましたが、この作品ではヘルプ?ゲスト?で参加しています。

※ 87年にSELFISH recordsから発表されたコンピレーション盤「消毒GIG」にも愚鈍(GUDON)は収録されていますが、それはまた後に紹介したいと思います。

今回は前回と合わせて2回にわたって愚鈍(GUDON)を紹介させていただきましたが、令和となった今でもホントカッコいいと久しぶりに聴いて思いましたしやはり各メンバーの実力は勿論 、特にHAPPY氏のヴォーカリゼーションと作品ごとに進化をしていった自虐氏のギターワークは特に突出していたように筆者は思うんです。

前回の記事にも紹介したように今回のBLOOD SUCKER records からの愚鈍(GUDON)のディスコグラフィー再発盤は三代目ヴォーカルHAPPY氏の7回忌追悼の意味合いも込めたリリースですが、特筆すべきは氏が亡くなる1ヶ月前の2014年8月6日広島チャイナタウンで開催されたイベント「TO  FUTURE」での生涯最後のステージとなった雄姿の様子もDVDにも収められているとのこと。

※シンコーミュージックエンターテイメントから発行されているパンクマガジン「BOLLOCKS」誌の2014年NO.16号内でHAPPY氏の訃報を伝えている。これを見た時は衝撃で筆者にとってはマサミ氏やCHELSEA氏が亡くなった時と同様に悲しい気持ちになったものでした。

BLOOD SUCKER records からは“これを機にハードコアに取りつかれた一人のパンクスの軌跡に触れてほしい”とのメッセージを発しています。

筆者も同じ気持ちです