いつの頃からだろうか
私は自分を船に例えるようになった
仕事をする中で
自分のありたいイメージが
船となって湧き上がってきたからだ
私のイメージは
昔西伊豆にあった
スウェーデン生まれの
スカンジナビア号
船内の木目の美しい
客船の中のイメージだった
最盛期には人びとが集い
私の姉も友人も
その船上で結婚式を挙げた
陽の光を浴びて
キラキラと光っていたその船は
やがて老朽化が進み
気がつけば
周りには最新鋭の設備を備えた
高性能なボートが
とてつもない速さで
海上を進む様子に変わっていった
私の船は
温もりは感じられるものの
老朽化し
スピードも出ない
まさしく
自分の姿そのものになった
50歳を超えて
最前線でもないだろう
若く頭脳明晰な仲間に
海路を譲るのは
至極当たり前なことのように思える
さて、
私の好きなその船
スカンジナビア号ステラ ポラリスは
2006年、修理の為上海に向かって曳航されていたが
和歌山県串本町沖で沈没してしまった
私の船も
このままでいれば
やがて時を得て沈んでいく
それは自然の理だから構わない
私は
その前に
密かにこの大型船を降り
小さな手漕ぎボートに乗り換え
自分自身の冒険に出る
今はその準備をしているところだ