朝はいつもと同じ朝を迎え
忙しい時間を過ごして
試合へ送り出した
特別な言葉を交わす訳でもなく
ごく普通に
いつも通り
頑張って来るわ!
しっかり活躍しーや
ミスしんときや
でもお互いどこかに
最後の試合
と言う
小さなプレッシャーとか
目に見えない緊張とか
自分なりの…
自分だけの…
今までの集大成とか
言葉では言い表せない何かに
少し胸が締め付けられるような
感覚で試合を迎えていた
結局2回勝ち進み
3試合目で負けた
2年半やって来た事を
今日もやり遂げ
試合が終わった
私は心の中で
終わった…
と思うと同時に
涙がこみ上げて来た
一緒に2年半やってきた
仲良しのお母さんから
静かに耳元で
T…良く頑張ってたな!
今日で辞めるんやろ?
おつかれさん
ママもよぅ頑張ったな!
ほんまに色々あったけど
おつかれさんでした
色々ありがとう!!
と言われた
ありがとうを言うのは
私の方
隠してたけど
隠しきれず
涙が溢れた
3年生の部員の中で
このタイミングで辞めるのはTだけ
Tが辞めても
お手伝いはするつもりではいたけど
途中で辞めるような状態になり
申し訳ない気持ちと
本当に良い時も悪い時も
一緒にやって来たので
寂しい気持ちと
そして何より
ありがとう!!
この言葉に尽きる
Tには、ただただ
良く頑張った
と言う言葉しか見当たらない
試合が終わった時
思いの外
清々しい顔をして
Tは笑顔だった
私達、親が片付けをしている所に
試合を終えた子供達が上がって来た
いつもみんな親の方から
子供達に差し入れや
飲み物を渡しに行く
今日は上がって来てすぐ
片付けをしている私の所に
Tが一人で来て
小さな声で
お母さん…
色々大変な思いさせてごめんな…
色々ありがとう!
と言ってみんなの所へ
戻って行った
やめて!!
それ反則!!
一瞬でそんな事言うの
やめて!!
片付けをしているフリをして
下を向きながら
涙がポロポロ流れた
謝るのは私の方やのに
私からは何も声をかけられず…
謝られる程
大変な思いなんてしていない
確かに大変やったけど
でも楽しかったし
Tのお陰で色んな経験を
させてもらった
Tの中では
本当にケジメがつけられていたのか
涙はなかった
結局偉そうに言いながら
女々しくて
ケジメがつけられていなかったのは
私の方だった
家に帰って来た時
Tの顔を見たら又泣いてしまいそう
何も言えそうにない
今日はTの大好きな物を作って
帰りを待とう
ありがとうと
お疲れ様
そして
これからの頑張れを込めて
そう思いながら
必死に涙を止めていた