魔王でもやって来るようなダークグレーの積乱雲。まるで俺めがけているように どんどん近付いてくる。ガガ一ン!ピカッ!稲妻を引き連れて夕立が激しく降り出した。ちょっとばかり 歩きすぎたみたいで 雨宿りしてる時間は無い。今日の最高気温は36℃。夕方の散歩とはいえ たっぷりと いい汗かいてる。 シャワータイムの始まりだ。どうせ ずぶ濡れになるのに水溜まりは避けて歩いている。「フフン」自分の仕草に苦笑して とぼとぼと 歩き続ける。先程まで 演じられていた蝉たちのオーケストラ隊も暫しの休息。次の公演までの僅かな時間を息を潜めて待っている。 その舞台の公園を通り抜けて中学校の外周を半周すれば 熱い湯で満たされた浴槽とキンキンに冷えたビールが俺を待っている。健康体なら徒歩5分の距離でも倍以上の時を今は費やさなければ辿り着く事が出来ない。しかし もう焦りも苛立ちも無い。精一杯の現状を継続して徐々にスピードを加速している。しかしこの日のシャワーで体調を崩してしまった。やっと今日 回復の兆しが見えてきた。例えるならば寝たきりの病人から ぐうたらなフリーターにレベルアップした感じだ。明日の朝リハビリの運動ができたらいいな。
闘病記を残しておこうと始めた日記も本日でお終い。結論からいうと手術とリハビリ続けているが左足が麻痺して歩く事もままならない。社会復帰も長引きそう。収入も殆ど無く、携帯電話の料金もグレードを下げざるを得ない。いや…通話も出来なくなりそうな予感。もう何も記す事はない。平成23年夏。
午前中の時間はリハビリの為 近所の散歩や 涼を求めて近場の森まで車を走らせるのが日課となっている。今 近くの神社の木陰に車を停めて 雲一つ無い青空を眺めながら 心を満たしている。ラジオからは夏の名曲が特集され 暫しの休憩をサポートしてくれている。一人よがりの空想は エスカレートの度合いがマックスに達する。テーマを換えるたびに青空に視線を移して 俺なりの少しばかり早い冬支度の準備を整えているんだ。(寒い冷たい冬が嫌いなのさ。)冬を乗り越える為にその時イメージするであろう夏の日常を脳裏にインプットする。辛い冬は間違いなく夏へと向かう。ただ その真実を確信する為だけの冬支度なのである。この目の前に映し出されるパワー溢れる景色は俺の大好きな夏そのもの。その道理ゆえ踏ん張って生きていける。