義家から直ぐの道路にとよが立っていた。
もぅ、アタシはとよが怪我をして、独りで義家を訪れようと、自動車を運転中の時のように、動悸もしてき心拍数が上昇してくるのがわかった。
なんか、悪いことをして「怒られるんかなぁ」と、ヒヤヒヤしている子どものように。
とよが立っている前で停車した。
アタシの顔は引きつっていたと思う。
とよが「こんにちは」と言って、運転席側の後部座席に乗り込んできた。
「こんにちは」とアタシが応えた。
お墓に向かう自動車の中でも、
「りーちゃん、れーちゃんは元気にしとるんか」
「おっちゃんが、あーや、こーや」
「マミの子どもがあーや、こーや」と、これまでとよが同行する時の、変わりないふつーの様子のとよをみて、「見てない(ファクシミリア)ほうが強いかも!?」と、ホンの少しだけほっとした。
お墓参りを終えて、とよを義家に送った。
とよから「コーヒーでも飲んでいかへんか」と、誘われた。
これもとよが一緒に付いてくる時と、いつもの同じ誘い。
でも、「とよは、ほんまにしらんへんのやろうか!?」の疑念をもったまま町営住宅の駐車場から、義家に歩きだしたが、アタシはとよが知ってんのか!?知らへんのか!?を、どうしても知りたかった。
いのぶがとよに「お父さんは?」と聞いた。
「寝とるんと違うか」
そうや!色ぼけがおるのなら色ぼけを利用する手はない!!
みーが、絶縁を言い渡したことも、とよはアタシたちに内緒にしときたかったのに、アタシたちが義家を訪れた時に、色ぼけがしゃべって、いのぶとアタシが知ることになった経緯がある。
「いのぶには話したらあかんさかいに」と、とよから、口止めをされていたにも関わらずにこの調子。
よっしゃ!まぁ、墓穴を掘ることになるかもしれんばってんが、色ぼけにかまをかける!と、腹をくくった。
義家に入り、居間に入ると色ぼけが横になっていた。
「こんにちは」と、挨拶をすると、
「あー、来たんか、子どもたちは付いてきてないんやな」と、言いながら起き上がった。
「はい」
さぁ、うさちゃん、みーのように、演技派の女優になるのよ!
表情筋が引きつっているのがわかり、心臓の鼓動が聞えるのではないかと、思うぐらい動悸もしていたが、笑顔に見えるように表情筋を修正させながら、「お義父さん」と声をかけた。
「うん!?」
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